2019.10.20(日) 広島遠征、3日目の朝。 起床後、いつもの様に窓の外を確認してみると、晴れ渡った空にそびえ立つ福山城の姿がそこにあった。まさに絶景である。改めて最高のホテルを用意してくれた身内に感謝する。本日は、その身内と合流し、所有する山にて松茸狩りを行う予定となっている。身支度を整えホテルをチェックアウトする。
ホテルで朝食をとる時間がもったいなかったので、広島県がホーム(店舗数が多い)のコンビニ「ポプラ」に立ち寄る。お目当ては当然アレになる。
目的は“ポプ弁”と呼ばれるコンビニ弁当である。このポプラは通常のコンビニと異なり、弁当のおかずのみ購入しレジに持っていくと、レジの店員が炊飯ジャーからホカホカのご飯を入れてくれる。東京都内にも少ないながら店舗は存在するが、ホームの広島県では必ず一度は立ち寄る事にしている。
私の“お気に入り”はカレーライスである。数種類あるカレーの中から好みが選べるのも嬉しい。車に戻りさっそく頂く。安価であるものの、通常のレトルトカレーより数段美味しいと思う。また広島に来る機会があればお世話になるであろう。
・・・朝食を済ませた後は、身内の待つポイントに向かう。
身内と合流後、所有する山に向かう。“所有する山”と言っても、昨日の“ご神木”とは全く違う山になる。身内に詳しく話を伺ってみると、身内ご本人が所有し管理している山とは別に、身内親族の所有する山までカウントすると、もはやいくつ山を所有しているのか分からないほど存在しているのだと言う。
周りに他の人が見てないか確認しながら山に入る。クワガタ探索でもそうであるが大事な経路は、他の人から見て“分かり難く入って行く”のがポイントである。とは言え、山に入ってしまえば身内が正式の所有する山なので、堂々と山の斜面を登る事が出来る。
・・・結構なこう配のある斜面を登っていく。それは道なき道であり、山の斜面を藪漕ぎしながら登っていく形になる。2006年のヨナグニマルバネ探索を思い出す。あの時は日本最西端である沖縄県・与那国島の漆黒の闇の中を永遠と7時間ほど彷徨ったのだが、現在の私にはその様な体力は無い。それでも身内は慣れた様子で、すいすいと斜面を駆け上がっていく。年配にも拘らず、その体力と情熱に尊敬の念を抱く。
・・・どれくらい斜面を登りながら探したのだろうか?身内がある方向を指さす。その表情は私がマルバネを見つけた時と同じような目の輝きを放っている。
「まこっちゃん、あそこにある!」身内が指さす方向を見て一瞬「どこっ?」と思ったのだが、私の思っていた松茸のイメージと少々異なっていたのだが、すぐにその存在に気付く事が出来た。下記の画像を見て、松茸がどこにあるかお分かり戴けるだろうか?
上記画像の中央部に写っているモノが松茸であった。イメージとしては、もう少し“こけし”の様な形を考えていたのだが、身内曰くその様な状態を収穫するには“その年の風”を読まないと容易ではないらしい。因みに身内はNHKに取材される程の松茸の研究者なのである。
しばらく周辺を探してみたのだが、傘が開いた状態の松茸が2本できたのみであった。例年であれば10本〜20本は確認できても良いらしいが、身内曰く「今年の松茸は、降水量や台風、気温差などの兼ね合いから見て凶作だ。」と言う。確かに毎年広島から数多くの松茸を送って戴ているのだが、今年は発生時期も随分と遅れている様子で、数も全く採れてないとの事である。・・・考えてみれば、今年はクワガタの発生も例年とは異なる印象を受けている。
松茸を探している中で、当然別の種類のキノコも生えている訳で、キノコである以上“毒キノコ”の可能性もあるのだが、身内は「それはアカマツ林に良く生えている毒のテングダケ...」などと言いながら歩を進めていく。流石にニクウスバやヒラタケは判るのだが、それ以外のキノコは身内に1つずつ確認しながら歩を進める。
その後もアカマツの林で松茸を探してみたのだが、例年だったら確認できるポイントでも今回は確認できなかった...。身内は日を改めて、また別の山含めて入山するとの事であった。
とりあえず数ヶ所確認したのだが、それ以上の成果は無かったので下山する事になった。“もう一度大事な事なので”記載しておくが、今回の松茸を採りに行った山は【身内及び親族が正式に所有する山】であるからこそ可能な場所であって、間違っても無断で他の人が所有する山で勝手にキノコを採取する事は厳禁なのである!
・・・その後、身内と共に朝方仕掛けたゲンゴロウ用のトラップを確認しに行く事にした。昨日と違って本日は晴れているので藪漕ぎも苦にならないが、昨日のゲンゴロウは全くのゼロであったが、本日はどうだろうか?
藪漕ぎを終え目的地に到着する。本日は天候も良いせいか水面に小魚や小さな水生昆虫の姿も確認できる。昨日より随分と条件が良い様に感じられるので期待できそうである。
早速ゲンゴロウ用のトラップを手繰り寄せてみる。・・・もうこの時点でペットボトルの中が、昨日とは全く異なる感触なのが理解できる。
トラップの中を確認してみると、元気よく泳ぎまわっているゲンゴロウの姿がそこにあった。この空白の数年間を考えると、目の前の光景がとんでもなく嬉しい!
詳細を確認してみると、ナミゲンゴロウ♂×6頭、♀×2頭、更にクロゲンゴロウも8頭確認できた。前回から実に5年振りの確認となった。この広島県に来るまで天然のナミゲンゴロウを見た事が無かったので、この溜池も“ご神木”に並ぶ貴重なポイントである。因みに周辺の溜池にトラップを仕掛けても、何故かこの溜池でしかナミゲンゴロウは確認できないのである。
・・・確認したゲンゴロウ達に感謝し、この場でリリースする。 もう少し時間に余裕があれば、昨日確認した“ご神木”にも足を運びたかったのだが、松茸とゲンゴロウの確認が出来ただけで、本日は充分に満足であった。今回の広島遠征は結果的に、クワガタはコクワしか確認できなかったが、初めてとなる松茸狩りや5年振りとなるナミゲンゴロウの確認など、とても充実した遠征になったと思う。全てにおいてお世話になってしまった身内とは、ここでお別れとなる。最後にガッチリと握手して挨拶を行う。・・・いつまでも私より先に斜面を進む存在であって欲しい。
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