ご注意!

2019年2月、環境省により「国内希少野生動植物種」に指定され、ヒサマツサイカブト採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。


2009.08.21(金)へっぽこ遠征in大東諸島(1日目)
沖縄県・南大東島 4:30AM 晴れ 32℃ 暑い

今年で3度目となる、南大東島遠征を行うことにした。

沖縄県の離島である南大東島といえば、クワガタはダイトウヒラタとダイトウマメしか生息しておらず、旅費として見ても沖縄本島から南大東島までの航空機「琉球エアーコミューター(RAC)」の価格が非常に高く、チケットの取り方しだいでは東京〜那覇より、沖縄県内の那覇〜南大東島間の方が高かったりする場合もある。島の状態も他の離島に比べると極端に緑も少なく、サトウキビ畑ばかりで山が全くない平坦な島であり、虫を目的とするにはあまり適さない島だと思われる。一般的な採集者が訪れる時期としては、他の離島でする事の少ない冬場に材割り目的で来る程度の様である。

・・・と、ここまで書くと「それでは夏に行く理由があるのか?」という事になるが、ダイトウヒラタの活動は他のヒラタクワガタと大分異なる様で、生態として不明点も多い。基本的に野外活動するシーンが殆ど確認されておらず、それではエネルギー補給はどうしてるのか?飛翔するのか?外灯に集まるのか?等など“へっぽこ探索”として、他の人があまり興味を持たない確認を行ってみたい気持ちがあった。その様な想いの中、一昨年の倒木上を歩くダイトウヒラタ♀の姿を確認できた事で、個人的に「更なる野外活動するダイトウヒラタを観たい!」という想いが強くなり、夏期3年連続の南大東島入りとなった。

3年連続の南大東島
3年連続の南大東島



まずは羽田空港から経由空港である沖縄那覇空港に向う。それにしても8月という事もあり、いつもより数段混んでいる。

8月は混雑する羽田空港
8月は混雑する羽田空港



それでも時間に余裕を持って来たので、順調に手続きを済ませる。今回、手荷物としてライトトラップ用のHIDハンディライトを持参した。事前に本体の充電を空にした状態で持ち込んだので、保安検査でも問題はなかった。因みに充電した状態だと発火の恐れがあるとの事で、飛行機での運搬が出来ないとの事である。

経由地の那覇空港へ
経由地の那覇空港へ




羽田を発って2時間半ほどで沖縄本島に到着する。少し寝た後に窓の外を見ると、南国の蒼い海が広がっていた。何度見てもこの色はテンションが上がる。

南国の蒼い海
南国の蒼い海



沖縄本島の那覇空港にて南大東島行きの飛行機を待つ。1時間ほど時間に余裕があるのでコーヒーでも飲もうかと自販機に寄ると、沖縄仕様のコーヒーが売られていた。このブランドは好きなので購入し、飲んでみる。・・・味は通常版と同じ様であった。

沖縄仕様
沖縄仕様



待合ロビーにてボンヤリしていると搭乗案内が出たので、南大東島行きの飛行機に向う。久々にこの機体に乗る様な気がする。

琉球エアーコミューター
琉球エアーコミューター



最近ではあまり乗る機会の少なくなったプロペラ機である。プロペラ機の方が、より小さな離島に向かう雰囲気になれるので気に入ってる。

プロペラ機です
プロペラ機です



那覇空港を飛び立つ。小さなプロペラ機なので離陸も迫力がある。窓の外を見ると入道雲が真横に確認できる。

入道雲を横目に
入道雲を横目に




那覇空港から約400kmほどの位置に南大東島は存在しており、1時間ほどで南大東島に到着した。

1時間で南大東島到着
1時間で南大東島到着



天候の方は予報どおり晴天で暑い。南大東島は海も蒼いが、空も澄み渡っており青く美しい。

晴天の南大東島
晴天の南大東島



振り返って今乗ってきた琉球エアーコミューターを見る。この滑走路にて直接乗り降りする感覚は、いかにも南西諸島を感じる事が出来るので、非常に気分が良い!

南西らしい乗り降り
南西らしい乗り降り


飛行機に預けていた荷物を受け取り、予約しておいた宿の迎えを探す。この南大東島に来た際は必ず「ホテルよしざと」に宿泊している。他の離島に比べると諸々厳しい面が多い南大東島の中で、この宿は部屋やレンタカー、そして食事面など非常に満足できると感じている。

宿は「ホテルよしざと」
宿は「ホテルよしざと」



宿にてチェックインを済ませた後は、今晩の為にHIDライトの充電を行う。飛行機にて持ち運びをする関係で完全に放電を行った為、ここからフル充電しなくてはならない。時間が掛かるので、とりあえず時間を潰すことにした。

まずはHIDライトを充電
まずはHIDライトを充電



腹も減り時間帯としてちょうど昼時なので、いつもの「大東そば」を食べる事にした。この南大東島の中で大きな楽しみの1つである。

お約束の昼食へ
お約束の昼食へ



1年振りの大東そばである。過去にも紹介したが、他の島の所謂「沖縄そば」と呼ばれるものの中で、この大東そばが一番美味しいと感じている。とにかく出汁とそばのコシなど全てが最高なのである。

元祖!大東そば
元祖!大東そば



また今回初めて知ったのだが、島ずしのセットも頼む事ができた。デザートにドラゴンフルーツを添えられており美味しく頂いた。やはりその土地の食べ物を食べ、それが美味しかった時は最高である。

島ずしのセット
島ずしのセット




島の所々でハイビスカスを見掛ける。おそらく人為的に植えられたものだと思うが、雰囲気は南国ムードを盛り上げてくれる。

ハイビスカス
ハイビスカス



昼食後、本格的に探索を開始する。モクマオウの林に入ってまもなく、例年通り大量の蚊が集まってきた...。

探索j開始!
探索開始!



南大東島の林の中は、相変わらず岩がむき出しになっており危険である。当然ここで転倒でもしようものなら大怪我に繋がる恐れもある。細心の注意を払って歩を進めて行く。

林の中は岩だらけ
林の中は岩だらけ



とりあえず南大東島の雰囲気を感じた所で、持ち込んだフルーツトラップの設置から始める。ダイトウヒラタは他の離島ヒラタと異なり、フルーツトラップに集まると言う話は聞いた事がないが、これも毎年の調査の一環として行ってみる。常に「・・・もしかしたら」という可能性に望みを持っていたい。

フルーツトラップを設置する
フルーツトラップを設置する



また今回はかなり変わった試みとして“鶏のささ身”を持参した。これもトラップとして設置してみたい。フルーツトラップとは別に「ダイトウヒラタ♀が産卵前にエネルギー補給の為にタンパク質を求めるのではないか?」と勝手に想像してみた。もちろん何の根拠もないが自分なりに発想は大事にしていきたい。

試みとして“鶏ささ身”を使用
試みとして“鶏ささ身”を使用


トラップを設置していく。周囲を見渡すと、青い空に島の基幹産業であるサトウキビ畑が広がっていて、いかにも南大東島という光景だと感じる。

南大東らしい風景
南大東らしい風景



サトウキビ畑の間を歩くと大型のバッタが大量に飛翔する。サトウキビを食しているのだろう。確かこの島に居るミヤコヒキガエルは、サトウキビの害虫であるバッタを退治する為に島外から持ち込まれたと聞いた事がある。・・・しかし、このバッタの多さから見て、その策が上手く行っている様には思えない。

大量に飛翔する
大量に飛翔する



それにしても暑い!少し動けば汗は噴出し、持参したタオルや着替えのシャツは何枚あっても足りない。それでもこの何もない島は開放感があって、日頃のストレス社会を忘れさせてくれる。

何も無い南大東島...
何も無い南大東島...



片手で足りる数のトラップを設置し終える。バナナトラップと鶏ささみトラップ、果たしてダイトウヒラタは集まってくれるのだろうか?

トラップを設置していく
トラップを設置していく



時間帯としてはまだ夕刻まで時間があったので、林の中の倒木を起こしてみる。もしかしたら倒木下にダイトウヒラタが潜んでいたらと思ったが、材のもろい箇所にダイトウマメが1頭確認できたのみであった。今回も材割りが目的ではないので、それ以上の深追いはしなかった。

南大東島・ダイトウマメ
南大東島・ダイトウマメ



ふと何かが飛び立ったので確認してみると、何やら見た事のないトンボがサイトウキビにとまっている。オキナワチョウトンボは過去に観かけた事があったが、このトンボは初めて観た。どうやら「オオハラビロトンボ♂」と言うらしい。

オオハラビロトンボ♂
オオハラビロトンボ♂



・・・それなりに探索をしている内に日も傾いてきた。とりあえず一旦、宿に戻り夕食をとった後にHIDハンディライトを使用して、この南大東島にてライトトラップを行ってみようと思う。

日が傾いてきた
日が傾いてきた




・・・しかし夕食後、身支度を整え出発しようとすると、窓の外の様子がおかしい。ハッとして窓の外を確認すると、先ほどまで全く雨の降る雰囲気など無かったはずなのに、外は激しく雨が降り出している。南西諸島はこの様なスコールがいきなり訪れるが、経験上暫くすれば雨は止むと思い、目的地へ出発する事にした。

何故か土砂降りに...
何故か土砂降りに...



すると予想通りというか、目的地に着く頃は雨が上っていた。・・・と言うより、この場所は全く雨が降った形跡がない。先ほどの場所からそれ程距離はないのだが、過去この南大東島ではこの様な事を数回経験している。改めて不思議な島だと感じる。空を見上げて見ると、満天の星空が広がっている。「先ほどの土砂降りはなんだったのだろう?」と思いながら、HIDライトのセッティングを行う。暗闇の中でも10分足らずで準備が整い、ライトを点灯させる。

HIDライト離島初点火!
HIDライト離島初点火!


・・・そのまま暫く様子を窺ってみるが、蛾すらほとんど集まってこない。月齢としては決して悪くないはずだが、ライトの設置場所が悪いのか?それとも他に原因があるのか?いまいち掴めないまま時間だけが過ぎていく。

サトウキビの中のHIDライト
サトウキビの中のHIDライト


結局、バッテリーの許す限り粘ってみたが、最初から最後までほとんど虫の飛来はなく終了を迎えてしまった。変化があったといえば、少ない蛾を目当てにミヤコヒキガエルが集まってきていた程度だった。本当は幻のヒサマツサイカブトやダイトウヒラタが飛来する事を夢見ながら待っていたのだが、現実としてかなり厳しいものを感じてしまった。

ミヤコヒキガエル
ミヤコヒキガエル




・・・とりあえず南大東島遠征の初日を終える事にした。    ・・・無念! 



成績ダイトウマメ×1
(確認後、リリース)

2日日へ

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