ご注意!

2019年2月、環境省により「国内希少野生動植物種」に指定され、ヒサマツサイカブト採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。


2009.08.22(土)へっぽこ遠征in大東諸島(2日目)
沖縄県・南大東島 11:00AM 晴れ 32℃ 暑い

南大東島遠征、2日目の朝。

窓の外を見ると、今日も晴天である。昨日の探索はほとんど何も確認できなかったが、他の離島と違って南大東島はそれを前提に訪れているので仕方が無い。朝食後、身支度を整えレンタカーに乗り込む。少し走るとサトウキビ畑の中にヒマワリが咲いていた。沖縄らしい朝を感じる。

沖縄らしい朝
沖縄らしい朝



道端には干からびたミヤコヒキガエルが何頭も確認できる。夜間や雨が降った後などは道路に出てくるので、車に轢かれてしまうのだろう。

これが多い
これが多い



塀を見るとアフリカマイマイが移動している。これも昨晩の雨で活動したのだろう。島の至る所でミヤコヒキガエルとアフリカマイマイは確認できる。共に人為的に島に持ち込まれたものであり、正直気持ちの良いものではない。

人為的に移入されたアフリカマイマイ
人為的に移入されたアフリカマイマイ



2日目の探索を始める前に「島まるごと館」を訪れる。ここは島の観光名所の案内やヒサマツサイカブトの標本が置いてある。過去2年間いずれも足を運んでおり、管理人の氏とも1年振りの再会となる。

島まるごと館
島まるごと館



氏とご挨拶した後、改めて「ヒサマツサイカブト」を拝見させて頂く。大変貴重なものだと、何枚も写真を撮らせて頂く。

ヒサマツサイカブト
ヒサマツサイカブト



今回は過去に拝見した事のない個体も見せて頂く事ができた。今まで拝見した個体以上に特徴的な個体であり、非常に興味深いものがあった。

奥の個体は、より特徴的
奥の個体は、より特徴的



因みに今年は通常のタイワンカブトも確認されているとの事で、ヒサマツサイカブトと比べて見ると、完全に別種と思える体型をしている。ヒサマツサイカブトはより厚みのある体型に、まさしく“戦闘的なサイ“をイメージさせる迫力を感じる。

上3つがヒサマツ・下2つが通常タイワン
上3つがヒサマツ・下2つが通常タイワン



今回も非常に良い見学をさせて頂くことが出来た。氏に感謝を述べる。また今回は京都から小澤氏というアシスタントの方が来られており、暫く南大東島に滞在するとの事であった。少しお話しする機会があったのだが、非常に有意義な時間であった。個人的にはもっと色々なお話をしたかった。




島まるごと館を後にし、車を走らせる。カーラジオを聞いてると、どうやら沖縄周辺に熱帯低気圧が発生している様で、このまま発達すると台風になるらしい。昨晩のいきなりの土砂降りは、熱帯低気圧が影響していた様である。

二日目の探索開始
2日目の探索開始



とりあえず、昨日仕掛けたフルーツトラップを確認しに行く。・・・しかしと言うか、やはりダイトウヒラタは来てなかった。

フルーツトラップ成果無し
フルーツトラップ成果無し



鶏ささみトラップも確認してみるが、フルーツ同様にクワガタの姿は無い。・・・昨日から1日経過した事で、臭いが大分キツくなっている。喜んでるのはゴキブリだけの様である。

鶏ささみトラップ成果無し
鶏ささみトラップ成果無し



・・・トラップ関係を一通りチェックすると、何もする事がなくなってしまった。この南大東島は樹液の出ている様な樹もなく、簡単にクワガタの姿が野外で確認できる状況ではないので、やはり難しい島だと感じる。それにしても日差しが強い。肌がジリジリと焼ける感覚を覚える。

今日も暑い!
今日も暑い!



少し時間を持て余したが、昼時なので島で唯一のスーパーに向う。販売していたのはカレー弁当と、ちゃんぷる弁当の2種類であったが、迷わず沖縄らしい“ちゃんぷる弁当”を購入。車の中で食べる。スパムを焼いたものと豚肉とゴーヤのちゃんぷるが美味しい。

島のお弁当を食べる
島のお弁当を食べる




昼食後は夜のHIDライトの設置場所を探したり、今まで確認してなかった林などを探索することにした。天候は晴れているものの熱帯低気圧の影響か、風が出始め雲の流れが速い。

どうやら熱帯低気圧が発生しているらしい
どうやら熱帯低気圧が発生しているらしい



過去に足を踏み入れてない林に入る。林といっても南大東島は島を2重に囲っている防風林しかないので、限られた僅かな樹木しか存在しない。その殆どがモクマオウやダイトウビロウである。

ビロウ林
ビロウ林



車を流していると開けた場所があり、その奥に防風林が存在するので本日のHIDライトトラップはこの場所にて行う事にした。・・・と言っても、夕暮れ時までかなり時間があるので他の場所に移動する。

本当に暑い!
本当に暑い!



他の場所に移動といっても山もなく、どこへ入っても“サトウキビ畑と広い空と遠くに見える防風林”の繰り返しになる。・・・何も無い。でもそれが気持ち良い。本当に何もする事が無いので、宿に戻り昼寝する事にした。

昼間は全く成果なし
昼間は全く成果なし




目が覚めるとちょうど夕食の時間なので食堂に向う。この「ホテルよしざと」は食事が本当に楽しみである。いつも新鮮な食材を使用した料理は見た目も味も大満足である。宿泊すると朝夕の2食付になるが、質量共に宿の意気込みが感じられる。今回も凄く良かった。

夕食も美味しい!
夕食も美味しい!



夕食後は本日のメインイベントとなるHIDライトトラップを行う為、宿を出発する。昼間の探索にある程度限界を感じていたので、この南大東島にてライトトラップを行える状況に興奮を覚える。

今晩もHIDライト使用へ
今晩もHIDライト使用へ


天候は雨も風も無く、更に月齢も良いので条件としてはかなり良いと思われる。昼間に目星を付けていた場所にて設置を行う。簡単に設置が行えすぐにライト点灯のできるHIDライトは、離島でのライトトラップとして非常に融通の利くアイテムだと感じる。

ライト点灯...
ライト点灯...



・・・絶海の夜の離島にて胸を躍らせながら、ライトに飛来する大物を待つ。


しかし、3時間経過しても少ない蛾とゴキブリ、そしてそれを目当てとしたミヤコヒキガエルが少し確認できるのみで、甲虫の飛来は全く確認できない。今回の南大東島遠征は、今までに無い方法でクワガタに対しアプローチできると思っていただけに、この結果には想像以上に厳しいものを感じた。



・・・無念ながらもHIDライトトラップの撤収を行う事にした。




フルーツトラップは期待できないので、レンタカーを走らせ宿に戻ろうと思ったが、その前に1箇所だけ気になっていた外灯があるので立ち寄ってみる事にした。そこは昨晩から外灯下に多くのミヤコヒキガエルが集まっている場所であり、その理由を考えると餌となる昆虫が飛来するのだろうと想像できた。可能性としてはかなり低いと思われるが、このまま宿に戻っても寝るだけなので、少ない可能性に掛けてみる事にした。すると外灯下には南大東島では今まで見た事のない大型の蛾が飛来していた。

初めて大きな蛾を確認
初めて大きな蛾を確認



やはりここは雰囲気が違うと感じ、周辺を念入りにチェックしていくと、明らかに甲虫と思われる物体が引っくり返りもがいていた。すぐにライトを照らしてみると、なんと赤く輝くダイトウヒラタ♂が確認できた。もの凄く興奮した!とにかく採集記用の画像とクワマガDVD用の動画を撮影する。しかし興奮のあまり手が震えてしまう。努めて冷静に対応しようとするが、それ以上に興奮の方が大きい。本当に嬉しい。

・・・とりあえず深呼吸を行い、息を整える。

この状況を観た感じ、飛翔している瞬間を見た訳ではないが、“外灯に飛来した個体が落下後に引っくり返った”と考えられると思う。今まで野外で飛翔するかも良く分からないダイトウヒラタであったが、夏の時期にヒラタらしく野外活動をしている状況に“へっぽこ”なりに喜びと感動を覚えた。

南大東島・外灯下のダイトウヒラタ♂
南大東島・外灯下のダイトウヒラタ♂



一通り撮影が済んだ後、一応起き上がらせて確認してみる。やはりライトを当てると小豆の様な赤さを放つ。専門的な分析は出来ないが、他の方が興味を持たない事だからこそ、そこにロマンを感じて活動を行い、今その充実感を最高に感じる。

赤いヒラタ
赤いヒラタ



もう何というか、この1頭確認できたお蔭で全てに満足し宿に戻る。途中、路上に驚くようなシルエットが見えたが、改めて確認するとカニであった。

一瞬驚いた...!?
一瞬驚いた...!?




宿に戻り落ち着きを取り戻す。なんとも言えない心地良さを感じる。野外活動があまり確認されてないダイトウヒラタ。一昨年に偶然倒木の上を歩くダイトウヒラタ♀の撮影に成功して以来、自分なりに可能性を感じていたクワガタであったが、今回の探索にて“へっぽこ”なりに前進できた気がする。


・・・南大東島の全てに感謝しつつ、夢へと落ちていった zzz



成績ダイトウヒラタ♂×1
(確認後、最終日にリリース)

3日日へ

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