ご注意!

2016年3月15日、環境省より、オキナワマルバネクワガタは、採集禁止となりました。詳細は、環境省サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。


2015.10.17(土)へっぽこ遠征in沖縄諸島(1日目)
沖縄県県・本島 9:30AM 晴れ 28℃

5年振り4度目となる沖縄本島遠征。この数年で採集規制の掛かってしまった離島は多い。私なりに“キャッチ&リリース”を掲げて全国を旅してきたが、自分の様なスタンスであっても気軽に行ける島が少なくなってしまった...。

晩夏から秋にかけてマルバネシーズンとなり、現状限られた選択肢の中から沖縄本島を選んだ訳だが、探索内容としては“夜の林道を低速の車で流す”といった苦行に例えられるほど、神経と体力を要するものである。他の採集者も多く、個人的には苦手な探索方法になるのだが、今回は自分なりに“ある想い”を胸に秘めて沖縄本島に向かう事にした。

5年振りの沖縄本島
5年振りの沖縄本島



まずは羽田空港に向かう。今までであれば車で空港の駐車場まで来ていたのだが、土曜日出発という事もあって駐車場の満車を恐れ、電車で向かう事にした。

羽田空港
羽田空港



全ての手続きを順調に終え、沖縄行きの搭乗時刻となる。今回はマルバネ探索のみなので、フルーツトラップの準備もないので、羽田出発は遅めの設定にした。

沖縄行き
沖縄行き



羽田を発ちしばらく上昇し続ける。・・・分厚い雲を抜けると、眩しい日差しが機内に差し込む。少しホッとしたのか眠気が襲ってきた。

窓の外
窓の外




・・・目が覚めると、窓の外は蒼い海が広がっている。久々の光景である。過去に何度も見てきた光景であるが、この蒼さを目の前にするとテンションが上がる。

久々の蒼い海
久々の蒼い海



那覇空港に到着。「めんそーれ」の看板に心が和む。まずは予約しておいたレンタカー屋を探す。

ハイサイ!
ハイサイ!



レンタカーの手続きを済ませ早速ハンドルを握る。他の南西諸島と違って那覇市内は、交通量も多く完全に都会である。

那覇市内を抜ける
那覇市内を抜ける



沖縄本島の北部に向かう為、那覇より高速道路を使用する。南西諸島の高速道路は、沖縄本島しか存在しない。

高速で北部に向かう
高速で北部に向かう




・・・出発が遅めという事もあって、沖縄本島の北部に着く頃には日が傾いていた。今回の探索は“車で林道を流すだけ”なので、天候が心配であったが、どうやら雨の心配はなさそうである。

沖縄の夕暮れ
沖縄の夕暮れ



目的地に向かう途中、食事を予定していた店が無くなっており、夕食はコンビニで済ませる事になった。とりあえず地域限定のタコライスを購入してみた。以前、与那国島で食べたタコライスは美味しかったが、コンビニのは大味だった...。

タコライス
タコライス


・・・夜の帳も下りたので、いよいよ探索開始。まずは目星を立てた林道に入り、レンタカーを流していく。

探索開始!
探索開始!



沖縄本島は数年間訪れてなかったが、各林道の雰囲気はそれ程変わってない様子である。・・・すでに数台のレンタカーとすれ違った状況から見て、採集者の数は多いのかも知れない。狭い林道での対向車とのすれ違いが発生した場合、道を先に譲るようにしている。採集者が多いとなかなか落ち着かないが、目の前の林道に奇跡が起こる事を信じてハンドルを握っていく。

トランキーロ!
トランキーロ!



しばらく林道を流していると、いくつか気になる影が見えるのだが、そのほとんどはゴキか葉っぱだったりする...。それなりのスピードで林道を流していても、クワガタであればもっと立体的に見えるので、その違いは判るのだが、・・・それでも気になって全てを確認してしまう。

ガッカリする...
ガッカリする...


時間の経過と共にレンタカーや地元ナンバーの車がさらに増えてきた...。元々人と競ったりしながらの探索が苦手なので、オキナワマルバネの時期としては少し遅めの遠征を設定したのだが、まだまだ採集者の数は多い様子である...。

採集者は多い
採集者は多い


何度か同じ林道を流していると、道路中央付近に黒く“立体的”な昆虫の姿が目に入った。「ヤンバルクロギスかなぁ。」そう思いながら車を横付けしてLEDライトで確認してみる...。






!!!








オキナワマルバネ♀であった...。

おおっ!
おおっ!



・・・時を忘れて、他の車が来るまで100枚近くは撮影していたと思う。

それでもマクロ撮影でピントが合ったのは数枚しかなかった...。撮影を終えて個体を持ち上げてみると、驚くほど軽い。おそらく産卵を終え、最後の体力を振り絞って歩いている様にも感じられる。「良くぞ出てきてくれた...。」感謝の思いしかない。・・・実は瞼から涙がこぼれそうになるほど、熱い思いと共にやり遂げた感覚が強かった...。現在、大病を抱え、趣味を楽しむ余裕が少しずつ低下しているのを自覚していた...。そんな中「1頭でもマルバネに出会えたら全てに納得しよう...。」迷いの中で決めた今回の遠征だったので、オキナワマルバネに出会えた事は本当に報われる思いであった。そう思うと私にとってのクワガタ探索とは、いつしか自分探しの旅になっていたのかも知れない...。

沖縄県・オキナワマルバネ♀
沖縄県・オキナワマルバネ♀



オキナワマルバネ♀に感謝しながら、道路脇にリリースする。過去の遠征などの思い出が走馬灯の様に駆け巡る...。やはり私は“キャッチ&リリース”なのである。2006年のヨナグニマルバネ遠征の時も、最近のオオクワ探索やタイ王国遠征でもそうだったが、私はクワガタを見つけるまでのプロセスが最高に楽しい宝探しであり、クワガタの姿を見つけた瞬間が感動のピークになる。なので、どんなクワガタであっても見つけた後は、感謝と共にリリースしかない。結局、大人になってから15年以上クワガタ探索を行ってきたが、自宅には1頭も標本と呼ばれるものは無いのである...。


「変わってる...。」とよく言われるが、これが“へっぽこ”魔琴のクワガタに対してマイノリティ的アプローチなのであろう...。




まだ時間帯としては探索可能であったが、オキナワマルバネ1頭に会えた事で充分満たされた、本日の探索はここまでとする。清清しい気持ちで林道を後にする。

探索終了
探索終了



宿に戻り、撮影した画像を見てみると、やはり殆どがピンボケであるが、それも“へっぽこ”らしいと妙に納得してしまう。

少し疲れた体を横にして休む...。色々と無理がある中、思い切って遠征してよかった。

「やらないで後悔するくらいなら、やって納得したい。」という“思い”を成し遂げることが出来た。


・・・15年間の採集記の目次を見ると、改めて数多くの離島に足を運んだものだと、自分なりに納得できた感がある。


・・・睡魔と共に薄れいく意識の中で、今は自分に「お疲れさん!」と言ってあげたい。



成績オキナワマルバネ♀×1
(確認後、リリース)

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