2010.04.17(土)へっぽこ遠征inタイ王国(3日目) 海外・タイ王国 9:00AM
雨 27℃ (暑い) 同行者:うしやんさん(タイ王国在住)
タイ王国遠征、3日目。
起床後、窓の外を見ると雨が降っていた。暑季という時期なのであまり降水量は多くない筈であるが、やはりクワガタ探索をする身としては少々憂鬱な気持ちになる。
雨のタイ王国
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まずは朝食を取ろうと食堂に向う。前回の遠征時に食べて、最高に美味しかった豚粥を今回もオーダーする。運ばれてきた粥を口にする。アッサリしながら深い味わいのするスープが最高なのである。再びこの味を堪能できて幸せを感じる。
絶品!豚粥
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朝食後、幸いにして雨が弱くなってきたので足早に出発する。まずは果樹園から探索を試みる。日本でも果樹園にはカブトムシやクワガタが集まるが、タイ王国でも同様であるのか?興味深い所である。
果樹園を探索
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果樹園に入りあるものが目に入る。それは防御ネットに引っ掛かっているコウモリであった。鳥や動物の侵入を防ぐネットだが、このタイ王国では果物を食べるフルーツバットが生息しているので、その対策にネットが用いられ、ものの見事に引っ掛かっていたのであった。
捕まった宇宙人
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ネットに引っ掛かっているのはコウモリだけではなく、なんとコーカサスオオカブト♀も確認することが出来た。随分と時間が経っている様で、すでに個体はカラカラに乾き亡骸となっていたが、この様な場所に集まってくる事が確認できたことは興味深い。
カラカラのコーカサス♀
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別の場所にはヒメカブト♂の亡骸が確認できた。こう見ると、コーカサスやヒメカブトはフルーツトラップにも集まるという事が言えるのかも知れない。
カラカラのヒメカブト♂
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果樹園の方にこちらの活動を説明すると、少しの時間であったが共に虫を探してくれた。本当にタイ王国の人は優しい人が多い。異国の人(私)が虫の写真を撮りまくっていたら、普通は怪しいと思われてもおかしくない所だが、気さくに手伝ってくれる心遣いが嬉しい。
果樹園の方と一緒に探索
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とりあえず新たな個体は確認できなかったが、果樹園の方がお土産に果物を少し分けてくれた。あまり見慣れない果物であるが、聞いてみると「ラムヤイ」と言うらしい。ライチ系の果物の様で、少し厚めの皮をむいてみると、中から白く瑞々しい果肉が出てきた。食べてみると、まさにライチの様な美味しい果物であった。上記のコウモリはこれに集まるらしい。
ラムヤイ
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少し場所を移動して探索を続ける。すると樹液の出ている、非常に雰囲気のある樹を見つけた。
雰囲気のある樹
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樹液部をチェックしてみると、クワガタらしきシルエットが確認できる。・・・しかし、その状態はお尻(左上翅)の一部だけ見えるのだが、それ以外はほぼ“樹液に潜っている”状態であった。果たして個体は生きているのだろうか?
樹液部にクワガタが潜っている
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個体を確認してみるとチェリフェルネブト♂であった。状態は至って健康そのもので、よく呼吸できるものだと感心してしまった。確かに日本でもネブトは樹液まみれの場所を好んで集まっているが、このチェリフェルネブトは水中のゲンゴロウが尻だけ水上に出して呼吸している格好と同様であったが、素潜りの名人なのだろうか?
タイ王国・チェリフェルネブト♂
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・・・と、チェリフェルネブトを興味深く観察していると、急に体の一部に痛みが走った。アリが体をよじ登り、私の体を噛んでいたのである。タイ王国には見た目は小さくても凶暴なアリがいるので、森の中ではアリに注意が必要である。
すぐに噛み付いてくるアリ
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朝からの雨は、ここに来て土砂降りになってしまった。とりあえず車に戻り、うしやんさんと作戦会議を行い仕切り直しを図る。
土砂降りになった...
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車にて移動中、セブンイレブンに立ち寄る。ホントどこにでもあり重宝する。ここで飲み物を多めに購入し、再び山に向かう。
本当に重宝する
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雨の降ってない場所を求め車を移動し、行き着いた場所は昨年も訪れたカンボジア国境付近。昨年も確認した地雷に関する看板を目にする。日本では考えられない看板であるが、海外ではそれが現実として存在する。因みにこの看板の内容は“地雷撤去作業済み”というもので、現在は安心という意味である。表記内に「JAIF」とあるが、これは日本がASEAN諸国の努力を支援する機関である。
今日もカンボジア国境付近へ
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ジャングルを進む。暑季ではあるものの、前回12月に来た時よりも鬱蒼とした印象を受ける。
熱帯なジャングル
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まずは前回モウホツヤクワガタを確認した樹をチェックしてみたが、樹液も出ておらずクワガタの姿は確認できなかった。暫く探索を続けていると雨足がまた強くなってきたので、大きな葉の木陰で雨宿りをする。ふと見上げるとバナナの樹であった。
普通にバナナが生えてる
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前回と異なり、時期的にモウホツヤクワガタやヒメカブトの姿が確認できないので、少々諦めムードを感じていると、うしやんさんが「洞にヒラタが入ってる!」と言う。確かその樹は先ほど私が確認したはずであったが、やはり居ないと思い込んでの探索ではダメである。居ると思い込んで探さないと、見つかるものまで目に入って来ないのであろう...。
洞に大型クワガタ
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簡単な洞だったのですぐに個体は確認できた。やはりタイ王国産のヒラタ♂であった。大型のヒラタなので洞の佇む姿から迫力を感じる個体であった。
タイ王国・ヒラタクワガタ♂ (Dorcus titanus
westermanni)
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その後はクワガタの姿は確認できず、ジャングルの未知なる方向へ進んでみる。それにしてもタイ王国は本当に野良犬が多い。街中は当然の事ながら、山奥でも多くの野良犬を見掛ける。衛生的に安易に触るような事は避けた方がよいと思われる。
タイ王国は野良犬が多い
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林道脇の樹を見るとドリアンが生っている。このタイ王国では多くの場所で見る事が出来る。当然、野生のものではなく管理者が居るのでむやみに取ることは出来ないが、日本ではあまり見かけない光景なので新鮮なものを感じる。因みに臭いは感じない。
ドリアンの樹
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一応、地面に落ちて腐ったドリアンの中にクワガタなどが居ないか確認してみる。ある意味、天然のフルーツトラップ状態でもあるので興味深いものがあったが、何も確認できなかった。
落ちたドリアンに虫はいない...
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それにしてもうしやんさんの車は大活躍である。正直、日本では離島でもあり得ないほどの悪路をモノともせずに突き進んでいく。本当に大感謝である。当然これだけの活躍をする車なので、非常に高価なものであり、なんとタイ王国で車は家と同じくらいの価値があると言う。
「うしやん号」大活躍!
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昼の探索も随分と時間を掛けて回ったが、腹が減ってきたので昼食を取る事にした。今回は「タイカレー」。個人的にカレーは大の好物で、タイ王国のカレーにも非常に興味があった。・・・しかし、一口食べて口から火を吹く。感覚的には日本のココイチの10辛に“とび辛スパイス”を入れまくった様な辛さであった。・・・と、瞬間的な例えをしたが、香辛料の違いなのか日本のカレーとは全くの別物であった。因みにスプーン1杯のルーで充分ライスが食べ尽くせるほどのインパクトで、ルーの殆どはうしやんさんが食べる事になった。
昼食のレッド&グリーンカレー(激辛!)
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・・・その後、時間的にライトトラップの場所へ向う事にした。日没まで少し時間があるのだが、早めにHIDハンディライトのセッティングを行い、うしやんさんとノンビリ語り合う。
HIDライトトラップの準備
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今回の目標は密かにテナガコガネだったりする。数日前にうしやんさんが行ったライトトラップに飛来した実績があるので、生きたテナガコガネの飛来を体感してみたい。日本では無理な話だが、このタイ王国では可能な話であり、本当に夢を感じる。今晩照射する方角に向って期待を寄せる。
あの方向へ
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日没と共にHIDハンディライトのスイッチをONにし、今晩の照射を開始する。果たして大物は来てくれるのであろうか?
HID点灯!
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ライトの点灯と共に数え切れないほどの蛾が集まってくる。それと同時に蛾を目的とした蛙やコウモリも大量に集まってくる。
蛾と蛙が大量に集まってくる
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中にはホタルも飛来する。前回から感じていたのだが、このHIDライトを行っているとホタルが良く集まってくる。何か光の周波数の様なものが影響しているのだろうか?
ホタルも集まってくる
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少しすると大型甲虫が飛来したので「クワガタか?」と興奮を覚えたが、確認してみると「クロツヤムシ」であった。40_近い個体なので雰囲気から見て、クワガタを連想させる。
クロツヤムシの飛来
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しかしその後、クロツヤムシとは比べ物にならないほどのシルエットと飛行音と伴い“大型甲虫”が飛来した。アトラスオオカブト♀であった。凄まじい迫力で飛来したかと思えば、着地後その巨体から“想像できないスピードで歩き回る”個体に世界の広さを感じる。
タイ王国・アトラスオオカブト♀
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早歩きのアトラス♀の撮影に難儀していると、続いてアトラスオオカブト♂が飛来した。目が真っ赤に光り、インパクトとしては“外国人ヒールレスラーの入場シーン”の様な、恐怖すら覚える。それほど迫力を感じる。
タイ王国・アトラスオオカブト♂
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個体はもがきながら起き上がる。アトラスオオカブトは体に対して脚がかなり長く感じる。細い枝を好むのだろうか?樹液等に集まる姿をまだ確認してないので、チャンスがあればジャングル内での樹液風景も確認してみたい。
起き上がると迫力がある!
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更に飛来は続き、今度はヒメカブト♀が確認できた。先程のアトラスの飛来を見た後では少々地味な印象を受けるが、ライトを当てると個体は赤く輝き存在感を示している。
タイ王国・ヒメカブト♀
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昨晩同様、カブトムシの飛来は多いがクワガタの飛来は全く無い。その分クロツヤムシの飛来は多かった。おそらく時期的なものであろうが、改めて考えてみると4月という時期にこれだけアトラスオオカブト、ヒメカブトといったカブトが飛来するタイ王国に神秘的なものを感じる。
クロツヤムシは多い
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・・・結局3時間近くHIDライトトラップを行ったが、その後の飛来はなくなったので撤収作業を行う。
・・・因みに今晩飛来した個体は、全てリリースする。
今晩の野望はテナガコガネの飛来を期待したが、現れる事はなかった。それでも数日前に同所にてテナガコガネは飛来しているので、生息地としての雰囲気は感じることが出来た。これだけでも貴重な経験であり、結果云々の前にチャレンジできる環境を喜びたい。
巨大陸生ホタル♀
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うしやんさんの車に揺られ、うつらうつらしながら思う。まさに夢の様な世界であり、この様な貴重な体験の場を提供してくれたうしやんさんに改めて感謝したい。
・・・明日はタイ王国遠征の最終日。可能な限りタイ王国を楽しみたい。
成績:チェリフェルネブト♂×2 ヒラタ♂×1 アトラスオオカブト♂×1
♀×1 ヒメカブト♀×1 (確認後、全てリリース)
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