2009.12.04(金)へっぽこ遠征inタイ王国(2日目) 海外・タイ王国 11:00AM
晴れ 昼33℃ 夜22℃ 同行者:うしやんさん(タイ王国在住)
タイ王国、2日目の朝。
昨日は日本からタイ王国に入ったのが夕方だったので、初日としては限られた時間の中でヒメカブトの亡骸確認やタイ料理を楽しんだが、2日目は本格的に探索を進めるので朝から気合が入る。宿も快適で昨晩はぐっすり眠る事ができた。因みに日本とタイ王国の時差は2時間。日本が21時であれば、タイ王国は19時という程度なので、時差ボケはほとんど無い。
タイ王国の朝
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まずは朝食をとりに食堂に向う。日本の離島遠征と違って、タイ王国すなわち“異国の朝食”というだけでワクワクするものがある。席に座り、オムレツをオーダーする。うしやんさんと探索について話をしながら、出された水を飲む。・・・気がつけば随分と水を飲んだ後であったが、“海外で水や氷は良くない”という事を思い出した。念のため日本より腹痛薬を持参してきたが、思い出せば昨晩もトム・ヤム・クンなど食べながら、かなりの水を飲んだが、言うほど問題ない様に感じる。うしやんさんも「それは昔の話で、今は大丈夫。」と言う。
水も氷も大丈夫!
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朝食後、身支度を行いうしやんさんの車に乗り込む。広い車内は非常に快適であり、改めてうしやんさんあってのタイ王国遠征だと感じる。異国に来て、現地在住の日本の方とご一緒できるほど心強いものはない。
タイ王国で日本車は高い
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車を走らせ山へ向う。天候も良く気温も上がってきた。山は全体的に乾燥している様にも窺え、晩秋の八重山列島といったイメージを感じてしまう。
タイ王国の採集地風景
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現時点で3日目の宿泊として別の場所を予定しているのだが、その場所の地図を見て絶句。・・・全く何が書いてあるのか解らない。これはタイ語を学ばないと話にならない気がしてきた。
全く理解できない...
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途中、黒塗りの車が近付いてきた。うしやんさんがタイ軍の車だと言う。ちょっとした緊張が走ったが、軍用車はそのまま走り去ってしまった。やはりうしやんさんが居なければ、このタイ王国では何も出来ない事を感じる。
タイ王国の軍用車
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その後、一度市街地に戻り、飲み物などを調達する。やはりセブンイレブンの存在が嬉しい。異国で見慣れたものを発見するとホッとしてしまうのは、私の気が弱いせいだろうか?
気軽に入れる
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ここでもグリコ製品が多く置かれているので購入してしまった。この他ミネラルウォーターを多めに購入する。
おやつを購入
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昨日の別のコンビニにでも気になったが、タイ王国のコンビニには必ずといって良いほど、体重計が備え付けられている。見た所、1バーツ投入すれば使用できる様だが、需要はあるのだろうか?
どこのコンビニにも体重計が置いてある
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準備の整った所で改めて採集地へと向かう。方向としてはタイ王国・東部のカンボジア国境付近になる。広い空と広大な台地、そして国境付近の高い山々を見ながらそういった国の名前を聞くと、やはり国内ではない事を実感する。全てが未知なる場所での物語りに興奮を抑えきれない。
探索開始!
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うしやんさんが示すある看板に目を向けると、どう見ても楽しそうな雰囲気ではないドクロマークが表記されていた。確かテレビであのマークは見た覚えがある。・・・地雷に関するマークだと思い、うしやんさんに伺ってみると“地雷除去活動完了地帯”を表記したものであった。カンボジア国境付近という事で、日本では考えられない現実がここにはある事を実感する。話を伺っている内に緊張を感じたが、現在は安全な場所という意味であった。
地雷に関する看板
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途中、規則正しく並んだ樹があるので確認してみると「ゴムの樹」であった。樹皮を薄く剥いだ後があり、そこから白いゴムの樹液がでている。これを多く集める事でゴムの原料となる。タイ王国では多い様である。
ゴムの樹
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タイ王国は12月くらいから乾季に入るので、そうなると殆ど雨は降らないと聞いていたが、今日も雨は降りそうにない。舗装されてない道路など路面が完全に乾燥している。緑は青々としているが、全体的には乾いた印象を受ける。やはり八重山のイメージを連想してしまう。
熱帯らしいジャングル
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うしやんさんが、今シーズン樹液の出ているポイントを確認したというので、早速確認してみる。
樹液の出る樹
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うしやんさんが「あっ!あれっ!」と言う方向に目をやると、“見た事もない変な色”をしたクワガタが樹に付いている。個体を観察すると触覚をしきりに上下に動かしている様であり、個体の色彩とその行動に、自分が何を見ているのか理解できなくなってきた。
あっ!?
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・・・長網のロッドで樹に付いている個体を落とし確認してみる。その“オレンジ色の翅と見た事のない大顎”の迫力に圧倒されてしまった。どうやらモウホツヤクワガタ♂の長歯型の様で、「こんなクワガタが居るのか!?」という、変な例えかも知れないが“作られた玩具”の様に感じてしまった。タイ王国のクワガタという、その存在感に強烈なインパクトを受ける。
タイ王国・モウホツヤクワガタ♂(長歯型)
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モウホツヤを落とした周辺を少し調べてみると、他にもパーツを確認する事ができた。どうやらこちらは先程のモウホツヤの短歯型らしき個体の様で、この個体の状況を見た感じでは、やはり乾季に入り周辺のピークは過ぎている様に窺える。この樹は他にオニツヤというクワガタも集まるらしい。
モウホツヤ短歯型パーツ
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モウホツヤの樹をかなりの時間を掛けて確認してみるが、気が付くと少し薮の中に入っていた。タイ王国にも当然毒蛇が生息しているので、無理は禁物である。
無理は禁物
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少し場所を移動していると、見た事のないカミキリが飛んできた。頬の辺りがピンク色をした変わった感じのカミキリであった。・・・もう少し近付いて確認しようとすると飛び去ってしまった。
見知らぬカミキリ (Macrochenus
isabellinus)
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・・・移動を続ける。すると次第に舗装されてない林道は険しさを増し、いつしか南西諸島のダークゾーン以上に凄まじい悪路になってしまった。うしやんさんの車なので辛うじて進む事ができるが、これがいつもの国内離島のヴィッツであれば、すでにパンクしていると思う...。更に車を進めて行くと、小さな川を横断するなど、日本では考えられないオフロードのオンパレードであった。
凄まじい悪路!
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・・・もの凄い悪路を通り抜けると、やっと別の樹液ポイントに辿り着くことができた。この時点で、ジェットコースター数回分の体力消耗を感じたが、目の前に樹液の出ている樹が現われると、一瞬にして体力が回復した。
良いポイントらしい
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樹液の出ている樹に近付き確認してみる。すると明らかに大型甲虫と判る個体が樹液に集まっている。ヒメカブト♂♀であった。頭上1メートルほどの樹液に集まっている姿を観た限りでは、日本のカブトムシに似ている印象を受ける。
タイ王国・ヒメカブト♂♀
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更に近くの樹の樹液に、多くのヒメカブトが集まっていた。乾季に入り樹液はほとんど出てない様子であるが、ほんの僅かな樹液にヒメカブトが群がっている様である。
タイ王国・樹液に集まるヒメカブト
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改めてじっくりとヒメカブト♂の姿を観察してみる。日本のカブトムシに比べ小ぶりで、かなり赤い。そして何より角のインパクトが全く異なるので、普段見慣れた国産のカブトムシとはかなりの違和感を覚える。
タイ王国・ヒメカブト♂
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ふと近くに黄色い物体がある事に気付く。「バナナ」である。このタイ王国では野生のバナナを普通に見掛けるのである。どうやら熟したバナナが自然落下した様で、うしやんさん曰く「食べられます!」との事なので、興味本位で食べてみた。・・・日本のバナナの半分ほどの大きさであるが、味は甘みも無くイマイチだった。やはり日本のスーパーで売ってる味を覚えてしまうと味の差を感じてしまう...。
普通にバナナがなっている
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その後も探索を続けて行くと、乾いた樹の根元に大型の甲虫の姿が確認できた。見た目でクワガタであろう事は窺える。
クワガタ発見!
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個体を確認してみると大きなヒラタ♂であった。大顎の形状から日本の南西諸島に居るヒラタに近いものを感じるが、この個体が潜んでいた樹は、“ヒラタらしくない”全くと言っても良いほど水気の無い乾い場所だった。タイ王国のヒラタは乾燥に強いのだろうか?
タイ王国・ヒラタクワガタ♂
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更に近くの樹にて、先程のヒラタ同種と思われる♀の個体も洞の中に確認できた。掻き出し棒にて洞から引っ張り出してみると、やはりヒラタ♀の様であった。この個体は小振りだったが、日本のヒラタとよく似ていた。
タイ王国・ヒラタクワガタ♀
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ヒメカブトとヒラタを確認したところで一息つく。周辺を見渡してみるとバナナの樹が多くあり、この辺りの風景は日本の南西諸島とはまた一味違った印象を受ける。やはりタイ王国という海外であり、目の前の事全てが貴重な経験だと実感する。
日本の離島とは異なる風景
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なにか視線の様なものを感じ、目をやると動物の“しゃれこうべ”が置かれていた。犬なのか良く判らないが、なんだか不気味なものを感じてしまった。とりあえずここでの探索を終了する事にした。
プレデターの警告か?
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暫く林道を戻ると、先程モウホツヤクワガタを確認した樹に戻ってきたので、改めて確認してみると、今度はモウホツヤクワガタ♂短歯型が確認できた。長歯型とはまた趣の違う、日本のマルバネクワガタに近い印象を受ける。
タイ王国・モウホツヤクワガタ♂(短歯型)
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時間帯としては昼時を大きく回っているので、腹が減ってしまった...。すると、うしやんさん行きつけの屋台があるというので寄って頂くことにした。タイ王国の郷土料理が食べられるのは非常に楽しみである!うしやんさんにオススメ料理をオーダーしてもらい、運ばれてきた料理「ソムタム」を口にする。・・・メチャメチャ辛い!伺ってみると、パパイヤのサラダという事であったが、とにかく辛いのである。昨晩のタイ料理の辛さがクリアできたので、これもいけると思ったが、舌が痛くなり白旗を揚げてしまった。しかし「コムヤン」という豚のトントロは絶品で、タイ米と共にどんどん胃の中へ消えていってしまった。
コムヤン(トントロ)とソムタム(パパイヤのサラダ)
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・・・遅い昼食が終わる頃には日が傾き始めてしまった。
食後かなりの距離を移動し、何とか夕暮れ前に夜のポイントに到着する事が出来た。アテンドのお疲れもある中、運転を行っていただくうしやんさんに改めて感謝である。私もうしやんさんに新しい探索方法を見て頂こうと、日本から持ち込んだHIDライトトラップの準備を行う。
あの山でHIDライトトラップ
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時間と共に夜の帳が下り、いつしか漆黒の闇に包まれていく。HIDハンディライトの電源をONにし、タイ王国の夜空に向ってレーザービームが放たれていく。果たしてタイ王国の夜空から舞い降りる虫はいるのであろうか?・・・何も解らない分、未知なる興奮を感じる。
タイ王国の夜空にレーザービーム
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HIDライト点灯後、少しすると大量のセミが飛来し始めた。茶色っぽい見た事もないセミである。
見知らぬセミ
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とりあえず拾い上げ、ビックリ!背中側のサビた感じと違い、腹側はエメラルドグリーン色をしている怪しいセミなのであった。
驚いた裏側
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・・・セミやホタルは飛来するものの、甲虫の姿がなかなか確認できない。やはりそう簡単にはいかないものかと感じ始めていると、うしやんさんが何か黒い物体を発見した。
クワガタが飛んできた!
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うしやんさんと共に興奮して駆け寄ってみると、やはりクワガタであった。見た感じ昼間にも確認したヒラタ♀の様に感じる。異国の地でHIDライトトラップが行えるだけでも奇跡に近いのに、そのライトにタイ王国のクワガタが舞い降りてくれるのだから、興奮せずにはいられない。うしやんさんと握手してしまった。
タイ王国・ヒラタクワガタ♀
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次第に大きな蛾も飛来する様になってくる。日本では見掛けない緑色のスズメガも確認できる。
緑のスズメガ
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その後クワガタが飛来しないので半ば終了ムードが漂い始めた頃、カチっという音と共に甲虫が落ちたので確認すると、得体の知れないドルクスっぽい個体が佇んでいた。「この個体はいったい何クワガタなのだろう?・・・ネブト?ヒラタ?オオクワ?」どれもそれっぽくもあり、違う様にも感じる。手持ちの図鑑で調べてみると40_ほどの大きさや風貌から、ライヒヒラタ♂の可能性が高い様に感じる。うしやんさんと喜びながらも、Unknownなクワガタに「知らないばかりではいけない...。」と感じた。
タイ王国・ドルクス♂
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時間の経過と共に蜂の飛来が増え始め、いつしかライトの周りには蜂だらけになってしまった。ミツバチの様にも見受けられるが、刺されては敵わないとHIDライトの撤収を始めた。
数多く飛来した蜂
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・・・海外にて自前HIDライトトラップを敢行できた事は、本当に大きな経験になったと感じる。
HIDライト撤収後、山を下りる。昼食は遅かったが、それから随分と時間が経過したのでまた腹が減ってしまった。市街地に戻り、夜遅くまでやってる屋台に足を運ぶ。今晩のタイ料理は「パッタイ」。クァイティアオというビーフンの様な米から作られた麺を使用した焼きそばの様な食べ物で、砕いたピーナッツが掛かっており食感が良い。そして味も抜群に美味い!疲れていても、どんどん食が進んでしまう。タイ料理は辛いものも多いが、この「パッタイ」は日本人によく合う絶品料理だと感じる。
パッタイ(絶品!)
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今日1日どっぷりとタイ王国の探索を行うことが出来た。未知なる異国のクワガタやカブトムシに出会えた喜びもあると共に、タイ人の人柄の良さを実感できる1日でもあった。探索中も地元のタイ人の方が「何か面白いものでもあるの?」的にクワガタ探索している私達に声を掛けてきた。日本であれば見知らぬ外国人が、近所の森をウロウロしていたら“怪しい”として、「何をしているのだ!」という感覚で煙たがられるものだが、友好的な対応にタイ王国というお国柄が出てるのだろうと思う。
明日はプーミポン国王の誕生日
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・・・“微笑の国”タイ王国。遠征2日目にして、その虜になってしまった。
成績:モウホツヤ♂×2 ライヒヒラタ♂×1 ヒラタ♂×1 ♀×2 ヒメカブト♂×7
♀×4 (確認後、全てリリース)
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