ご注意!

2016年3月15日、環境省より、オキナワマルバネクワガタは、採集禁止となりました。詳細は、環境省サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。


2007.10.21(日)へっぽこ遠征in沖縄諸島(3日目)
沖縄県県・本島 11:45AM 晴れ 25℃ (涼しい) 同行者:kapiさん

沖縄本島、最終日の朝。

・・・この2日間、全く成果が出なかった。“へっぽこ”らしいと思いつつも、“現地のクワガタを1頭も確認できてない”と言うのは、寂しい限りである。・・・正直な所、前回の沖縄本島遠征時は、今以上に何も分からない状態での遠征だっただけに「確認できる訳が無い!」と開き直っての遠征だったが、今回はこの数年間で数箇所の離島探索を経て、多少なりとも“へっぽこ”なりに自信をつけての遠征であった。

・・・しかし、全くオキナワマルバネの雰囲気を感じる事が出来ない。いつもながら「自然相手の事だから...。」と納得しながらも、「沖縄本島のクワガタを観たい!」という思いもある。・・・宿をチェックアウトし、車を走らせるとすぐに“沖縄らしい”蒼い海を見る事が出来た。

沖縄の海
沖縄の海




途中のコンビニで朝食を購入し、最後の探索を開始する。3年前のオキナワマルバネ探索では昼間に活動している(正確には、車に轢かれたばかりの)個体を確認しているので、昼間であっても望みを捨てずにレンタカーを走らせる。・・・窓を開けると、今日も寒いくらいに気温は低い。

探索開始!
探索開始!



林道を車で流していると、明らかに他の採集者が放置したままの“干からびた”トラップがあるので、仕方なく回収して行く。昨晩の様に私たちが仕掛けたフルーツトラップを平気な顔して調べている採集者も居れば、仕掛けたトラップを回収しないまま放置している採集者も居る。私は自分の仕掛けたフルーツトラップは絶対に回収しているが、フィールドには様々な採集者が居る訳で、これが現状なのかも知れない。・・・なので、少しでも改善して欲しい意味も込めて、あえて採集記にて取り上げる様にしている。

他の採集者のトラップ残骸を回収
他の採集者のトラップ残骸を回収



林床に入ってみる事にした。どうやら奥の方に倒木もある様なので、倒木下に潜んでいるかもしれないクワガタを“倒木起こし”にて調べてみる事にした。

林床に入ってみる
林床に入ってみる



林に入る途中、手前の草原には様々な蝶が集まっている。紫色の美しい奄美大島でも観掛けた「ツマムラサキマダラ」も確認できる。

紫が美しい
紫が美しい



倒木に辿り着いたので、雰囲気のありそうな倒木を裏返すなどして、何かクワガタらしき生物が居ないか探していく。・・・当然、湿気のある場所という事もあり、“ハブが潜んでいる可能性”も視野に入れながら慎重に材を起こしていく。

倒木を起こしてみる
倒木を起こしてみる



・・・暫くすると、kapiさんが材の下から「オキナワシリケンイモリ」を発見した。私も以前の沖縄本島を訪れた際に確認したが、専門家が観れば模様やヒレのつき方など個体差は歴然なのであろうが、パッと観た感じはアカハライモリに似ていると感じる。・・・確か今年5月に行った八丈島にて、同じ様な場所でアカハライモリを見付けた事を思い出した。因みに“シリケン”とは尾が剣の様に尖っているので、“尻剣”と呼ばれるらしい。

オキナワシリケンイモリ
オキナワシリケンイモリ



その後も倒木を起こしていくと、オキナワコカブトが確認できた。やはりココのコカブトは陥没部分の凹みが違う。・・・考えてみれば今回の沖縄本島にて、まともな“クワ・カブ的甲虫”を観るのは、このオキナワコカブトが最初になるのである。・・・こうなると、何とか沖縄本島のクワガタも確認してみたい気持ちが増してくる。

オキナワコカブト
オキナワコカブト



・・・しかし、この後も材を起してみたが、材の下にはこれ以上の結果は見られなかった。


再びレンタカーに乗りオキナワマルバネ探索を行う。夜間の方が可能性が高い事は充分に分かっているが、限られた遠征期間を最大限に活用する為にkapiさんと共に路面を凝視していく。。

再びオキマル探索
再びオキマル探索



可能性を求めて様々な林道を確認していく。・・・オキナワマルバネの場合、樹液や発生木につく個体を探すのではく、歩行個体が路面に出てきた所を確認する方法なので、“運の要素”もかなり左右すると思う。それでも路面に出て来やすい“濃い場所”もあると思われるので、その様な場所を早い段階で把握する事が重要なのだろう。・・・しかし、それが難しい。

永遠と探す
永遠と探す



・・・オキナワマルバネは全く気配すら感じられないが、探索を続けながら自分達の仕掛けたフルーツトラップを全て回収した。この中には、目に余る他の採集者が放置して行ったトラップも入っている。

トラップを全て回収
トラップを全て回収



・・・それなりに良い時間になったので昼食を取る事にした。




昨日まで気が付かなかった場所に食事の出来そうな山小屋があったので、立ち寄ってみた。ロケーションとしては、標高のある見晴らしの良い場所で、kapiさんと共にカレーライスをオーダーしてみた。良い景色を見ながらの食事は旅の印象を良くするもので、気分良く昼食を取る事が出来た。

山間でカレーを堪能
山間でカレーを堪能



・・・食後、私たちの隣で野鳥を撮影している方が話しかけて来たので、少し話を伺ってみた。その方は山小屋の関係者の様で、関西から沖縄に移住してきたらしく、やんばるの自然保護活動を行っていると言う。やんばるの森では、“市街地から持ち込まれ放された”ペットであった犬が野犬化し、ノグチゲラやヤンバルクイナを捕食している様なのである。・・・初めて聞く話だったので興味深く伺ったものの、その内容に胸を痛めた。外産クワガタなどの放虫が問題視されている昨今であるが、この様な話を聞くと人間の身勝手さが生態系を崩しているものだと改めて感じる。

話の流れでクワガタの話になり、この山小屋の明かりにクワガタが飛んできたと言う。その標本を見せて頂いた。小さいながらもオキナワヒラタ♂の標本であった。

オキナワヒラタ♂(標本)
オキナワヒラタ♂(標本)



しかし驚いたのは、その隣にあったオキナワマルバネ♂で標本であった。大歯型の立派は標本であった。おそらく周辺で確認された個体なのだろう。・・・本来であればこの様なオキナワマルバネを自分達が確認してみたいものであるが、現実は厳しいものである。・・・それにしても立派な個体である。

オキナワマルバネ♂(標本)
オキナワマルバネ♂(標本)


食後は時間の許す限り探索を続ける。・・・気が付くとkapiさんは、初日に購入した「おきなわ島うた名選」を何十回も車内で聞いているせいもあって、そのほとんどの曲を覚えてしまって軽快に口ずさんでいる。中でもお気に入りの曲は「チョンチョンキジムナー」と「カチャーチどんどん」で、この曲が車内に流れると私とkapiさんのテンションは上がる!

望みを捨てずに...
望みを捨てずに...


・・・その後も探索を続けたが、飛行機の時間が迫ってきたので無念のタイムアップとなってしまった。非常に残念であるが、2泊3日の沖縄本島遠征にて“生きているクワガタの姿”を全く確認する事が出来なかった。いくら“へっぽこ”言えども初の事である。昨年の神津島遠征の様に最後まで望みは捨てなかったものの、これも現実なのであろう。・・・しかし、今回は初の南西諸島遠征となったkapiさんもご一緒しているだけに、今回の探索結果に申し訳ない思いも強い。

無念のタイムアップ
無念のタイムアップ



・・・那覇空港に戻る事にした。




東京・羽田空港行きの飛行機の中で、ボンヤリしながら「沖縄本島探索は今回で最後かな...。」と思う。時期的に北風に変わり予想以上に気温の低かった事や、例年以上に採集例の少ないハズレ年との話も聞けたが、今回の採集を肌で感じ、結果以上に難しさを感じた。昼夜問わず、沖縄やんばるの森をひたすら低速のレンタカーにて“路面だけを見続ける”作業は、本当にシンドイものがあった...。自分の足でフィールドを探し回る方法も疲れることは疲れるが、まだ“探索している充実感”は得られる。しかし今回の沖縄本島のオキナワマルバネ探索は、それとは違う厳しい印象を感じてしまった。・・・これでオキナワマルバネの1頭でも確認できれば、また違った印象だったのかも知れないが、今回は本当に厳しかった。

その様な事を考えていると、疲れているのに暗い機内の中、なかなか眠る事が出来なかった。・・・それでもkapiさんの「楽しかったです!また遠征しましょう!」との言葉が、ありがたく救われる想いであった。感謝以外の言葉が見付らない。kapiさんとはまた別の遠征地でご一緒して頂ければと思う。

帰京する...
帰京する...



・・・離島遠征でも“ボ〜ズ”...。残念ながら、これも現実である。



成績:オキナワコカブト×1
(確認後、リリース)

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