2007.05.12(土)へっぽこ遠征in伊豆諸島(1日目) 東京都・八丈島 9:00AM
晴れ 17℃
・・・2007年に入って神津島の“ミクラミヤマ採集禁止”という決定を知って、本当にショックだった。
自分自身は“キャッチ&リリース”という採集スタイルを掲げてきたが、今回の問題は私ひとりの問題ではなく、クワガタ採集者全体に下された結論なので、その現実は受け入れなければならない。・・・そうは言いながらも、過去2年間“神津島・ミクラミヤマ探索”という、非常に思い入れと充実感のある採集地が禁止になってしまった事で、2007年の離島遠征というモチベーションに影響を受けた事は間違いない。
・・・正直な所、この八丈島遠征も1週間前まで、決行するか否か迷っていた。・・・自分自身に迷いがあるなら一度行動を起こしてみて、それでもテンションが上がらない様であれば、その時また考えようと思った。
伊豆諸島・八丈島
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早朝、自宅から羽田空港に向かう。思えば昨年の11月に石垣島と与那国島へ遠征してから、半年が経過している。個人的には、それ以上に時間が経過している様に感じた。クワガタ採集のスイッチが一度OFFになると、次にエンジンが掛かるまで随分と時の流れを感じる。
羽田空港を目指す
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それでも羽田空港に着いてロビーまで来ると、昨年の“遠征モード”のスイッチが入り始めた。GW明けといっても客の数は多い。とりあえずカウンターに行き、予約しておいたチケットを受け取りに行く。
久しぶりの羽田空港
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搭乗手続きを済ませた後、朝食を食べながら何となく安心してしまったのか、少々ボーッとする。ふと腕時計を見ると、7時20分を回っている。飛行機の出発時刻は、7時30分。・・・全然時間が無い! 眠気が一気に覚める!!
・・・時間ギリギリだった
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搭乗口よりかなり前から、空港職員と共にダッシュをしながら搭乗口へ向かう。まさか羽田空港で“走り込み”が出来るとは、夢にも思わなかった...。それでも何とか定刻通り?に出発し、飛行機は八丈島に向かった。
テイクオフ!!
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羽田空港を発って約40分で八丈島に到着した。南西諸島と違って、八丈島は「東京都」な訳であり、同じ東京都内を移動してるに過ぎない。そういう意味では、伊豆諸島遠征は“不思議な離島遠征”に感じる。
まもなく八丈島!
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空港ロビーに行くとレンタカー屋が予定通り待っていてくれた。挨拶済ませ、用意してくれた車に乗り込む。まずは事務所に行き、レンタルの手続きを済ませる。今までもそうだが、レンタカーは可能な限り「TOYOTAレンタカー」を使用している。全車ナビ付きなので、色々と使い勝手が良い!
レンタカーを借りる
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レンタカーの手続きを済ませば、後は気の向くままに車を走らせる。とにかく今日は天候も良く気持ちが良い!!途中、絶景ポイントと呼ばれる場所で「八丈富士」を眺める。昨年11月の石垣島遠征より半年経った今、ようやく気持ちも“その気”になり、2007年の離島遠征が始まった!!
八丈富士の絶景
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まずは昨年ハチジョウノコを確認した場所に行ってみる。・・・ある意味、自分の“悪い癖”で、過去に自分なりの実績ポイントがある場合、まずそこへ行き“安定”を求めてしまう傾向がある。本当は地図を見ながら“自分なりの新規開拓”をして行かなければ、進展は望めない事も充分理解しているが、ある意味この辺りが“へっぽこ”たる所以かもしれない。
探索開始!!
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とりあえず目に付く倒木は“材起こし”していく。この時期の八丈島採集は、その材起こしと呼ばれる採集がメインとなる様で、八丈島に生息している「ハチジョウノコ・ハチジョウネブト」辺りが望める様である。ハチジョウヒラタもかなり少ないながら観れる可能性もある様なので、可能性にかけてみたい。・・・とにかく目に入る倒木を裏返してみる。
何でもひっくり返してみる
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・・・昨年に自分なりに実績のある場所のせいか、すぐにハチジョウノコの亡骸を発見した。通常で言うなら「元気な時に出会いたかった...。」と言う所だが、状況的に“成虫が野外活動している”裏付けを取る事ができたので、非常にポジティブな考えになった。亡骸を見た感じ、どうやら獣系に咬まれた様に見受けられる。この八丈島ではイタチを良く見掛けるので、もしかしたら発生後にイタチに捕食されたのかも知れない。
手掛かり発見!!
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その流れで周辺を探索して行くと、見たからに“雰囲気のありそうな倒木”を発見した。勝手な想像で「これは居るだろう!!」と感じ、期待感が膨らむ。結果として“居るか?居ないか?”判らない、この瞬間が採集の醍醐味であり、楽しい一時と感じる!
雰囲気のある倒木
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そして今年も、倒木の下には、ハチジョウノコ♂が潜んでた。昨年同様、相変わらず“体の割りに大顎が小さい”ずんぐりむっくりした体型だと感じる。・・・個体としては決して大型ではないが、やはり採集に来て一番最初に観る個体というのは、どの様な個体であっても嬉しいものである!
八丈島・ハチジョウノコ♂
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一番最初に見付けた個体以外にも、他にも何やらうごめいている物体が居るので、確認してみると別のハチジョウノコ♂だった。その個体は、いきなり周囲が明るくなった事を嫌ったのか、地中に潜ろうとしていた。こうやってみると、既に野外活動している個体は多いのかも知れない。
土中に潜ろうとするハチノコ
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2頭居るなら他にも居るのではと、良く確認すると3頭目のハチジョウノコ♂が潜んでいた。体に泥が付いている個体なので、蛹室から出てきたばかりの個体なのか?それとも既に野外活動をしていて、活動後に倒木下に潜って付いた泥か判らないが、自然体で佇んでいる個体を目の前にしながら、その様な事を考えるのも楽しい。
居る場所には多く居る
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結局この倒木下からは4頭のハチジョウノコ♂が確認できた。すぐ近くの倒木下にも別の個体が居たので、合計5頭という事になる。もっと時間を掛ければ、他の個体を確認できるかも知れないが“へっぽこ”的に5頭も観れば満足する。一時的に個体を確保したケースを覗いてみると、5頭共に大顎の小さい“ずんぐりむっくり”した体型であった。特に拘って探す事はないが、状況的にハチジョウノコの大歯型というのは、容易で無かろう事が理解できる。
どれも殆ど同じ体型
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とりあえず“安定”は完了したので、ここからが本番というか、気ままに探索していく事ができる。レンタカーを“昨年行ってない場所”に向けて走らせる。適当な空き地があったので、倒木が無いか確認していると少ないながらも見付ける事が出来たので、裏返してみようと持ち上げてみると意外にモロい材で、持ち上げただけでその一部分は崩れてしまった。・・・すると、何か小さな粒が出てきた。
グズグズ倒木
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拾い上げて手の平で確認してみると、チビクワだった。・・・ホント小さい。普段見慣れない種なので、意識して見ないと“クワガタではない”様な気がしてしまう。相変わらず♂か♀か判らない。すぐに戻す事にした。
八丈島・チビクワ
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その後も探索を続けていき、雰囲気の良い倒木を見掛ける事が出来る。ただ、その大半はGWに遠征してきたと思われる採集者に、手を付けられている(材割りされている)状況で、まだ新しい削り後が良く確認できる。私の採集方法は、昨年同様“軍手のみ”で倒木の下を確認していく。倒木を持ち上げる作業は筋肉の鍛錬になり、個人的には良いトレーニングと感じる。
雰囲気は良し
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いくつか倒木を持ち上げていく中で、時折ハナムグリ系?と思われる幼虫が現れる事もある。更にその中に、クワガタと思われる幼虫(画像・左)も確認できるのだが、“へっぽこ”である私は相変わらず種の同定が出来ない。・・・気の毒なので潰さない様に倒木を被せていく。
ハナムグリ系?幼虫とクワガタ幼虫(左)
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(幼虫の拡大画像は、こちら) ・・・どうやらハチジョウノコ幼虫の様です。
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それ以外にも倒木下には、“意外な生き物”が潜んでいたりする。その殆どが「サツマゴキブリ」なのだが、真っ赤な物体が現われた時には、かなり驚いた。S型“シャア専用”かと思ったが、通常の量産型「アカハライモリ」だった。確かに“水陸両用”なので、陸にいてもおかしくないが、倒木に下に潜んでいるのは予想外だったので、見た瞬間“毒々しい”印象を受けてしまった。
ショッキングなレッド!!
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探索をして行く上で気付くのは、神津島の畑で栽培していた「明日葉」を良く目にする。明日葉は畑でも栽培されているが、道端や空き地などでも自生している風景を見掛ける。個人的には“明日葉=ミクラミヤマ=神津島=採集禁止”という、最近の“寂し過ぎる現実”をイメージしてしまう。どちらにしても、畑で栽培しているものがある限り、無断進入などは絶対に行ってはいけない事であり、畑の所有者が居れば必ず許可を取るべきで“居なければ諦める事”が重要な選択肢だと思う。ルールを破る事で、結果として採集禁止という“重い十字架”を背負うのは採集者になってしまうのである。
明日葉も多い
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とりあえず時計は昼時を回っているので、昼食をとる事にした。直前に明日葉を見ているだけに、やはり地元の物が食べたいと思い、蕎麦屋に行く事にした。個人的に明日葉は、天ぷらが一番美味しいと感じる。葉っぱ独特の苦味も無くなり、カラッとした食感が楽しい。今回も美味しく食べる事ができた。
“明日葉天”ざるそば
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午前中に昨年の実績ポイントを回ったので、午後は全く未知の場所を回る事にした。まだハチジョウヒラタ、ハチジョウネブト、ハチジョウコクワを確認していないので、結果は分からないながら探索を進めることにした。
気持ち良い林道
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それにしても八丈島では明日葉以外にも、やたらと見掛ける植物がある。街路樹の様に生えているものもあれば、畑で栽培している風景も見かける。・・・植物の名前は「フェニックス・ロベレニ−」。ここ八丈島産のものは、ヨーロッパに輸出されている様で、どうやら日本の市場価格の“10倍”近くもの高値で、売れるとの話である。島中どこに行っても「フェニックス・ロベレニ−」ばかりである。
フェニックス・ロベレニ−
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その後も林道を進み、探索を続けていく。・・・すると明らかに先行者が材割りをしたと思われる痕跡があり、その残骸が周辺に散らかっていた。その先行者が採集できたのか、否かは判らないが、林道の中央に材の破片が転がっていたので「邪魔だなぁ...。」程度に、拾い上げて道の端に放り投げていく。目立つ破片そのものは少なかったが、何気なく一緒に落ちていた“腕ほどの細さで短い枝”も拾い上げ、道端に投げると、グズグズっぽかった枝は真っ二つに割れてしまった。
・・・そして、その割れた辺りから“何か”が飛び出した。その“何か”がひっくり返っているので、何気なく目をやると...。なんとハチジョウコクワ♂であった。・・・まさか、こんな形で見つけられるとは思いもしなかったので「え〜っ!」と声を出して驚いた。それにしても赤さ加減が、通常のコクワとは比べ物にならないほど赤く感じる。
八丈島・ハチジョウコクワ♂
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もしやと思い、2つに割れた枝を拾い上げてみると、その片方の隙間からハチジョウコクワ♀の姿が出ていた。・・・こちらは通常のコクワ♀と区別が付かないほど普通だった。
八丈島・ハチジョウコクワ♀
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どのくらい“細くてグズグズ”な枝かというと下記の画像を参照にして頂きたい。真っ二つに割れた片方の枝である。比較対象の携帯電話の幅ほどの枝で、樹皮もすぐに剥がれる様なモロい感じであり、まさか“放り投げて割れる様な枝”からハチジョウコクワのペアが出てくるとは思いもしなかった。
細くてモロい場所から
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もしかすると、この枝を砕けばもっと個体が確認できたかもしれないが、予想外のハチジョウコクワのペアが確認できただけで、充分“サプライズ”だったので、記念にサイズ(♂39.2_、♀23.3_)だけ計った。個人的には意外な場所でハチジョウコクワが確認できたので、嬉しかったと共にそれ以上の追跡は必要ないと感じた。その後、見付かり難い場所にリリースした。
ハチジョウコクワをリリース後、レンタカーを走らせると美しい夕日を見る事が出来た。何だか気持ちも黄昏てしまった。本来なら夜回りも行い、更なる探索を続けても良かったが、気分的に「本日終了」モードに入ってしまったので、無理に活動する事はやめて温泉に入りに行く事にした。
夕日と八丈小島
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温泉に入り、暫くくつろいだ後に夕食を食べに行く事にした。気分が良かったので少々奮発して寿司屋に行く事にした。昨年食べて美味しかった「島ずし」をオーダーする。同じ「島ずし」でも八丈島は、神津島とネタも全く違う。店によるのかも知れないが、味は断然こちらの方が美味い!!
島ずしを堪能!
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・・・食後は夜回りせずに、そのまま宿に戻り明日に備える事にした。今日は午前中から八丈島を探索し“へっぽこ”なりに楽しめた。また明日もマイペースで楽しんでいきたい。
成績:ハチジョウノコ♂×5 ハチジョウコクワ♂×1 ♀×1 チビクワ×5 (確認後、全てリリース)
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