2006.08.06(日)へっぽこ遠征in伊豆諸島(1日目)
東京都・伊豆大島 7:30AM 晴れ 32℃ (暑い) 同行者:kapiさん

2006年8月の遠征先はkapiさんと共に伊豆大島に決定した。伊豆大島は東京湾からジェットフォイルで約1時間30分で行ける、身近な離島である。伊豆諸島といえば、神津島のミクラミヤマが有名であるが、この伊豆大島もミヤマクワガタの亜種である「イズミヤマ」が生息している。もちろん伊豆大島への目的はイズミヤマという事になる。私もkapiさんも“ミヤマ好き”という点で、イズミヤマ探索の話題で盛り上がっており、「一度、伊豆大島に行ってみよう!」と話していた事が今回実現する事になった。

伊豆大島(東京都)
伊豆大島(東京都)



8月という事で竹芝桟橋の“東海汽船乗り場”は非常に込み合っている。5月の神津島遠征時はGWを外しているせいか、あまり人の多さは気にならなかったが、今回は待合場が大混雑である。東海汽船は通常ネットで予約を行なっているが、この時期はすぐに定員になってしまいネット予約が出来ない。仕方ないので電話枠を使ってみた事で座席を確保できた。あくまでも参考程度になるが、ネットで予約が定員の場合は、直接電話で確認した方が予約しやすい場合もある。更に厳しい場合は“旅行会社枠”がある場合が多いので、各旅行会社のパック品をあたってみると意外に残っている場合もある。

夏休みなので大混雑
夏休みなので大混雑



午前7時45分発の大島行きのジェットフォイル“夢”に乗り込む。kapiさんは船酔いをするらしく“酔い止め”を飲んでいる。なんだか5月の神津島行きの“大荒れ”を思い出し、念のため私も飲む事にした。

東海汽船ジェットフォイルに乗り込む
東海汽船ジェットフォイルに乗り込む



・・・夏休みでチケットが全く取れなかったので、満席かと思ったらそれなりに座席は空いている。キャンセルが出たのだろうか?その辺りの“大人の事情”は判らないが、とりあえず定刻どおりジェットフォイルは出航した。そして程なくしてレインボーブリッジに到達する。・・・改めて考えてみるとレインボーブリッジの“下側”から橋を見た事が無かったので、とりあえず画像を押さえてみた。・・・感想としては“橋の下側”というベタな印象であった。

レインボーブリッジの下側より
レインボーブリッジの下側より




それほど大きな揺れも無く、うつらうつらしている内に1時間半は過ぎ、大島・元町港に到着した。・・・しかし、上陸して驚いた!島全体に靄が出ていて先の景色が全く見えない。・・・大丈夫であろうか? とりあえず予約しておいたレンタカーを借りに行く事にした。

大島到着(霧が凄い)
大島到着(霧が凄い)



少し待たされたが何とかレンタカーを借り、島内を回ってみる。実は今回の遠征は1泊2日なので、今日が勝負になる。・・・雰囲気の良さそうな場所を探していると、急に“怪しい壁”が現れた!調べてみると“150万年前から数百回に及ぶ三原山の噴火によって、火山灰が幾層にも重なってできた地層”との事であった。通称“バームクーヘン”と呼ばれているらしく、確かにそう見えない事もない。中央下の標識と比べると、どれだけ“巨大なバームクーヘン”であるかお分かり頂けると思う。大自然の力を見た気がした。

凄い地層!
凄い地層!



昼食は、とりあえず島のスーパーで購入する事にした。kapiさんと共に弁当と飲み物を買い、車の中で平らげる。大島ならではの“美味い料理”は夕食にする事にして、昼間は時間があるだけ下見に時間を掛る事にした。

昼食はスーパーで弁当を購入
昼食はスーパーで弁当を購入




昼食後、雰囲気のありそうな山に入ってみる。・・・と、言っても簡単にはクワガタには出会えない。まずは広葉樹を探し、樹液が出ているかを確認し、甲虫が集まっているかを確認していく。いかに昼間の間にこの作業を行い、夜間に期待出来るかを見極める事が重要になってくる。・・・と、言ってもほとんど何も確認できないまま夜になってしまう事の方が圧倒的に多い。

とりあえず山に入ってみる
とりあえず山に入ってみる



とりあえずは雰囲気のありそうな場所を決めて、フルーツトラップも仕掛けていく。kapiさんは“初めてのフルーツトラップ”との事である。私と共に“思い思いの場所”に仕掛けていく。・・・ミヤマが付く可能性は低いと思われるが、せっかくなので色々と試してみたい。

フルーツトラップを仕掛ける
フルーツトラップを仕掛ける



暫く探索しているとクワガタのパーツが落ちていた。どうやらノコ♂の様である。伊豆大島のノコギリは“かなり大型になる”と聞いた事があったが、確かにパーツだけであるが“完全体”であれば、かなりの大きさであると思われる。イズミヤマも気になるが、超大型ノコの存在も気になってきた。

第一“クワパーツ”発見!
第一“クワパーツ”発見!



大島の広葉樹はヤシャブシが大半を占めている様に感じるが、所々で僅かではあるがクヌギ林も確認できる。大木というよりは細い年輪の少ないクヌギばかりであるが「クヌギ」というだけで期待感を持ってしまう。とりあえず樹液が出ていないか確認しながら“蹴り採集”も行なってみる。

僅かにクヌギ林もある
僅かにクヌギ林もある



kapiさんが細いクヌギを蹴ってみると、甲虫が降って来た!明らかにクワガタらしいシルエットであった。すぐにその個体を拾い上げる。・・・何とイズミヤマ♂であった。驚いた!!まさかこんなに早くイズミヤマの勇士が観られるとは思わなかった。

ミヤマか!?
ミヤマか!?



タッパーに入れて改めてイズミヤマ♂を観てみる。かなり小型の個体であるが“イズミヤマ”には変わりない。このイズミヤマの特徴をkapiさんに伺うと“本土のミヤマより腹が大きい”との事である。やはり亜種だけに特徴はある様だ。

伊豆大島・イズミヤマ♂
伊豆大島・イズミヤマ♂



とりあえずは最低限の確認は出来たので、場所を移動しながら大島をチェックしていく。見晴らしの良い場所に来たので車を降りて景色を眺める。海は深く美しい。とても同じ東京の海には見えない。東京湾の“黒い海”から1時間半で、こうも色が変わるものであろうか? 本当に美しい海である。

美しい“東京の海”
美しい“東京の海”



途中、ミカン系の樹があったので確認してみる。先日の徳之島遠征時に、多くのトクノシマノコが集まっていたのが“ミカン系の樹”であった事を思い出し確認していく。・・・しかし、全く居ない。良く観るとその樹はミカン系といっても“レモンの樹”であった。流石にレモンには集まらないのか?


暫く探索を続けたが、腹が減ったので夕食を取る事にした。大島といえば「べっこう寿司」だろう。5月に一度、大島に立ち寄った際もこのべっこう寿司を食べたのだが、内容は“目鯛を青唐辛子醤油と酒タレに漬け込んだ”ピリ辛寿司で、非常に美味である。適度な辛さが暑さでバテ気味の中でも食欲を促進させる。・・・あっという間に平らげてしまった。また、kapiさんの食べていた「べっこう茶漬け」も、お茶漬けの上の具に“べっこう”が乗っており美味しそうであった。やはり、その土地のモノを食べて“美味かった時”は最高である!

“大島名物”べっこう寿司
“大島名物”べっこう寿司




夕食を食べ終えた頃には、すっかり外も暗くなっていた。早速レンタカーを走らせ外灯周りを始める。・・・伊豆大島の外灯や如何に!?

外灯回り開始!
外灯回り開始!



外灯周りを始めてすぐに甲虫の姿を確認できた。シルエットからしてノコ♂である事は判ったのだが、何か様子がおかしい...。良く見ると腹の部分だけが何者かに食べられているのであった。確か昼間にリスの姿を見掛けたので、犯人かも知れない。食べられたのは、ほんの数分前といった感じで、ノコ♂上半身は元気?に動いていたが、段々とアリに集られていく姿が可哀相であった。

まだ生きているノコ♂(Aパーツのみ)
まだ生きているノコ♂(Aパーツのみ)



しかし、すぐ近くの外灯には元気で“五体満足”なノコ♂が確認できた。・・・かなり大型に感じる。やはり噂通り“伊豆大島のノコは巨大サイズ”なのか?個人的に近年稀に見る大型ノコであった。

伊豆大島・ノコギリクワガタ♂
伊豆大島・ノコギリクワガタ♂



こうなると早くイズミヤマを確認したい所であるが、外灯下にはノコばかりが集まっている。それにしても外灯に集まってくるノコは、どれも本当に大型である。ある外灯で見掛けたノコ♀は“カブトムシの♀かと思うほど”巨大サイズであった。

伊豆大島・ノコギリクワガタ♀
伊豆大島・ノコギリクワガタ♀



外灯を回っていくと、ある外灯に大型の甲虫が飛び回っていた。急いで車に長網を取りに行き、捕獲しようとすると...。なんとkapiさんの肩に着地?した。・・・やはりミヤマではなく、ノコ♂であった。

kapiさんに飛来したノコ♂
kapiさんに飛来したノコ♂



その後も探索は続けていくが、なかなかイズミヤマの追加個体が確認できない。その様な中である外灯下でkapiさんは“イズミヤマ・ヘッド”を見つけられた。初めての場所では、この様に亡骸であっても確認できれば、“この周辺に生息しているかも知れない”というキーワードになるので見逃す訳には行かない。この状況下ではもう少し調べていく必要がある。

イズミヤマ・ヘッド
イズミヤマ・ヘッド



伊豆諸島のクワガタは“オオバヤシャブシに良く集まる”と聞いていたが、今回の伊豆大島を観ている限りでは“噂通り”ヤシャブシの樹に良く集まっていた。確認できたのはノコばかりであったが、場所次第ではイズミヤマも確認できるのかも知れない。

ヤシャブシに集まるノコ♂
ヤシャブシに集まるノコ♂



伊豆大島は、どういう訳かコクワの姿を殆ど見かけない。外灯下は大半がノコばかりで、コクワの姿は今回の大島では“轢かれた個体1頭のみ”であった。時期的にノコが最盛期という事で、コクワはもう少し後にならないと個体数が増えないのかも知れない。

大島はコクワが少ない?
大島はコクワが少ない?




深夜2時を回っているが、kapiさんと共に可能性を信じ探索していく。1泊2日の遠征なので外灯を確認できるのは今日しかないのである。先程イズミヤマパーツを確認した数箇所のポイントを、何度も往復しながらイズミヤマの飛来を待つ。深夜になって個体数は減ったものの、ノコは相変わらず飛来している。

その様な中で急にkapiさんが私の事を呼んでいる。・・・もしやと思い駆け寄ってみると、何とイズミヤマ♀が飛来していた。「う〜む、素晴らしい。」諦めずに根気強く探索した甲斐があった。私も急にテンションが上がり、周りに他のイズミヤマの個体が居ないか調べていく。

伊豆大島・イズミヤマ♀
伊豆大島・イズミヤマ♀



すると驚いた事にkapiさんがイズミヤマ♀を確認した場所から、そう遠くない場所に別のイズミヤマ♀の個体を確認する事が出来た。私自身、当然この個体が初めてのイズミヤマとなった。見た目は本土の個体とほとんど変わらない印象を受けるが、“イズ”が付くミヤマという事で個人的な採集記として、良い確認が出来たと嬉しい。それにしても深夜という時間帯でもイズミヤマは活動している事が勉強にもなった。

魔琴初採集!伊豆大島・イズミヤマ♀
魔琴初採集!伊豆大島・イズミヤマ♀




その後ももう少し探索を続けたが、イズミヤマ♂×1頭、♀×2頭の確認できた満足感から、明日のスタミナも考え宿に戻る事にした。



成績イズミヤマ♂×1 ♀×2 ノコ♂×9 ♀×4
(魔琴:持ち帰りなし)

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