ご注意!

2015年5月1日、石垣市条例で、チャイロマルバネクワガタヤエヤママルバネクワガタヤエヤマノコギリクワガタ採集禁止となりました。   下記、採集記は規制以前のものです。


2005.11.11(金)へっぽこ遠征in八重山列島(1日目)
沖縄県・石垣島 1:00PM 晴れ 29℃ (暑い)

2005年ラスト遠征は、昨年と同じく石垣島に行く事にした。昨年の11月と先月に石垣島入りはしているので今回で3度目になるが、果たしてチャイロマルバネは確認できるのであろうか?そして昨年以上のヤエヤママルバネを確認できるのであろうか?

与那国よりは近い・・・
与那国よりは近い...



先月の与那国島同様、6時40分羽田空港発の石垣空港行きの飛行機に乗る為、自宅を5時前に出発する。・・・当然、辺りは暗い。国道には大型のトラックが多く走っている。コーヒーブラックを飲みながら車を走らせるが、なかなか眠気が取れない。と、言うか最近は20代の頃に比べて疲れが抜けにくくなっている。色々と仕事やら家庭の事情やらと頭の痛い問題も山積であるが、何とか取れた休暇をリフレッシュの為にも南国でトリップしたい...。

夜明けは遠い
夜明けは遠い



6時前に羽田空港に到着したは良いが、羽田空港そのものがまだ機能していなかった...。チケット購入の機械や搭乗手続き用の機械は、まだ電源が入っていない。・・・眠い。

開店前の羽田空港
開店前の羽田空港



その後6時過ぎに空港内の機械が使用可能となり手続きを済ませる。そして順調に6時40分には羽田を発つ事ができた。




羽田を発って3時間弱、2ヶ月連続の石垣島入り。相変わらず美しい海と自然が残っている。・・・思えば6月から6ヶ月連続で飛行機での遠征を行っている。人から見るとどう思われるか分からないが、自分なりにその時その時を楽しめればそれで良いと思っている。

まもなく石垣島
まもなく石垣島



石垣空港に着き飛行機を降りてすぐに感じたのは、とにかく暑い!!確か今朝、東京を出る時は13℃位であったが、ここ石垣では29℃もある。同じ日本なのかと思ってしまうほど違いを感じる。予め手配して置いたレンタカー屋が迎えに来ていた。早速レンタカー屋に行き手続きを済ませる。

石垣空港
石垣空港



時間帯は昼なので昼食をとる。どこか入っても良かったが、少しでも早く山に入りたかったのでコンビニで弁当を買って、車の中で移動しながら食べる事にした。いつもながら南西諸島の弁当やおにぎりは、必ずと言っても良いほどスパムミートの様な肉の入った“ポーク&卵焼き”料理が入っている。個人的にはかなり気に入っている料理なので、必ず買ってしまう。

南国仕様の弁当
南国仕様の弁当



コンビニを出て空を見上げると雲は完全に“真夏仕様”である。東京では完全に秋の空なので、何というか懐かしい様な不思議な感覚に陥る。11月中旬になってもこの雲の形と30℃近い気温、やはり南国である!

雲は完全に真夏
雲は完全に真夏



車の中で食事を済ませ、とえりあえず山に入ってみる。林道から時折見える海が美しい。この南国仕様の海の色を見ると、自然とテンションが上がる!それにしても暑い!すぐにタオルが汗でびしょ濡れになってしまう。

海は蒼い!
海は蒼い!



チャイロマルバネを探そうと、目に付く樹の枝先を見ていくと南国特有の「キノボリトカゲ」の姿があちらこちらで確認できる。素早く枝を上り、枝から枝へ飛び移っていく。緑が多い場所なら体色を緑色に変化させ、枝先などの茶色が多い場所なら体色を茶色に変化させていく。まさに“日本のカメレオン”の様な生き物である。

キノボリトカゲ
キノボリトカゲ



石垣島では11月中旬でもセミが多く鳴いている。特に個体数が多くうるさいのは「イワサキゼミ」であろう。少しでも気温が上がれば盛んに鳴き出し、チャイロマルバネを探そうと目を凝らして樹を見ても、イワサキゼミだけはすぐに見つかる。

イワサキゼミ産卵中
イワサキゼミ産卵中



明日以降の天候が悪い様なので、本格的にチャイロマルバネ探索が出来そうなのは今日だけになりそうだ...。林道脇の枝先を見たり、地面もチェックしていく。山に入ってからかなりの時間経過したが、なかなかそれらしき物体は確認できない...。真夏並みの暑さの中、少々へばって来たので小休止しようと思い、歩を停めた場所で何気なく下を見ると...?。地面に何やら茶色の物体が見えた。

まさかっ!!
まさかっ!!



すぐに駆け寄り確認してみると、チャイロマルバネ♀であった。・・・しかし、すでに息は無かった。いつもながら...、元気な時に会いたかった。それでも前向きに考えれば生息域に達している訳であるし、もう少し探していけば元気なチャマルが居るかもしれない。すぐに結果が出ないことは自分が一番よく分かっている。採れないかもしれないが、採れるかもしれない...。可能性を信じて根気良く探していく。

チャイロマルバネ♀(昇天)
チャイロマルバネ♀(昇天)


!!

いきなり携帯が鳴った。いつもなら山に入る時は、余計な邪魔に入られたくないので携帯の電源を切っておくのだが、今回は切り忘れていた。・・・相手は仕事の得意先だ。客先から見れば、こちらの休暇はあって無い様なものなので、仕方なく電話に出る。・・・内容はもちろん仕事の話で、有り難い事にオーダーを頂ける話になった。

・・・客先と話こと15分。なかなか電話を切るタイミングが見つからない...。目の前には南国の蝶達が乱舞している...。

テレビ電話でなくて良かった....。


・・・何とか携帯の電源を切る事ができた。気を取り直して探索を始めようとした瞬間、かなりの至近距離から“巨大な何か”が飛び立った・・・。その物体は10メートルほど先の枝にぶら下がった。「ヤエヤマオオコウモリ」であった...。巨大バットマン...、心臓に悪い...。

ヤエヤマオオコウモリ
ヤエヤマオオコウモリ



その後も相当歩き回ったがチャイロマルバネは、先程の亡骸しか確認できない。随分と時間が経過した感があったので時計を見ると、18時を表示している。・・・この時期の東京であれば16時半を回るとかなり暗くなるが、石垣島では18時でもまだまだ明るい。南西に居る事を改めて実感する。

18時でもまだ明るい!
18時でもまだ明るい!



18時でもまだ明るいと言っても山林の中では大分暗くなってきた。チャマル探索に残された時間は少ないので、気合を入れなおして探索を続けていく。・・・すると黒い物体が見えたので確認してみると、ドルクス系の♀の亡骸であった。場所柄サキシマヒラタ♀であろう。時期からして発生は終わっているのだろうが、亡骸を見た限りでは綺麗な状態なので、息絶えてからそれほど時間は経っていないだろうと思われる。

サキシマヒラタ♀(昇天)
サキシマヒラタ♀(昇天)



サキシマヒラタ♀の亡骸を確認した場所のすぐ近くに、“ひっくり返りうごめく物体”が目に入った。すぐにクワガタの♀だという事は分かったが、普段見慣れない形をしていたので拾い上げてみると、何と生きているチャイロマルバネ♀であった!随分と傷ついた個体であったが、生きている個体を確認できた事が嬉しい。今回の石垣島遠征の1つの目標であったが、時期が遅すぎる懸念もあったので、何とか確認できてホッとした。

石垣島・チャイロマルバネ♀
石垣島・チャイロマルバネ♀



辺りはすっかり夜の帳が下りて真っ暗になってしまった。とりあえず夕食をとる為に一度町へ戻る事にした。レンタカーまで戻る間、今まで探索してきた道を今一度確認しながら歩いていると、チャイロマルバネ♂の亡骸を確認した。残念ながら息絶えていたが、結果として生体1♀・亡骸1♂1♀の確認が出来ただけでも“へっぽこ”なりに充分堪能できた。

チャイロマルバネ♂(昇天)
チャイロマルバネ♂(昇天)


市街地に戻り夕食をとる。初日はやはり「八重山そば」にする事にした。先月の与那国島でも感じたが、南西諸島では「沖縄そば・八重山そば・与那国そば」という様に食べる場所によって「そば」の頭に付く名前が変わる。ラーメン同様、店によってかなり味に差はある。・・・今回の味は厳しかった。

八重山そば
八重山そば




石垣島・本丸のヤエヤママルバネの探索に入る。一応、昨年ヤエマルを確認した場所に行ってみる。昨年は多くのヒキガエルやゴキなどを見掛けたが、今回は昨年と同時期にも拘らず、生き物の気配が少ない気がする。とは言うものの、時折南国の夜の森は“得体の知れない”鳴き声がこだまする...。普段聞きなれない鳴き声なので、勝手に恐怖心だけが膨らんでいく...。とにかく夜になると“得体の知れない”物体が気になる訳だが、とりあえず個体数の多そうな、“甲高い声でカラカラ鳴く正体”を突き止めようと、恐るおそる近付き懐中電灯を当ててみた。

すると...、小さなカエルが元気に鳴いていた...。

ヤエマル探索開始!!
ヤエマル探索開始!!



元々怖がりなのだが、先月の与那国での遭難を経験してから、更に輪を掛けて“怖がり”になってしまった様である。情けない...。そんな中、ホッとする瞬間もある。ホタルの暖かい光が目に入ってきた。昨年も石垣島で確認した「オオシママドボタル」であった。この種も“陸生ホタル”で下記画像の様な“飛び回るタイプ”は♂だけで、飛ぶ事のできない♀は体の形状も異なり、“イモムシ”の様な形をしている不思議なホタルである。

オオシママドボタル
オオシママドボタル


肝心なヤエヤママルバネの話が一向に出てこないが、実は随分と探し回っているのだが...、見つからない。いくつかの山に入り探索を続けるが、なかなかスダジイに個体を確認する事が出来ない。昨年はいきなり♀を確認した事で少々甘く見ていたのかもしれない...。時間が経つにつれ段々を焦りを感じてくる。採れなければ仕方ない事なのだが、昨年は運が良すぎたのだろうか?それとも今年の発生はすでに終了しているのだろうか?

日頃の疲れが抜けていないせいか、気力がいつも以上に続かない...。今日は日が悪いのか、明日に備えて休もうか考えてしまう...。しかし、考えた所で始まらない事は分かっている。やはり少しでも足で稼いで、1本でも多くのスダジイを確認していくしかない!

・・・気が付くと細かい雨が降り出していた。そろそろ本当に見切りを付ける時が来たかと思ったが、あと10分頑張ったら切り上げようとスダジイを確認していく。・・・すると懐中電灯の先に一瞬、キラっと甲虫独特の“テカり”が見えた気がした。それがゴキだったら仕方ないと思う反面、手応えは感じていた。眠気も疲れも吹っ飛び、テカる個体に駆け寄ってみる。

なぬっ!!
なぬっ!!



・・・ヤエヤママルバネ♂だった。

相変わらず照明を当てるとワインレッドに光り輝く。離島採集は時間も費用も掛かるが、この瞬間を求めてはるばる遠征するのである。小さな♂1頭採集しただけで笑われてしまうかも知れないが、“へっぽこ”は、この1頭に辿り着くまでが容易ではない。もっと効率の良いやり方があるかも知れないが、自分なりに確認できた時には、自分だけの感動がそこにある。途中でめげそうになったが、粘って良かった...。

石垣島・ヤエヤママルバネ♂
石垣島・ヤエヤママルバネ♂



ヤエヤママルバネ確認に欲を出してもう少し頑張ってみたが、その後キラっと輝く個体は全てゴキであった。




ヤエヤママルバネは、「タテヅノマルバネ」の種類の中では、比較的採集しやすいと言われているかも知れない。しかし、自分にとっては今回かなり時間を掛け、苦労してやっと確認できた個体は、たったの50_♂1頭のみであった...。それでも昨年以上に嬉しかった。改めてヤエヤママルバネを見てみると、光り輝くワインレッドは見る者の“離島病”をより悪化させる悪い魔法が掛かっている様である...。


明日の朝食は食べられそうも無い...zzz



成績ヤエヤママルバネ♂×1 チャイロマルバネ♀×1
(今回の採集個体は、あいあんさんの研究用として持ち帰り。)

2日日へ

採集目次に戻る