ご注意!

2011年4月1日に種の保存法「国内希少野生動植物種」に指定され、ヨナグニマルバネクワガタ採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。


2005.10.21(金)へっぽこ遠征in八重山列島(1日目)
沖縄県・与那国島 1:00PM 晴れ時々雨 27℃ (暑い)


以前から行ってみたかった“日本最西端の島”与那国島に行く事にした。与那国島には「ヨナグニマルバネ・サキシマヒラタ・ヨナグニネブト」が生息している。せっかく与那国島に行くのだから、幻と言われているヨナグニマルバネを確認してみたい。かなり生息数は少ないとの事なので“へっぽこ”ごときに確認できる様なクワガタでは無いと思うが、現地に足を運び与那国島の風を感じながら、可能性を信じて行きたい。

日本最西端の島!
日本最西端の島!



6時30分羽田空港発の飛行機に搭乗する為、朝は4時起きで支度をする。外へ出るとまだ真っ暗だ。昨夜は飲み会だったのであまり寝ていない...。眠さはあるが、日本最西端の与那国島へ遠征する事を考えれば、自然とテンションも上がってくる。まだ朝の渋滞も始まっていない様なので、順調に羽田空港に向かう。

まだ夜です...
まだ夜です...



6時前に羽田空港に着く事ができた。まずは石垣空港行きに乗る。羽田空港からは与那国島へ直行便が無いので一度、石垣空港を経由してから与那国島入りとなる。ただ今回は、たまたまチケットを購入する事が出来たが、羽田→石垣行きは本数が極端に少ないのでなかなか購入できない。元々は羽田→那覇→石垣→与那国という2回乗り継ぎを予定していた。やはり日本最西端の島は遠い...。

6時30分発の石垣島行きへ搭乗
6時30分発の石垣島行きへ搭乗


羽田空港を発ってから約2時間。石垣島が近づいてきた。海を見ると南国仕様の蒼い海である。何だか石垣島でヤエヤママルバネ&チャイロマルバネ探索でも良い気がして来た...。

石垣島の美しい海
石垣島の美しい海



石垣空港着後、慌しく飛行機を降り与那国島行きの飛行機に乗り継ぐ。その間、40分ほどしかないので少しでも石垣空港入りが遅くなった場合、与那国空港行きに乗れない恐れがあったので一安心した。どうにかなると思いながらも、今年は沖永良部&対馬遠征で飛行機の弱さを体験済みなので、どうも心配性になっている様である。

石垣島から与那国島行きに乗り継ぐ
石垣島から与那国島行きに乗り継ぐ




特に問題もなく石垣空港を発つ事ができ、与那国島へ向かう。石垣島からは意外に早く30分程度で与那国島が見えてきた。どうやら晴天ではないものの天候は悪くは無いらしい。いくつか山も見える。この山のどこかにヨナグニマルバネは居るのだろうか?テンション更に上昇!!

与那国島が見えてきた!
与那国島が見えてきた!



与那国空港に到着後、まずは予約していたレンタカーを借りる。その途中、某所にヨナグニマルバネの大きな壁絵を見る事が出来た。島の中ではメジャーな昆虫なのだろうか???しかし話を窺ってみると某氏の趣味で描かれているらしい。

ヨナグニマルバネ発見!?
ヨナグニマルバネ発見!?



与那国島は周囲24kmの小さな島である。まずはレンタカーを借りた後、島を一周してみる事にした。海岸線に出ると海は蒼いというより深いという印象を受ける。島の最西端では晴れた日は台湾が見えると聞いていたが、そこに着く頃には雲が出てしまった。島は小さいが、天候は雲の流れ次第で島内各所で随分と変化している様である。

海は深い
海は深い



車を流していると“ある標識”が出てきた。気になったので、その場所へ行ってみる事にした。その場所に着くと見覚えのある建物があった。フジテレビで放映していた「Dr.コトー診療所」のロケ地であった。実は、実際テレビの放映は殆ど観た事は無いのだが、建物だけは何となく覚えていたので、目の前に“その風景”があるというのは、不思議な感じがした。

「Dr.コトー診療所」
「Dr.コトー診療所」



時間帯としては昼前なので昼食にしても良かったが、少しでも早く山に入ってみたかったので少しだけ探索をする事にした。車で入れるだけ入ってみた後は、徒歩で山道を登ってみる。シイの樹と思われる樹もそれなりに確認できたので、夜に今一度来て見る価値はありそうだと感じた。・・・それにしても暑い!!日が差すときなど30度は超えていると思えるほど、日差しは強く暑い!!

山に入ってみる
山に入ってみる



時計を見ると正午を指している。与那国島で食事をするのは、結構大変の様だ。観光客向けのパンフレットには、数箇所しか食事の出来る場所は載っておらず、実際に島を走ってみて本当に少ないと感じる。一応スーパーもあるのだが、都会の様に弁当や惣菜などは置いておらず、日持ちの良い菓子パンなどしか見当たらないので、しっかり食事が出来る場所を把握していないと強制ダイエットに追い込まれる...。少なくても朝夕くらいは宿の食事を手配した方が無難かも知れない。ちなみに昼食はパンフレットに載っている店で「与那国そば」を食べる事にした。もうこれは沖縄で食べれば「沖縄そば」、石垣島で食べれば「八重山そば」のノリだと感じられる。

与那国そば
与那国そば



与那国島を回っていると“ある怪しいカゴ”を良く見かける。最初は何か別の虫のトラップかと思っていたが、どうやら「害虫対策」として設置されている様である。島全体ではかなりの数量が設置されていると思われる。

ウリミバエ不妊虫の放飼カゴ
ウリミバエ不妊虫の放飼カゴ



森の中を探索していると、ひときわメタリックな美しい虫が歩いていた。南の島に居るカメムシは綺麗だと聞いていたが、まさにその通りと言えるカメムシだった。ただし臭いと嫌なので触ることはしなかった...。

ミヤコキンカメムシ
美しいカメムシ




夕食を“島で唯一のカレー屋”で食べた(実はカレー屋さんの女性、虫に詳しかったらしい)後、昼間下調べしておいた森へ行ってみる事にした。・・・しかしながら、昼間と夜では全く雰囲気が異なる。漆黒の闇の中へ、少々ビビリながら足を踏み入れて行く。

森は漆黒の闇
森は漆黒の闇



森へ入って数分後、スダジイらしき大木の根元付近に“黒っぽい虫”の姿があった!!かなり焦ったが、・・・ゴキブリだった。まぁそんな簡単に絶滅危惧種を見つけられるとは思っていなかったが、場所が場所だけにドキッっとした。とりあえず森の入り口より100メートル程度進入しながら、数本のスダジイらしき大木を見て回った。しかし雰囲気はあるものの虫の気配が感じられない。いくつかの大木の根元を懐中電灯で照らしてみると、人為的に掘り起こされた感があるので、おそらく見る樹は間違っていない様である。因みにヨナグニマルバネが樹に付いている光景を目的にしているので、“採れる・採れない”に関わらず根元を掘り起こす行為はしたくなかった。・・・暫く周辺を探してみたが、ヨナグニマルバネを確認する事はできなかったので、一度林道に戻り一息つく事にした。

・・・ちょっと驚いた!
・・・ちょっと驚いた!







 しかし、









恐ろしい悪夢がやって来た・・・


↓ダークゾーン↓

 「確か谷を2つ越えたので、それを2つ戻れば林道に出られたな...」

 記憶のままに、今さっき通ってきた谷を2つ越えて林道を目指す。

 ?????

 「あれっ??? 今...、谷を2つ越えたから、この辺りに出口があったはず...。」


 ・・・出口は、見当たらない。


 少々焦ったが、そんな馬鹿なことは無いと思い、もう一度辺りを懐中電灯で照らし確認してみる。


 だが、


 ・・・・・出口は、見当たらない。


 「・・・うそだろっ!! ゼルダの迷いの森じゃないんだ!! こんな事、ありえないっ!!」


 「俺は川口浩探検隊じゃないんだっ!!  ・・・って言うか、・・・・・勘弁して下さい


 まさか森で迷うなど予想もしていなかったので、自分の置かれている現状に恐怖心が襲ってきた。


 「・・・もしこのまま森から出られなかったら、どうしよう。」


 「これって...。」


 「また遭難したのか...。」




 急に近くで音がした!


 
ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ ガチャ!!


 タイワンクツワムシの鳴き音が怖すぎるっ!!!!!

どっちが出口なんだっ!!
どっちが出口なんだっ!!




 やってはいけない事と思いながらも、恐怖のあまり森の中を走り回り、出口を探しまくった...。


 余計、自分の場所が判らなくなってしまった...。


 「マジでヤバイ!!」


 ますます焦ってきた...。


 何とか冷静になるんだ!と自分自身に言い聞かせ、策を練ってみた。


 
とりあえず、目印になる樹を起点に直線状に確認して行き、それを360度行っていけば出口は見つかると思い行動に移した。


 「必ず出口は見つかるはず!」


 その行動を暫く続けていると...。


 懐中電灯を当てた先に、何か
反射するものがあった。


 
・・・それは自分が乗ってきたレンタカーであった。


 ・・・本当に
ホッとした。



 奇跡と言っても大げさではないくらい、ヤバさを感じていた。・・・本当に生きた心地がしなかった。


 時間にして1時間は迷っていなかったと思うが、もの凄く長い時間、森の中をさまよっていた気がした...。



 夜の山を舐めてはいけない!!

↑ダークゾーン終了↑



何とか“魔の迷宮”から逃げ出したが少々ビビリが入ったので、気持ちの整理をする為にも“舗装されている安全な道路”に出ることにした。すると5分も走らない内に、アスファルトの上に何か黒い物体が居ることに気付いた。シルエットからしてクワガタの確立は高いと感じ、車を降り駆け寄ってみた。

何かいる!!
何かいる!!



近付き確認してみると、一瞬オオクワを感じさせる様な形をしたサキシマヒラタ♂が静止していた。かなり大きいと思ったのでノギスで測ってみると、69_という大きさであった。サキシマヒラタは大型になると聞いていたが、何しろ初めてサキシマヒラタを観たのでその大きさに驚いた。先程の森で混乱していた気持ちが嘘の様に、このサキシマヒラタ♂の確認は嬉しかった。

与那国島・サキシマヒラタ♂
与那国島・サキシマヒラタ♂



もしかすると道路脇の側溝にもクワガタが落ちているのではないか?と感じたので、車を降り側溝を確認して行く。・・・すると何やら大型の物体がガサガサ動いている。懐中電灯を当てて確認してみると大きな「ヤシガニ」だった。与那国島ではかなり生息している様で、この後も多くの個体を確認した。また与那国島では「ヤシガニそば」なる料理があるらしい。・・・食べる機会が無かった。

ヤシガニ
ヤシガニ



暫く車を走らせていると、やたら明るい外灯が近付いてきた。今回も事前情報を持たずに与那国入りしてしまったので、1つの可能性と思い外灯採集を試みる事にした。するとすぐにタイワンカブトの姿を確認できた。6月の沖永良部島以来の個体確認になる。タイワンカブトが外灯に集まっているという事は、サキシマヒラタも集まっているのではないかと思い、念入りに探してみる...。

タイワンカブト
タイワンカブト



すると程なくしてクワガタの♀の個体を確認できた。サキシマヒラタ♀であった。与那国島入りして採集の本丸はヨナグニマルバネであるが、初めての採集地の場合、やはりその土地にしかいないクワガタの姿を確認できる事は嬉しい。結果として樹液採集でもなく、トラップ採集でもなく、一番お手頃な外灯採集かもしれないが、何より与那国島のクワガタが確認できた事が嬉しい。

与那国島・サキシマヒラタ♀
与那国島・サキシマヒラタ♀



更なる個体が確認できないか念入りに調べて行くと、今度はサキシマヒラタ♂の姿が確認できた。最初の個体に比べると少々小さい様であるが、非常に元気な個体で盛んにこちらを威嚇している。

与那国島・サキシマヒラタ♂
与那国島・サキシマヒラタ♂


実はこの外灯に来る辺りから、自分のパンツの中で違和感を感じていた。それは生理的なものではなく、明らかに異物が混入している感覚であった。外灯でタイワンカブトやサキシマヒラタを拾う際、しゃがみ込む時にもかなりの違和感を感じたので、思い切ってパンツを下ろしてみた。注意:そういう趣味はありません)・・・何と驚いた事にトカゲが出てきた!!キシノウエトカゲだか何だか知らないが、唖然としてしまった...。おそらく“迷いの森”の中で、焦って藪を漕いだ際に混入したのであろう。・・・しかし出てきたトカゲは心なしか元気がなくなっていた。

キシノウエトカゲの子供か?
キシノウエトカゲの子供か?


もう初日から色々な事が起こるのだが、これも採集の醍醐味として楽しみたい...。何だか疲れも出てきた感もあったが、これで終了する訳には行かないので、更に車を走らせる。道路に長いひもが落ちているかと思い気にせず近付くと、1.5メートルはあろう「ヨナグニシュウダ」という大きな蛇だった。・・・暫くするとシュウダは、パンツの中へ 森の中へと消えていった。

1.5メートルのヨナグニシュウダ
1.5メートルのヨナグニシュウダ




時間帯としては日付が変わる頃だったので宿に戻っても良かったのだが、最後に“迷いの森”にもう一度チャレンジすべく車を走らせた。・・・すると先程、自分が車を停めた場所には4台の別の車が停まっている。どうやらその森に入っているらしい。地元ナンバーの様なので地元の採集者が入っているのだろう。初めて与那国に来た“へっぽこ”な自分と違い、地元の方は自分の庭のごとく自在に森の中を歩き回っているのだろう。ヨナグニマルバネは採集できているのだろうか?気にはなるが、既に数名の採集者が入っている森の中に後から入る気になれなかった。

その後、1時間ほど時間を置いて改めて同じ森に来てみると、まだ先程の車が停まっていた。しかし今回は車の近くに採集者の姿が見えたので、せっかくだったので挨拶して状況を聞いてみると、何とその方はヨナグニマルバネを採集されていた!状況としてはかなり個体数が少ないので厳しいとの事であったが、それでも採集しているというのは凄い。・・・自分も諦めない気持ちを持って望まなければと、改めて感じた瞬間であった。

・・・しかしその後、急に天候が悪化し大粒の雨が降り出した。残念ながらとても採集できる状況ではなったので、初日はこれで宿に戻る事にした。



成績サキシマヒラタ♂×2 ♀×1 タイワンカブト×1
(今回の採集個体は、あいあんさんの研究用として持ち帰り。タイワンカブトはリリース)

2日日へ

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