ご注意!

2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタアマミシカクワガタアマミミヤマクワガタ採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。


2005.09.16(金)へっぽこ遠征in奄美群島(1日目)
鹿児島県・奄美大島 8:00AM 雨時々曇り 32℃ (暑い)

先月奄美大島を訪れ、念願のアマミミヤマ♂を確認する事が出来た。しかし♀は確認する事が出来なかった。・・・アマミミヤマの♀と言えば、♂100(♂200の説もあり)と言われるのに対して、♀1位の割合でしか確認できない、非常に採集難度の高いクワガタと聞いている。先月やっと♂1頭を確認できただけなのに、発生後期と思われる9月中旬にまたも奄美大島へ飛んでしまった...。

2ヶ月連続の奄美大島
2ヶ月連続の奄美大島



いつも通り、羽田空港からの出発となる。奄美大島は羽田から直行便が出ているので本当に助かる。因みに持ち物検査(金属探知機のゲート)で携帯電話をポケットに入れたままだったので、ビーッっとなってしまった...。

直行便は楽で良い!
直行便は楽で良い!



羽田空港を飛び立って30分。直ぐに静岡上空まで達していた。何気なく窓の外を見てみると何と、空高い雲を突き抜けた「富士山」の姿があった。普段見慣れない光景にしばらくく見惚れてしまった。“日本一の富士山”日本人に生まれて良かった!!

偉大なる富士山
偉大なる富士山




羽田空港を発って1時間55分、奄美大島が見えてきた。今回は3日間天候も恵まれるとの事なので、今まで離島遠征では雨に泣かされてきた身としては有難い。目前に迫ってきた奄美大島の美しい海を見て、ますますテンションが上がってきた!

まもなく奄美大島!
まもなく奄美大島!



奄美大島に着いてまずは腹ごしらえ。先月も立ち寄った「鶏飯屋・ひさ倉」で鶏飯を食べる。今回も「鶏刺し」付きで食べたが、本当に美味である!お茶漬け感覚で食べられるので、何杯でもサラサラいけてしまう。奄美大島へ来られる方は是非ともお勧めである!

やはり美味い「鶏飯」
やはり美味い「鶏飯」


食事も済み山へ向かってレンタカーを走らせる。奄美大島は9月に入ってもまだまだ暑い!道路脇にハイビスカスも元気に咲いている。・・・営業職という職業柄、自分が休みであっても先方からは関係なく携帯がかかってくる。奄美大島に着き、鶏飯を食べ、これから!!という時にも仕事の着信音が鳴り響く...。着信している以上、知らんぷりは出来ないので“気持ちのスイッチ”を仕事モードに切り替えて対応する。・・・思い切って電源をOFFにしておけば良いのだろうが、なかなかそうも行かない所がサラリーマンとしての性なのだろうか?

まだまだ真夏!
まだまだ真夏!



とりあえず先月来た時とは違う山に入ってみる。少しでも奄美大島を攻略したい気持ちはあるので、新たな場所を色々と見て置きたい。幸い山に入ったことで携帯の電波も届かない状態になっている。・・・携帯の電波が届かないのなら仕方あるまい!!電波の届かない場所で電源を入れておいても意味が無いので、電源を切ることにした(確信犯!)

“探索モード”に、スイッチを切り替える。〜〜〜深呼吸をする。〜〜〜山の空気は美味い!!

行動開始!
行動開始!



初めて入る山なので、全く勝手が分からないながら探索していく。所々、雰囲気のありそうな(気がする)場所はあるのでフルーツトラップを仕掛けていく。本来であれば樹液の出ている場所を探し出し、夜にクワガタが集まっている光景が見たいのだが“へっぽこ”の為、なかなか樹液の出ている箇所を見つける事が出来ない。今回も10数個と少ないトラップかもしれないが、思い思いの場所に仕掛けていく。

“へっぽこ”トラップを仕掛ける
“へっぽこ”トラップを仕掛ける


いつもながらトラップ設置作業は、寄り道ばかりしているので時間が掛かってしまう。今の所“ダークゾーン”は無いものの、ある程度設置が終わる頃には前回の様に夕方になってしまった。車で海岸沿いを走らせていると、あまりに美しい夕焼けを見ることが出来た。車を停めて波打ち際まで歩を進める。・・・普段、良い事ばかりではないのでホッとする瞬間であった。・・・暫く黄昏てしまった。

黄昏の奄美大島
黄昏の奄美大島




夕暮れから直ぐに漆黒の闇は訪れた。そうとなればアマミミヤマを確認したい。時期としてはかなり遅い事と思われるが、可能性がある限り希望は持ちたい。そう思うとアマミミヤマのポイントまで着く間、“期待感と不安感”が交差しながら気持ちが逸っていく。

・・・とりあえずポイントに着いた。気持ちだけが先走らない様に、落ち着くようにする。・・・ふと上空を見上げるとキイロスジボタルが、ほのかな光を放ち飛んでいる。・・・この光を観る事で大分落ち着くことが出来た。まずは先月アマミミヤマ♂を“落下させて行方不明”になった電柱を確認する。・・・懐中電灯を当ててみる...

すると、アマミミヤマが付いているではないか!!

アマミミヤマがいる!!
アマミミヤマがいる!!



付いている場所が良い為、網を伸ばしそれほど手間もかからずネットインする事が出来た。はやる気持ちを抑えながら網をたぐり寄せる。確認するとアマミミヤマ♂だった。時期的な心配があったので、9月中旬にアマミミヤマを確認する事が出来て本当に嬉しい。

アマミミヤマ♂1号
アマミミヤマ♂1号



更に先程の1頭が付いていた電柱の裏側を観ると、別のアマミミヤマ♂が付いている!1本の電柱に2頭のアマミミヤマ付いているというだけで興奮する!早速、長網を伸ばす。・・・この個体も難しい場所ではなかったのでネットインする事が出来た。1頭でも上出来と考えていただけに、1本の電柱に2頭付いていて、しかも2頭共に捕獲できるとは想像もしていなかった。

アマミミヤマ♂2号
アマミミヤマ♂2号



更に更に何という事か、近くの電柱にこれまた別のアマミミヤマ♂の姿があった。流石に3頭目の個体なので多少落ち着いて対応できた。ネットインした個体を確認する。足の付け根はミヤマ特有のオレンジ色をしている。“へっぽこ”には信じられない、この日3頭目のアマミミヤマとなった。

アマミミヤマ♂3号
アマミミヤマ♂3号



しばらくアマミミヤマ採集を堪能した後は、昼間に仕掛けたフルーツトラップを確認しに行く事にした。とりあえず、どんな個体でも良いので先月実績のあった場所から確認していく。・・・しかし、先月と比べると全く虫の集まりが悪い様である。トラップを設置した数箇所を見て回るが、クワガタの姿は無い...。やはり9月中旬ともなれば個体数は減る傾向にあるのだろう。その様な中でも、先月一番集まりの良かった(アマミヒラタ・スジブトヒラタ)ポイントに行ってみると“奄美特有の縦縞”が見えた。

トラップに“奄美の縦縞”
トラップに“奄美の縦縞”



取り出してみるとスジブトヒラタ♂であった。毎度おなじみ小さな個体であるが、まずは確認できた事が嬉しい。

スジブトヒラタ♂39_
スジブトヒラタ♂



その後も林道を探索していく。先月も気になったのだが車のヘッドライトが近づいても殆ど動じない鳥が居る。「アマミヤマシギ」の様である。夜間、林道を走らせていると良く見掛ける。どういう訳か、度胸が良いのか?かなりの至近距離に近づくまで逃げ様としないのである。距離的に1メートル程まで近づくと“面倒くさい”とばかりに飛び立っていく。・・・世の中、まだまだ分からない事は多い。

アマミヤマシギ
アマミヤマシギ



・・・残念ながら、この他のトラップを回ってもこれ以上の成果は出なかった。アマミミヤマとトラップポイントは見尽くした感があったので、他の場所へ移動しようと荷物をまとめていると、何やら足元で黒い物体が動いた気がした。適当な感で「まぁ、サソリモドキだろう・・・」という感じであったが、何気なくライトを当ててみた。すると歩行しているスジブトヒラタ♀であった。かなり驚いた。周辺は、少々開けた舗装路だったので「まさかこんな場所に?」という感じであった。

歩行するスジブトヒラタ♀
歩行するスジブトヒラタ♀



思い掛けない場所でスジブトヒラタ♀を確認した事で、この周辺をもう少し時間を掛けて探索する事にした。・・・しかし、居るのはサソリモドキばかりであった。しかも時期的に交尾のシーズンなのか、2頭連なった状態で歩いているものが多い。丸々と太った個体が“トレイン状態”でゴソゴソ動いている姿は、奇妙以外の何ものでもない。

サソリモドキ(トレイン状態)
サソリモドキ(トレイン状態)



9月中旬という時期なので“無謀”と分かりながらもアマミマルバネを探してみる事にした。アマミミヤマを確認したポイントよりかなり距離を走り、別の採集地へ移動した。この地は有名産地と聞いているが、実は今までクワガタを確認した事が無い場所である。アマミマルバネは“ハブの居る”林床に入ってもなかなか確認できない生息数の少ないクワガタらしい。万が一“何かがあっても”一人では非常に危険と感じ、林床には入る勇気が無かった。そこで林道沿いを車で流してみる事にした。この方法では無理なのかも知れないが、とりあえずやってみる事にした。

・・・暫くすると、路面に何やら大きめな甲虫が歩いている。急いで車を降り確認する。その個体はスジブトヒラタ♀であった。先程のポイントでも歩行するスジブトヒラタ♀を確認したが、ここでも確認できるとは思わなかった。9月の中旬という事もあり、産卵場所を探しているのだろうか?それとも単なる樹液場を探す為に歩行しているのだろうか?アマミマルバネでは無く残念であったが、そう簡単に見つかるものではない事も分かっている。スジブトヒラタが歩いているという事は“可能性がある”と前向きに捕らえ、車を流していく事にした。

歩行するスジブトヒラタ♀2号
歩行するスジブトヒラタ♀2号



車を流しながら時折、車を降りて周辺の状況を確認してみる。すると樹の低い位置に「オオシマゼミ」が羽化していた。オオシマゼミといえば昨年の沖縄本島でも良く見掛けたセミである。「ツクツクホウシ」にかなり似た容姿で、大きさはヒグラシ程の大きさである。鳴き声が特徴的で本土では例える事のできない“ミャン・ミャン・ミャン”という感じで印象深い。思えば昨年も先月も8月だったのであまり耳にしなかったが、奄美大島では9月に入ると大量に発生する様である。

羽化直後のオオシマゼミ
羽化直後のオオシマゼミ



時計を見ると午前2時を回ろうとしている。・・・段々と睡魔が襲ってくる。時間帯としてはかなり遅いが、気が付くと路面に出てくる虫も多くなって気がする。その様な中で“黒い塊”が徐々に増えてきた。

おおっ!?
おおっ!?



“黒い塊”を確認してみるとアマミコカブトであった。コカブト自体あまり大きな個体ではないので、何となくは「コカブトだろうな...」という感じで見えるのだが、睡魔が襲っている状況と路面の個体数が増え始めた事で“黒い塊”が見えた瞬間、一瞬ドキっとする。午前2時を回った辺りでアマミコカブトを立て続けに数頭確認したが、急に雨が降り出した。・・・初日の疲れもあったので探索はここまでとする事にした。

アマミコカブト
アマミコカブト




とにかく本日は3頭ものアマミミヤマ♂を確認できた事が本当に嬉しい。この内容だけでも無理して奄美大島に来た甲斐があった。しかし欲を言えば、更なる目標のアマミミヤマ♀は確認できなかった。本日確認した場所は♂自体は数頭確認できるので、明日も♀の可能性を信じてみたい。

またスジブトヒラタ♀の歩行する個体を2頭確認できた事も良い勉強になった。更に路面を確認していく作業の中で、深夜2時頃を回った辺りからアマミコカブトの個体数が増えた様だったので、その様子から察するに林床を歩き回っている個体が路上に出て来るタイミングだったのかも知れない。そう見るのであれば、明日も根気良く探していけば道は切り開かれるのかもしれない。

上出来の初日
上出来の初日



宿に戻り、寝る準備をした頃には5時近くになってしまった...。明日も朝食は食べられないだろう...zzz



成績アマミミヤマ♂×3 スジブトヒラタ♂×1 ♀×2 アマミコカブト×5
(アマミミヤマ♂以外、最終日にリリース)

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