2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタとアマミシカクワガタとアマミミヤマクワガタは採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。 |
2005.08.19(金)へっぽこ遠征in奄美群島(1日目)
羽田空港に到着。夏休み時期なのである程度の混雑は予想していたのだが、お盆より1週間経ったせいか想像していたより空いていた。因みに旅費なども含め、お盆のハイシーズン時期は、先週or今週と1週間違うだけで倍近く変わってしまう。昨年は“超ハイシーズン料金”だったが、今回は1週間遅らせる事ができたので大分抑える事が出来た。それにしてもオフシーズンの料金設定と比較すると、やりきれない思いである...。
手続き等も問題なく進み、奄美大島行きの直行便に乗り込む。奄美大島の場合、羽田空港からだと直行便があるのが嬉しい。前回までの沖永良部や対馬は一度乗り継がないといけないので、面倒な事と飛行機が小さいので簡単に「欠航」してしまう為、今回の直行便があるというのは非常に助かる。機内にて飛び立つのを待っていると“渋滞アナウンス”が流れたので、滑走路の曲がり角にて後ろを見ると、今回も滑走路が渋滞していた...。
奄美空港に到着。空港内を見渡すと、昨年と同じ光景が目に入る。奄美大島に来た事を強く実感する。いよいよ1年ぶりの本丸・奄美大島だ。
レンタカーを走らせ標高を上げてみると海が見えた。その色は何とも言えない美しい色合いを見せていた。蒼い海を見るだけでも南国に来る価値はある。テンションが上がってきた。
天候は良い。そしてこれが南国と言わんばかりに暑い!昨年は全ての面で成果がでなかったが、1年経って“へっぽこ”なりに前進があったか自分自身に問いてみたい。
フルーツトラップを設置していく。今回のレシピは対馬と同じ様、バナナのヘタを取ったものを2日間アルコール度数30度の焼酎に漬けたものに、今回はパインの角切りをプラスしてみた。決してこれが良いものだとは言い切れないが、無知の状態から少しずつクワガタが集まりだした“へっぽこレシピ”なので奄美大島でも通用するか試してみたいと思った。昨年の遠征時は全くトラップの成果が得られなかったので、今回はまずは1頭から目標にしてみたい。とりあえず、それなりと思われるポイント(クワガタが来そうで、夜に見失わない場所)にトラップを設置し、夜に改めて来る事にした。まだまだ多くの場所を探索したいので、他の場所へ移動する事にした。
しかし、
何とかスタンドにて“新タイヤ”に履き直した頃には、日も傾き始めていた...。トラップ設置も中途半端になってしまい、樹木の下見もほとんど出来なかった。初日からこれでは先が思いやられる。・・・暫し美しい景色を見ながらため息をついてしまった。
日も暮れてきたので気を取り直して、アマミミヤマの生息地に向かう事にした。林道とは名ばかりで、完全に“ジャングル”の中を進む。当然ハブが怖いので車で行ける限り前進する。しかし車の中からの確認では限界があるので、詳細は車から降りての確認になる。懐中電灯を手に、まともに前の見えない悪路の中をハブの恐怖を感じながら確認して行く。正直、腰が引ける...。
「んっ?」 ある電柱に“赤く光る個体”が見えた!懐中電灯を当ててよく確認してみる。 地上4メートルの辺りに居る個体なので、目を凝らして確認する...。 アマミミヤマ♂だった!! 慎重に、この日の為に「むし社」にて購入しておいた“5メートルの捕獲網”を取り出し組み立てる。しかし“組み立ての予行練習”をしていなかったせいで、組み立てに予想以上の時間が掛かる。・・・何とか組み立てを終え、アマミミヤマに網を向ける。 ・・・普段ありえないほどの緊張感が漂う。
・・・なかなか5メートル以上の網をぶっつけ本番で操るのは、想像以上に重さもあり難しい。 それでも何とか気合いで網の中に捕獲できるかと思った瞬間...。 ポロっと、 藪に落ちた... 必死に探した。 ハブの恐怖なんて・・・。 けど、 ・・・見つからなかった。
正直言って今回の遠征は、アマミミヤマの確認が昨年からの大きな目標だっただけに「アマミミヤマ確認→落下→行方不明」は、耐え難い事実であった...。落下した個体をいくら探しても結局見つける事が出来なかった。かなり落ち込んだ...。 いつまで悔やんでも仕方が無いが、悔しい...。 それでも意識を前向きに、他の個体を探す事にした。アマミミヤマはそれ以上の確認できなかったので、標高を少し変えてみた。するとシイの樹と思われる樹木に黒い物体が確認できた。急いで車から降りて確認するとアマミヒラタ♀が確認できた。特に樹液の出ている箇所もなかったので、他の場所へ移動している最中だったのかも知れない。スジブトヒラタの♀と混同しやすいかと思っていたが、前胸部の“艶感”ではっきりと区別が出来る。この個体は前胸部にピカピカした艶があるので間違いなくアマミヒラタである。実は初のアマミヒラタ確認となる。先程のアマミミヤマ行方不明のショックを和らげてくれた気もした。
とりあえず、アマミヒラタが確認できただけでも今回の遠征のボ〜ズは免れたので、一呼吸置く為にも夕食をとる事にした。
しかし、どうしても先程のアマミミヤマの事が頭から離れない...。やはりポイントに戻る事にした。もうアマミミヤマは居ないかも知れないが、このままでは悔やみきれないと感じた。結果として居ても居なくても、もう一度確認しないと納得がいかなかった。
時間帯としては大分夜も更けているが、アマミミヤマのポイントに戻ってきた。先程アマミミヤマ♂が居た電柱を確認するが...、何も居ない。ハブは怖いが車を降りて林道を進む事にした。何本も電柱を確認するが、アマミミヤマは確認できない。・・・とりあえず歩ける範囲では、最後の電柱になってしまった。 半分諦めながらも舐める様に、電柱を懐中電灯で照らし確認していく。すると一瞬、何か赤いものが光った気がした。 それがアマミミヤマである事を理解するのに、そう時間は掛からなかった。
正直言って、上記の電柱の画像(電柱の中央部の少し明るくなっている“杭の部分”にアマミミヤマ♂が居る)をデジカメでおさえるのが精一杯だった。 慌てるなと言っても無理がある事は分かっている。それでも努めて冷静になる様に自分に言い聞かせた。 「これを落としたら3度目は無い!」 余計、混乱しそうになった...。再び“5メートルの捕獲網”を組み立て、網をアマミミヤマに伸ばす。 場所的にはギリギリ届くといった場所であった。 しかし、杭の部分に乗っている感じ(上側)で留まっているので、なかなか網の中に収める事ができない。 段々と網の重さがキツくなってきた。しかしそれ以上に“気合い”は入っている!!気合いで踏ん張る!! すると“奇跡”が起こった! アマミミヤマ♂は動き出し、採り易い場所に自ら移動してきた。 二度と落下させない様に気を使いながら、網をアマミミヤマにあてる...。 ・・・。 アマミミヤマは、、、ポロっと、網の中に入った。・・・気がした。 急いで網をたぐり寄せ、網の中を確認する...。アマミミヤマ♂が入っていた!!
自分が1年間待ち続けてきた奄美大島遠征であり、アマミミヤマである。今、目の前にその奄美大島のアマミミヤマが網に入っている。この気持ちを上手く表現出来ないが、今まで恐れていた林道内の不気味な音やハブの恐怖が全く飛んでしまった。何と言うか“時間が止まった”様な感覚を受けた。興奮状態で周りが見えていない状況と言えるかも知れない。 ただ、もの凄い充実感がある!色々事情はある中で、無理してでも奄美大島に来て本当に良かった。
ある程度、落ち着くまで時間が掛かった...。深呼吸をし気持ちを整え、心地よい満足感を楽しむ。すると今まで全く目に入らなかったホタルの光に気付いた。目に入らないというか、クワガタ以外に意識が無かっただけだと思うが、網で捕獲してみると昨年も確認した陸生の「キイロスジボタル」だった。一度気付くと結構な個体数が確認できる。
一応、アマミミヤマの確認が出来た事で、ひと段落ついた。時計を見ると既に日付が変わっているが、せっかく奄美大島に来ているので、場所を変更して時期的に微妙ながらもアマミマルバネが確認できればと思い、路面をチェックして行く事にした。時折、黒い物体が動いているので車を降りて確認してみる。・・・しかし、その殆どはサソリモドキである。昨年も感じたが奄美大島はサソリモドキが多い。更に本土のモノの10倍以上もある“巨大ゲジ”も視界に入る。どれも気持ちの良いものではない。
しかし、サソリモドキに混じって黒い甲虫の姿も確認できる。黒くて丸いシルエットなので一瞬ドキっとしたが、アマミコカブトであった。すぐ近くにもう一頭確認できた。居る場所には居る様である。
結局、深夜3時頃まで探索を続けたがアマミマルバネの姿は確認できなかった。発生時期としては初期と思われるし、本格的にアマミマルバネを探すなら林床に入らないと成果も出ないのかも知れない。因みに少しながら仕掛けたフルーツトラップには、クワガタの姿は無かった。ダークゾーンの影響で思う様に設置できなかったが、続きは明日以降の作業として行きたい。今日の所はアマミミヤマ♂が確認できた事もあり、満足感・達成感もあり、明日以降もチャンスはあると思い、宿に戻る事にした。 宿に戻り、改めてアマミミヤマ♂を観てみる。本土のミヤマより確実に格好良い!
風呂から出ると1日の疲れがどっと出たのか、すぐに床に就いた。明日以降も楽しみだ...zzz 成績:アマミミヤマ♂×1 アマミヒラタ♀×1 アマミコカブト×2 (アマミミヤマ♂以外、最終日にリリース) |
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