2010.07.03(土)へっぽこ遠征inタイ王国(3日目)
海外・タイ王国 9:00AM 曇り時々雨 31℃ (蒸し暑い) 同行者:うしやんさん、軍曹さん(現地)

タイ王国遠征3日目の朝は、雨季の中の晴れ間となった。宿泊しているホテル周辺は、緑豊かな空気の澄んだ場所なので、晴れた日の眺めは最高に素晴らしい。昨晩のテナガコガネ確認という流れもあってか、非常に清清しい。

晴れたタイ王国
晴れたタイ王国



いつものレストランで朝食をとる。ここの粥は凄く気に入っているメニューのひとつである。いつもは豚粥をオーダーするのだが、今回は鶏粥にしてみた。これはこれで豚粥以上にアッサリしていて朝食には良いかも知れないが、個人的には豚粥の方が合っているかも知れない。

朝食の鶏粥(フォークとナイフはご愛嬌)
朝食の鶏粥(フォークとナイフはご愛嬌)




朝食後、身支度を整え探索に出発する。

まずは前回4月の遠征でチェリフェルネブトを確認した果樹園を探索する事にした。
先ほどまで晴れていた空模様も雷が鳴り始め、文字通り雲行きが怪しくなってきたので少々心配であるが、とりあえず歩を進める。

果樹園を探索
果樹園を探索



しかし、衝撃的な現実が待っていた。。。前回チェリフェルネブトを確認した樹は無残にも伐採されていたのである。しかも数多く立ち並ぶ樹々の中でも、チェリフェルネブトが集まる樹2本だけ見事に伐採されていた。何の理由か分らないが僅か3ヶ月の間で残念な結果になってしまった。

ネブトの樹、伐採
ネブトの樹、伐採



気を取り直して探索を続ける。少し林道を進むと、ジャングルの彼方から何やらザーッと音が聞こえてくる。
軍曹さんが「雨の音だ!」というのだが、自分たちの周りではまだ何も降ってない。

しかし数秒後、彼方から聞こえていた音は、次第にこちらに近付いてきたかと思った瞬間、とんでもない土砂降りになってしまった。
先ほどから雷は鳴っていたものの雨は降ってなかったのだが、ここにきてタイ王国の大空が泣き出してしまった。

突然の大雨
突然の大雨



土砂降りの雨で林道は、瞬く間に川の様になってしまった。南西諸島のスコールを思い出す。やはりタイ王国は雨季シーズンなので仕方が無い。

林道は川になってしまう
林道は川になってしまう



暫く車の中で様子を窺った後、雨が小康状態になってきたので、車を降りて林道を進んでみる事にした。まだ近くで雷が鳴っているのだが、先ほどの比べればジャングルの中も幾分明るくなってきた感がある。

ズブ濡れのジャングル内
ズブ濡れのジャングル内



暫く林道を進むと倒木を確認したので、八丈島の材起こし様に材を裏返してみる。

倒木を裏返す
倒木を裏返す



すると今回も大きなカブトムシの幼虫が数頭確認できた。おそらくコーカサスオオカブトかアトラスオオカブトと思われるが、相変わらず凶暴で枝を近づけてみると、すぐに大きな牙で噛み付いてきた。・・・この後、確認した幼虫は潰さない様に元に戻した。

大型カブトの幼虫
大型カブトの幼虫


とりあえず午前中の探索は一区切り付いたので、ここから長距離移動して別の探索場所を目指す。

大移動する
大移動する



途中、いつもの様にセブンイレブンにて飲み物などを調達する。いつもながら海外とは思えないほど店舗数は多く、非常に重宝する。

セブンイレブンいい気分
セブンイレブンいい気分



時間帯として昼時でもあったので、昼食をとる事にした。本日のタイ料理は「ラートナー」。見た目は、日本風“あんかけ焼きそば”に近い。違いは麺がタイ王国らしく米の麺なのである。・・・運ばれてきたラートナーを口にしてみると、やはり“あんかけ焼きそば”であった。味付けも見た目のイメージ通り、美味しかった。

昼食は、ラートナー(あんかけ米そば)
昼食は、ラートナー(あんかけ米そば)




昼食後、暫く車を走らせカンボジア国境近くに辿り着く。カンボジアと言えば勝手なイメージで“豊かではない”という印象がある。少々言葉を選んだつもりだが、実際はこのタイ王国の隣の国であっても、あまり行ってみたい気持ちにはならない。そう考えると、このタイ王国は治安も食事も探索も巣晴らしい、本当に良い国だと感じる。

カンボジア国境地帯へ
カンボジア国境地帯へ



道沿いに地元の店があるので何となく覗いてみると、どうやらここはガスステーションも兼ねている様であるのだが、これがまた趣のある給油所であった。自分だったらこんな雰囲気だったら絶対に給油したくないと思うのだが、地元らしき人がバイクでやってきて普通に給油して行った。

凄いガススタンド
凄いガススタンド



そしていつもの場所を通過する。看板の意味を今一度説明すると、以前は地雷の危険性があったかも知れない場所であったが、日本の事業によって安全を確保された、現在は“地雷の危険性の無い”場所という意味である。

いつもの地雷看板(現在は安全)
いつもの地雷看板(現在は安全)



ジャングルを進み樹液場へ向かう。昨日は全くクワガタの姿を確認できなかった場所であるが、今回は居てくれるだろうか?

樹液ポイントへ
樹液ポイントへ



ヒメオオ探索の様に暫くルッキングを行っていると、樹の上部にないやら黒い固まりが動いている。もうこの時点でクワガタである事は確信していたが、問題は“何のクワガタなのか?”という事になる。日本であれば大よその見当が付くのだが、ここはタイ王国。見知らぬクワガタの可能性もあるので、異常に興奮を覚える。

ヒメオオかな?
ヒメオオかな?



早速、長網のロッドの部分で個体を落としてみると、なんとギラファノコ♂であった。昨晩のHIDライトトラップでも飛来を確認出来ていたが、やはり樹液場での確認となると、一段と雰囲気も増してくる。更に昨晩確認した個体よりも大顎が発達した個体だったので、“いかにもギラファ”という印象を受けた。まさか自分の目でギラファの活動を確認できるとは、本当に恵まれており嬉しい。

タイ王国・ギラファノコ♂
タイ王国・ギラファノコ♂



1頭確認できたという事は、更なる個体確認も期待できると思いルッキングを続ける。

日本の探索でもそうであるが、昨日は1頭も確認できなかったので「どうせ居ないあろう...」と決め付けてしまう悪い癖があるのだが、逆に1頭でも確認できると「他にも居るかも知れない」と急に意欲が湧いてくる。改めて人間というのは現金なものだと感じる。

更に探してみると...
更に探してみると...



ルッキングを続けていると、頭上数メートルの樹液部に黒い塊が付いている。見た感じギラファ♀あたりが樹液を吸っている様にも窺えたが、この個体も確認のため長網のロッドで落としてみると、なんとオニツヤ♂♀であった。昨年末のタイ王国遠征時にも亡骸を数頭見せてもらった事はあったが、今回元気な個体が樹液部にペアで居てくれた事が嬉しい。

落下してきたオニツヤ♀を見てみると、一瞬南西諸島のマルバネに見間違えてしまうほど、そっくりであった。

タイ王国・オニツヤ♀
タイ王国・オニツヤ♀



この他にも目を凝らして樹の上部を探してみると、別のギラファノコ♂が確認できる。長網のロッドで落とそうとすると、数頭のギラファは飛翔しようと翅を広げる個体もいる。大型個体であっても機敏性はある様で、もの凄く新鮮に映る。

タイ王国・ギラファノコ♂
タイ王国・ギラファノコ♂



樹を蹴ってみるとギラファノコ♂の小型個体が落下してきた。過去2度の遠征では全く確認できなかったギラファノコも、今回かなりの個体数が確認できる状況を見ると、今が一番の発生ピークに中る様な気がする。ここまでギラファノコを確認できて、本当に幸せな限りである。

ギラファの個体数が増えている!
落下してきたギラファノコ♂



とりあえず目視出来る個体は終了かと思ったら、最後の最後に一際大きな黒い影が樹の上部に張り付いている。するとうしやんさんは、長網のロッドを伸ばし始めた。てっきりロッドで個体を落とすのかと思ったら、“必殺技”があるとの事で、ロッドを大きな影にそっと近づけていった。

強大な影を発見!
強大な影を発見!



するとなんと!長網にロッド先端部にギラファの大顎を挟ませて個体を捕獲した。“カツオの一本釣り”の様に見事に釣り上げた感があり、感動すら覚えた。しかも釣り上げたギラファノコ♂は、かなりの巨大個体であったのも二重に驚いた。

うしやん式採集方法にて捕獲
うしやん式採集方法にて捕獲



まずは釣り上げた巨大個体を撮影してみる。先程までのギラファと大顎の迫力が全く異なり、神秘的にすら感じる様なオーラを放っている。
まさに大歯型で“超カッコイイ”ギラファである。せっかくなので大きさを測ってみると100ミリジャストであった。自分も“へっぽこ”なりに国内離島めぐりをしてきたつもりであったが、せいぜいツシマヒラタの70ミリクラスの個体が大きさの限界であったが、このギラファはその遥か先を行く大きさである。やはり世界は広く、未知なる場所の探索はやめられない。

タイ王国・ギラファノコ♂(大歯型100ミリ)
タイ王国・ギラファノコ♂(大歯型100ミリ)



せっかくなので、この樹で確認できた個体を並べて記念撮影を行ってみた。個人的にはこうやって採集記用の画像を得られれば十分なので、大きな個体であっても飼育や標本はせず、基本的にはリリースを心掛けている。

タイ王国・ギラファノコ♂×4、オニツヤ♂♀
タイ王国・ギラファノコ♂×4、オニツヤ♂♀


超デンジャラスゾーン!


昼間の探索を終え、今晩のHIDライトトラップのポイントへ向かおうと、うしやんさんの車を走らせると、ある場所でタイ王国の警察が検問を行っている。我々の車を停止を命じられ、うしやんさんが何やら話し掛けられている。・・・と、ここまでは日本の飲酒検問でもある様な光景であったが、とりあえず車から一度降りろという指示が出ている。向こうの言っているタイ語やうしやんさん、軍曹さんの雰囲気である程度の状況(空気)は読める。

話を改めて伺ってみると、どうやらカンボジア国境近くという事で、不法入国者などを取り締まる“イミグレーション(入国管理)”と呼ばれる検問の様である。タイ人から見れば外国人である我々は取締りの対象になるのは仕方ない事だと思うのだが、どうも様子がおかしい。

こちら側にも問題があるのかも知れないが、それ以上の“何か”を感じてしまう。判りやすく言えば“向こう(イミグレ)が何かを期待している。”という事である。正直、リアルな現場で私は全く何一つ役に立てない。もしかすると、最悪“どこかへ連れて行かれる”可能性も感じている中で、うしやんさんと軍曹さんが冷静かつ的確に処理を進めている。本当にお二方には頭が下がる思いであり、このタイ王国で逞しく生きている現実に感銘を受けた。

先程の“向こう(イミグレ)が何かを期待している”というのは、結局のところ“金”であり、1人100バーツずつ払う事で事を収めようと、100バーツ札を出そうとすると、イミグレは「もっと出せ!」と言い出し、結局一人200バーツずつ渡す事になった。200バーツといえば日本円で600円ほどであるが、パッタイが50バーツ程度で食べられる状況を考えると“外食4回分”に相当する金額である。向こうの当たり前の様な態度に正直腹が立ち、ガチの異種格闘技戦を行っても良いほど怒りがこみ上げていたが、ここはうしやんさん、軍曹さんが諸々これ以上にならない様に事を丸く収めて頂いたので、200バーツずつ渡しこの場を立ち去る事にした。

イミグレーションにイチャモンつけられる
イミグレーションにイチャモンつけられる


「地獄の沙汰も金次第」とは、よく言ったものである。


・・・少し気持ちが落ち着くと、これはこれで日本では体験できない“世界の現実”であり、良い勉強になったと思う事にした。




とりあえず先程の事はもう忘れる事にして、気持ちを切り替え夜のHIDライトトラップのポイントへ向かう。幸いにして今晩も天候は良さそうなので、昨晩の様な“タイ式サプライズ”を期待したい。

気を取り直してHIDライトトラップへ
気を取り直してHIDライトトラップへ



ふと林道の道端になにやらカラフルなものが集まっていると目をやると、黄色の蝶が大量に集まっていた。雨季の湿った土から養分を吸いだしているのだろうか?確かこの様な場合、集まる個体は♂のみと聞いた覚えがあったが、この個体郡もそうなのであろうか?

・・・なんだか少し和む事ができた。

大量の蝶
大量の蝶


目的地の到着した後は、早速HIDハンディライトを設置する。思わずトラブルの関係で到着が遅くなってしまったが、やはりHIDライトトラップの準備の手軽さは本当に助かる。今回もすぐに準備作業は終わり、夜の帳が下りると共にタイ王国の山肌に向かい照射を開始する。

今宵もコロニーレーザー発射!
今宵もコロニーレーザー発射!



照射開始直後に、何やら軽い物体が飛来したので確認してみるとウスバキトンボであった。日本でもおなじみのトンボであるが、他国で知ってる虫を見ると懐かしい印象を受ける。

ウスバキトンボ
ウスバキトンボ



そうこうしている内に、本日1頭目のアトラスオオカブト♂が飛来した。

考えてみれば、日本で生体販売されている個体は養殖ものだと思うが、皆一様に角がしっかりした大型個体が多い様に見受けられる。
しかしこのタイ王国で実際にワイルド個体を確認してみると、日本同様に個体によっては角の発達の悪い超小型個体も多かったりする。

1頭目のアトラスオオカブト飛来!
1頭目のアトラスオオカブト飛来!



次にギラファノコ♂が飛来した。これも先程のアトラス同様に、昼間の100ミリクラスの超大型個体が確認できたかと思えば、逆に大顎の発達の悪い個体も多く見受けられる部分では、やはり幼虫時の栄養摂取状況が大きく関わっているのだろう。

ギラファノコ♂飛来
ギラファノコ♂飛来



大きな羽音共にアトラスオオカブト♀が飛来した。♀の個体を良く見ると大抵泥が付いている。おそらく日本のカブトムシ同様に、昼間は土に潜って休んでいるものだと考えられる。相変わらず落ち着きが無く、早歩きで動き回っている。

アトラスオオカブト♀飛来
アトラスオオカブト♀飛来



小型のアトラスオオカブト♂が飛来する。昨晩同様にアトラスは、一度飛来が始まると立て続けに飛来し続ける。改めて贅沢な一時だと感じる。

今日は小型のアトラス♂が多い
今日は小型のアトラス♂が多い


結局、アトラスオオカブトの集中豪雨は昨晩ほど続かず、終わってしまった。本日は少々疲れもあったので早めにHIDライトトラップを終了する事にした。


市街地へ戻ろうと車を走らせると、途中見慣れない大きなシルエットが佇んでいる。うしやんさんと共に車を降りて確認すると、なんと巨大サソリであった。日本ではビックリアイテム的なゴムの玩具で見掛ける様な大きな個体で、軽く100ミリを超えている。私は日本の石垣島や与那国島でヤエヤマサソリを確認してきたが、比較にならないほど巨大で大迫力である。

当然毒もあるので素手での接触は厳禁であるが、撮影を試みている内に超近距離になってしまい巨大サソリに威嚇されてしまった...。

タイ王国・巨大サソリ
タイ王国・巨大サソリ




本日は色々あったが、最後は一番美味しいものを食べようと、屋台で「パッタイ」を食べる事にした。目の前でタイ人のおばちゃんが調理をし、出来たてが運ばれてくる。早速、具材と麺を絡めて口にする。最高に美味しい。タイ王国在住時には毎日食べても飽きないほど美味しい。油で炒めるものの多くの野菜を使用しているので、翌日胃がもたれる心配も無く今回もタイ王国遠征で体重が増える事はなかった。

最高のパッタイ
最高のパッタイ



・・・宿に戻り明日に備える。改めて今日一日を振り返ると、異国で一人では何も出来ない自分に悔しい思いが湧いてくる。日本国内の離島探索は、いくら遠くても日本語の通じる国内であり、このタイ王国にも3度足を運んだ事で、日本では見えなかったものも体験できたと思う。この様な経験をどう活かすかは自分自身の課題であり、そう思えば今日という日は貴重な海外勉強ができたと理解したい。

またタイ王国在住のうしやんさん、軍曹さんあってのタイ王国遠征であり、海外での日本人同士の繋がりという友情に心より感謝申し上げたい。


・・・明日はタイ王国遠征最終日。思い切りタイ王国を満喫したい。



成績ギラファノコ♂×6 ♀×1 オニツヤ♂×1 ♀×1 アトラスオオカブト♂×2 ♀×1
(確認後、リリース)

4日日へ

採集目次に戻る