2010.07.02(金)へっぽこ遠征inタイ王国(2日目)
海外・タイ王国 9:00AM 雨のち曇り 31℃ (蒸し暑い) 同行者:うしやんさん(タイ王国在住)

タイ王国、2日目の朝。

携帯電話の目覚ましで起床する。前回もそうであったが、携帯電話は自動的にタイ王国現地時間に変換されており、合わせて日本時間も表記されているので便利に感じる。因みに自分は「docomo」を使用しているが、アドレス帳から日本の友人にも普通に掛ける事もできるのはもちろんの事、タイ王国滞在時はうしやんさんとの連絡のやり取りにも重宝する。携帯メールも普通に使用できるが、通話と共に通信料金は日本のプラン適用外になるので、後日の請求はそれなりに覚悟しなければならない。それを差し引いても便利なツールである事には変わりないと思う。

タイ王国の朝
タイ王国の朝



まずは朝食をとる。前回遠征時は「焼鮭定食」という完全なる日本食が出てきたので、今回はアメリカンスタイルをオーダーしてみると、文字通り“ブレックファースト”が運ばれてきた。普通に食べやすかったので、これはこれで良かったのだが、ある意味タイ王国らしくない気もしたので、明日以降はタイ王国スタイルをオーダーしてみようと思う。

アメリカンな朝食
アメリカンな朝食




朝食後、迎えに来て頂いたうしやんさんと共に出発する。空模様は相変わらず雨季という事で雨が落ちている。

タイ王国は雨季
タイ王国は雨季



途中、渋滞しているので何事かと思ったら、大型トラックが横転していた。今回で3度目のタイ王国遠征であるが、非常に交通事故を多く見掛ける。それもちょっとした接触事故の様なものではなく、事故車が大破している“大クラッシュ”を頻繁に目にする。文化の違いなのか?民族性の違いなのか?日本であれば「それはないだろう...。」的な理解不能な運転もよく目にするので、タイ王国での運転は日本の常識は通用しないと思った方が良いのだろう。やはりここは日本ではない事を実感させられる。

交通事故が多過ぎる!
交通事故が多過ぎる!



山に向かう途中、セブンイレブンではない地元のコンビニに立ち寄る。タイ王国のコンビニの殆どは、ガスステーションと併設している。このコンビニにも当然の様に、入り口に体重計が設置してあった。

コンビニに立ち寄る
コンビニに立ち寄る



タイ王国のコンビニといえばグリコ製品の多さが目立つのだが、このコンビニは特にグリコ製品が多かった。やはりタイ王国に工場があるので品揃えも良いのだろう。因みに日本と同じ製品は、ほぼ同じ味だと感じる。

グリコ製品が多過ぎる!
グリコ製品が多過ぎる!



うしやんさんが美味しいという“タイ王国仕様”コパンを食べてみると、ガーリック風味が堪らないほど絶妙であった。うしやんさんが食べる前に全て私が食べてしまった。

ガーリック味が美味すぎる!
ガーリック味が美味すぎる!



うしやんさんが撮影用にと地元のパワースポットに立ち寄って頂く。この仏像の周辺には、何トンもある様な巨大な岩が野球場1つ分くらいの範囲にわたって円を描くように置かれている。・・・置かれていると言っても近年という訳ではない様で、相当古い時代からその様に巨大岩が設置されていた様である。どの様な理由で巨大な岩が置かれたのか知る由もないが、異国にてスピリチュアルなものを感じる。因みにこの目の前に車が通り掛かると、ドライバーは一様にクラクションを鳴らして通り過ぎる。うしやんさんに伺ってみると「運転手はクラクションを鳴らす事で“拝んだ事と同じ扱い”にしてもらっている。」と言う。・・・その様な略式もあることを知る。

パワースポットにも立ち寄る
パワースポットにも立ち寄る



本日目的とするポイントまで数百km離れているので、暫く走る頃には昼食の時間になっていた。うしやんさんの休憩も兼ねて食事をとる事にした。第1回タイ王国遠征時にも立ち寄った食堂を選択する。ここの「カーオ・カー・ムー」は絶品なのである。値段は一皿30バーツ。日本円で90円ほどである。簡単にいえば“豚足飯”であるが、究極までにトロトロに煮込まれた豚足がご飯と相まって最高に美味い。

昼食は「カーオ・カー・ムー」
昼食は「カーオ・カー・ムー」




・・・昼食後、再び目的地に向かって車は走り始める。暫くすると、何やら湿地帯にうごめく巨体が居るので確認してみると、水牛であった。このタイプの牛は、なかなか日本では見掛けないので新鮮に映った。どうやら湿地帯の泥浴びをしたらしく、全身泥まみれであった。気が付くと湿地帯には数多くの水牛が確認できた。

水牛も多い
水牛も多い



今回もこのポイントを通過する。画像のドクロマークは「地雷」を意味するものであるが、現在は“除去作業終了”を表す看板となっている。

このポイントへ
このポイントへ



ジャングル奥地へと車を進める。雨季という事もあり、湿気が多くかなり蒸し暑い。車を降りて少々斜面を登ると、すぐに大量の汗が噴出してきた。


雨季のジャングル



数日前にうしやんさんがタイ王国での試みとして、バナナトラップを仕掛けていたので確認してみる。結果としてショウジョウバエが大量に集まっているのみであったが、タイ王国でフルーツトラップというのも意外な虫が集まりそうで興味深いものがある。

フルーツトラップを確認する
フルーツトラップを確認する



うしやんさんが仕掛けたバナナトラップのすぐ横を見ると、天然のバナナがなっていた。どうやら大きな蕾を膨らませている様で、まもなく花が咲くと思われる。

バナナの花
バナナの花



なかなかクワガタの姿が確認できないので、少々藪漕ぎを行うことになった。・・・まさかタイ王国で藪を漕ぐとは思ってなかったが、毒蛇などの緊張感を持ちつつ歩を進めていく。非常に良い経験が出来たと思う。

ジャングルの藪漕ぎ
ジャングルの藪漕ぎ



ジャングル内を見渡すと、タイ王国にはクワガタ以外にも多くの昆虫たちが生息しているのが確認できる。今以上に時間の取れる旅行が出来る時があれば、タイ王国のトンボなど水辺の虫も観察してみたい。

タイ王国のトンボ
タイ王国のトンボ



ふと林道を飛び回る小さな虫がいるので目をやると、ハンミョウであった。自分の知る限り、日本では見た事のないハンミョウであったが、近付こうものなら猫の様に一定距離を保ちながらこちらの様子を窺っていた。

タイ王国のハンミョウ
タイ王国のハンミョウ



ジャングルの中ではセミの鳴き声も聞こえてくる。一度その姿を確認してみたいと思い探してみると、小さなセミが鳴き声の主であった。日本のニイニイゼミより小さな個体であるが、透明感のある美しいセミであった。いつか世界最大と言われているテイオウゼミを観てみたい。

タイ王国のセミ
タイ王国のセミ




・・・探索に没頭している内に、いつしか日が傾き始めていた。ジャングルでの探索は明日以降に期待するとして、今晩のHIDライトトラップのポイントに移動する事にした。定点ポイントにて目的地を確認すると、雲は出ているものの何とかライトトラップはチャレンジ出来そうである。

定点カメラ
定点カメラ



目的地到着後、HIDハンディライトを設置する。相変わらずライトを三脚を繋げるだけなので、準備時間が掛からず非常に重宝するアイテムである。今晩も外付けバッテリーと合わせて3時間のショータイムとなる。

HIDハンディライトを準備する
HIDハンディライトを準備する


夜の帳が下りると共に、HIDライトの照射を開始する。タイ王国の漆黒の闇に強烈なレーザーが放たれる。

コロニーレーザー発射!
コロニーレーザー発射!



数分後、多くの蛾の中に本日の第一甲虫が飛来した。風もなく蒸し暑い夜なので、大物の飛来を期待したい。

第一甲虫飛来!
第一甲虫飛来!



すると大きなシルエットと共にアトラスオオカブト♀が飛来した。今年4月の遠征でも個体を確認しているが、改めてアトラスの存在感ある飛行を目の当たりにする事ができた。これを体感しないとタイ王国は始まらない。

タイ王国・アトラスオオカブト♀
タイ王国・アトラスオオカブト♀



アトラスオオカブト♀のすぐ後に、今度はアトラスオオカブト♂が♀以上のインパクトで飛来した。タイ王国では4月頃にもっと大型のコーカサスオオカブトの存在もあるが、このアトラスオオカブトも日本産カブトと決定的な差を誇る角の格好良さに“東南アジア”を感じる事ができる。この様な個体をタイ王国の山奥にて確認できる幸せは、言葉では言い表しきれない最高のひと時である。

タイ王国・アトラスオオカブト♂
タイ王国・アトラスオオカブト♂



以前の遠征から感じていたが、一度カブト系の飛来が始まると短い時間に連続して集まってくる。このアトラスオオカブト♀も先ほどの♂の画像を得ている最中に飛来した。この大型甲虫の連続飛来は、ちょっとした空襲と言えるかも知れない。

タイ王国・アトラスオオカブト♀
タイ王国・アトラスオオカブト♀



更にアトラスオオカブト♂が飛来する。時期的にコーカサスオオカブトは終わっている様で、カルコソマ系で飛来するのは全てアトラスの様である。さすがに何度か個体を見比べているので大型の♂であれば容易にコーカサスかアトラスかの判別は出来る様になってきた。

タイ王国・アトラスオオカブト♂
タイ王国・アトラスオオカブト♂


甲虫大空襲の中、何かが舞い降りる。自分はてっきりアトラス♀辺りかと思っていると、その個体を確認しに行ったうしやんさんが「テナガコガネ!」と言うので、慌ててその個体を確認してみると、幻のゲストロイテナガコガネが佇んでいた。個体としては♀なので♂ほど長く特徴的な前脚ではなかったが、神々しいテナガコガネを自分の目で確かめる事ができた。自分の中では与那国島でのヨナグニマルバネ級のインパクトであり、今回の遠征の一番の目的でもあったので本当に嬉しい。

タイ王国・ゲストロイテナガコガネ♀
タイ王国・ゲストロイテナガコガネ♀



ゲストロイテナガコガネの飛来で達成感の漂う中、まだまだ虫たちの飛来は続く。別角度で見れば日本では見掛けない蛾の飛来も多い事に気付く。割りと綺麗に感じてしまうのはタイ王国という異国に居るせいだろうか?

巨大な蛾が多い!
巨大な蛾が多い!



それにしても今晩はアトラスオオカブト♂の飛来が本当に多い。大迫力にて飛来した後、着地後も大型甲虫らしからぬ、素早く動き回ったかと思えば、再び羽ばたき飛び回るその姿は“暴れん坊”そのものである。

大迫力の飛来!
大迫力の飛来!



次々とアトラスオオカブト♂が飛来する。おそらく今日という日が、探索最後の日と言っても悔いが残らないほど、最高に贅沢な時間を過ごしている。

アトラス最盛期なのだろう
アトラス最盛期なのだろう



HIDライトの照射は続く。改めてこのHIDハンディライトとの出会いが、可能性を無限大に広げてくれた。この可能性の続きはまだまだ先があるのかも知れない。

アトラス祭りを楽しむ
アトラス祭りを楽しむ


ある程度の時間が経過すると、アトラスオオカブトの集中豪雨はピタリと止んでしまった。そろそろクワガタの飛来も期待したいと思っていると、人知れず見慣れないクワガタ♀が飛来していた。うしやんさん曰くギラファノコ♀という。どうやらこの数日うしやんさんの探索の中で、周辺ではギラファノコが多く発生しているとの事であった。

タイ王国・ギラファノコギリ♀
タイ王国・ギラファノコギリ♀



それしても見知らぬ虫が多い。派手で大型の蛾が多いのだが、全くをもって名前や種類ですら判らない...。

怪しげな蛾が飛来
怪しげな蛾が飛来



次の飛来を待っていると、アトラスとは異なる少々軽い羽音と共に甲虫が飛来した。先ほどのギラファ♀を見た後だったので、すぐにギラファノコギリ♂だと理解できた。率直な感想として、ギラファといえば「ムシキング」の世界であり、それが目の前にいる事がにわかに信じ難い気もしたが、普段映像などで目にする様な大歯型ではなく、大顎の欠けている個体だったので、それが逆にリアルな印象にも映った。

タイ王国・ギラファノコギリ♂
タイ王国・ギラファノコギリ♂



HIDライトのバッテリーの続く限りタイ王国の夜空を照らし続けたが、そろそろ時間切れである。暴れまわるのを防ぐためにも一度籠の中に留めて置いたアトラスオオカブトを確認してみると、やはり凄い光景である事を再認識する。日本では大量のカブトムシを大きな籠に入れてある状況を目にする事はあるが、それがアトラスオオカブトなのだから、やはり恐るべしタイ王国なのである。

アトラス祭り
アトラス祭り


・・・今回採集した個体はテナガコガネ含め、この場で全てリリースした。

自分は、飼育も標本も(当然売買も)行わない“へっぽこ者”であるが、今回も同様である。人によっては「標本なしで何が活動なのか?」と言われる事も多いのだが、例え人から「多額の金と時間の無駄遣いだ!」と言われても“自分らしさ”を失わない探索を行って行きたい。このスタイルが自分にとって最高の楽しみ方であり、今後も路線変更は無いと思う。

最後にカミキリ飛来
最後にカミキリ飛来




最高の探索を行った後は、当然腹も減るので屋台へ行く。今晩のタイ料理は「カオ・パッ」にする事にした。日本でもおなじみの炒飯(チャーハン)である。見た目も味も日本のそれと大差は無い。それでも屋台で食べる焼飯は、腹ペコ状態も重なり最高に美味しかった!

カオ・パッ(タイ王国の焼飯)
カオ・パッ(タイ王国の焼飯)



宿に戻ると壁に20センチ近いトッケイが獲物を狙っていた。こちらを見る目が光っている。今日はもう目の前の事、全てが楽しい。

目が光るトッケイ
目が光るトッケイ



・・・部屋に戻った瞬間、強烈な睡魔が襲ってきたので明日の探索に備え、すぐに休む事にした。

・・・本日このタイ王国で確認できた多くのアトラスオオカブト、ギラファノコギリ、そして生で確認する事のできたゲストロイテナガコガネ。


・・・今日という日は一生忘れられない日になった。 「うしやんさん、ありがとう。」 zzz



成績ギラファノコ♂×1 ♀×1 アトラスオオカブト♂×9 ♀×4 コーカサスオオカブト♀×1 (ゲストロイテナガコガネ♀×1)
(確認後、全てリリース)

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