2005.07.08(金)へっぽこ遠征in対馬列島(1日目)
長崎県・対馬 1:00PM 曇りのち大雨 24℃ (蒸し暑い)

今回は「対馬遠征」をする事にした。対馬は長崎県の離島で、九州と韓国の間に位置する島である。対馬には「ツシマヒラタ・チョウセンヒラタ・キンオニクワガタ」などの固有種が生息している。その内のどれかは確認したいが、今回もほとんど情報を持たないで“行き当たりばったり”の採集旅行となる。どうなるのであろう...?

長崎県です
長崎県です



対馬までの直行便は無いので、羽田から福岡空港を経由して対馬に入る。羽田空港内のモニターでは、昨日起こったロンドンでのテロのニュースばかりで、空港内も警察が多く警備している様に窺えた。“9.11”からの状況を見た限り、決して他人事ではない気がする。・・・これから飛行機に乗る身にとっては、非常に嫌なニュースである。

・・・嫌なニュース
・・・嫌なニュース



羽田を発って1時間半ほどで福岡空港に着いた。普段、車で大阪など行く場合は6時間以上掛かるので、たった90分で東京から九州まで来れる事に実感が湧かない。暫し休憩をしていると、隣の人の携帯音が“ホークスの応援歌”だった。やっと福岡に居る事を実感する。それにしても、天候が気になっていたが福岡は快晴で、空港前の「ダイキンの気温計」では29℃を示している。非常に熱く蒸している。過去の遠征では天候に恵まれていないので、このまま天候はもって欲しい所である。

福岡空港
福岡空港



対馬空港行きの便に乗る為、荷物検査を受ける。問題ないと思っていたが、検査員に「中に“缶”の様なモノが入っていますが、開けて頂いて宜しいでしょうか?」と言われた。実はこれは、2日ほど前にセッティングしたフルーツトラップ用の“焼酎漬けのバナナ”が入った缶であった。「まぁ食料です。」などと答えながら荷物を空けた途端、“悪臭”が辺りに漂った。テロか?・・・何と、密閉していたはずの缶が“発酵し過ぎて”、缶の蓋が圧力で破裂していたのである!荷物中は着替えなど全てが、焼酎漬けになっていたのである。個人的には充分“自爆テロ”であり、いきなりテンションが下がった...。検査員の方も「もう結構です...。」と呆れている様であった。

荷物検査で・・・破裂!!
荷物検査で・・・破裂!!



ある意味“ダークゾーン”となった検査終了後、対馬行きの便は福岡空港を発った。見る見る内に大地が小さくなっていく。対馬までの飛行機(ANAのみ)はジェット機なので、それなりの天候であれば問題なく到着できると思われる。

福岡上空
福岡上空




しかし、福岡を発ってすぐに天候は一変した。厚い雲に覆われ飛行機の窓からは、灰色の嫌な色しか見えない。降りられるか不安になってきた。

対馬が見えて来たが・・・
対馬が見えて来たが...



それでも流石ジェット機。無事に対馬に辿り着くことが出来た。福岡空港から30分ほどでの到着だったので、意外に早かった。天候は今にも雨が降り出してもおかしくない状況である。降られる前に動いておきたいと思い、予め予約しておいたレンタカーに乗り、山を目指す。

対馬空港、到着
対馬空港、到着



とりあえず山に入ってみる事にした。雲が低いせいか、山全体が霧に覆われている様な感じである。それにしても対馬の山は深い様に窺える。ますます不安度が増す。

対馬の山は深い
対馬の山は深い



とりあえず広葉樹を探していると、やたら樹液の出ている樹木を発見した。いきなり“へっぽこ”がクワガタに会えるとは思わないが、コクワでも良いので対馬のクワガタが居ればと思い、確認してみる。

樹液が出ている!
樹液が出ている!



樹液の出ている中心部に、何やら小さな甲虫がいたので確認してみると背中に筋のあるクワガタ♀が出てきた。スジクワ♀かと思ったが、少々雰囲気が違う...。今まで採集してきた“へっぽこ認識データ”には無いクワガタであった。更によく確認してみると、雑誌や図鑑で見ていたネブト♀であった。今まで一度も採集したことが無く、何とか自分の目で確認したかったクワガタだったので、この初の確認は本当に嬉しい!書物で見掛ける様に、樹液の中で埋もれている様な姿が印象的であった。

自身初のネブト♀
自身初のネブト♀



ネブト初確認の中で興奮していると、すぐ近くの樹木の洞に、駆け込む様に隠れた物体が見えた。それほど大きな個体では無かったのでコクワだろうと思ったが、一応掻き出し棒で引っ張り出してみる。

クワガタが逃げ込んだ!
クワガタが逃げ込んだ!



引っ張り出してみるとピカピカな個体が現れた。大顎を見て驚く!ヒラタ♂であった。しかも「ここは対馬。」という事は、ツシマヒラタ♂という事になる。まさかいきなり小さい個体ながら、ツシマヒラタを確認できるとは思ってもいなかったので驚いた。しかもネブト初確認から数分の出来事であった。“へっぽこ”にしては出来過ぎである。ある意味、ここで対馬遠征を終わらせても良いくらい流れが良かった。

対馬・ツシマヒラタ♂
対馬・ツシマヒラタ♂



ツシマヒラタ&ネブトを確認できたので、気持ちとしては非常に楽になった。こうなると次の課題としては“今まで全く成果の出ていない”フルーツトラップでの個体確認が目標となる。福岡空港で“容器が破裂していた缶”からバナナを取り出す。テンションが下がりながらバナナをストッキングに詰めて、思う所にフルーツトラップを仕掛けていく。今回は、先月の沖永良部遠征時よりも時間を掛けて(約1日半)焼酎に漬けて置いたバナナである。対馬は沖永良部島より“フルーツトラップに集まりやすい”様なので、今回は何とか来て欲しい。

トラップを仕掛ける
トラップを仕掛ける



山道を車で走っていると、翅の退化した“変なキリギリス”を良く見掛ける。「ツシマフトギス」らしい。本土で見掛けるキリギリスに良く似ている。大きな個体なのでいきなり出てくると驚く。不思議と♀ばかり見掛けた。

ツシマフトギ
ツシマフトギス



対馬は離島といっても九州の北部に位置する離島のせいか、クヌギやコナラの樹木も多く見掛ける。大木は少ないが本数は多い。所々、樹液の出ている箇所があるので確認していくが、クワガタは付いていない。探し方が悪いのだろうが、スズメバチ程度しか確認できない。

クヌギ・コナラは多い
クヌギ・コナラは多い



一応、クヌギやコナラ中心にトラップを仕掛けていく。正直な所、今までフルーツトラップでの実績が無いせいか、仕掛ける場所に自信が持てない。そうであれば数多く仕掛けた方が確率も上がるのかもしれないが、今回は15箇所程度の設置とした。

可能性を信じて・・・
可能性を信じて...




・・・暫く時間も経ち夕食をとり終えた後、外灯周りとトラップ確認に行こうと車を走らせた途端、何とか夕方まで持ちこたえていた雨が降り出した。しかも降り方が尋常ではない。よく“バケツをひっくり返した様な”という表現をするが、まさにそれである。その状態が1時間経っても一向に治まらない。ラジオで緊急の気象情報が流れる...。「現在、北九州地方には非常に発達した梅雨前線が停滞しており、大雨洪水警報が発令されています。周辺の方は河川の氾濫や崖崩れに充分に気を付けて下さい。」・・・そうは言ってもこれからが本番であるし、何よりトラップに来ているかが非常に気になる。しかし土砂降りの雨は降り止む気配すら感じられない。車のワイパーは最速状態でも、前が見えないほど雨の勢いは凄まじい...。状況的にかなりヤバイと思ったが、どうしてもこのまま夜回りを諦めきれないので、一番近くに仕掛けたトラップだけ見に行って、その時天候が回復しなければ諦めようと自分自身に落とし所を作った。土砂降りの中、何とか宿から一番近くに設置したトラップまで来る事が出来た。車の中から懐中電灯を照らして確認する。・・・樹には大量の雨が流れ落ち、クワガタどころでは無かった。

大雨でクワガタどころでは無い・・・
大雨でクワガタどころでは無い...




結局、天候は回復どころか“林道に土砂が流れ始める”シャレにならない状況になってしまった。流石にビビリ、下山し宿に戻った。テレビを点けると対馬地方では、この1時間で27ミリの雨が降った様である。しかもあと数日間、大気の状態は非常に不安定で、明日以降も危険な状態らしい...。

・・・勘弁して欲しい。



成績ツシマヒラタ♂×1 ネブト♀×1 コクワ♂×1 ♀×1
(確認後、3日目に全てリリース)

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