2019.08.02(金)へっぽこ遠征in八重山列島(3日目) 沖縄県・西表島 9:00AM 晴れのち曇り 31℃ 同行者:kapiさん 西表島遠征、3日目の朝。 本日もリュウキュウクマゼミの鳴き声で目を覚ます。出来ればミンミンゼミの鳴き方の様な、ヤエヤマクマゼミの鳴き声も聴いてみたいのだが、生息ポイントが違うのだろうか?本日も窓の外は快晴である。
朝食は時間が遅くなってしまったので、ブランチの様な感じになってしまった。「八重山そば」をオーダーする。沖縄本島で食べれば「沖縄そば」。南大東島で食べれば「大東そば」。与那国島で食べれば「与那国そば」。・・・なのに石垣島で食べても、西表島で食べても「八重山そば」。せっかくなので「石垣そば」や「西表そば」にすれば個性が出るのでは?と思い、店のオーナーに聞いてみると「石垣島も西表島も店ごとの違い以外変わらない...。」と言う、味も素っ気もない返答であった。真面目な話、各離島の呼称は、それぞれ特徴があって“麺の太さ、縮れ、具材、盛り付け”などが異なっている。・・・ここの「八重山そば」は美味しかった。
本日は昼間の内に見学しておきたい場所があるので、そちらに車を向ける。
「西表野生生物保護センター」に到着する。ここに来れば西表島の生物の事が学べると思ったので、滞在中に一度来てみたかった。
イリオモテヤマネコのはく製を見学する。個体差なのかも知れないがツシマヤマネコよりも黒っぽい印象を受ける。イリオモテヤマネコの資料を見ると年に1頭ほど交通事故にて亡くなってる様である。
ヤエヤマコクワの標本も展示してあった。近年、採集報告が増えている様であるが、20年ほど前までは“幻”と言われていたヤエヤマコクワなのである。私の知っているアマミコクワ・トクノシマコクワ・オキナワコクワとは、ちょっと雰囲気が異なる様に窺える。
「西表野生生物保護センター」を後にする。周辺には有名な仲間川が流れている。この川の上流には、とても有名なサキシマスオウの樹がある。
土産物屋があったので立ち寄って買い物をする。店内を覗くと殆どがイリオモテヤマネコ関連の商品であった。
少し車を走らせると昨日から気になっていた「国指定特別天然記念物」と表記されたイリオモテヤマネコの“親子バージョン”の銅像を確認する事が出来た。確かにこの3日間、西表島に滞在しているが、対馬よりヤマネコの推し方が上手いと思う。
周辺の川や海の様子を窺ってみると、この3日間、昼間は完全に潮が引いている。ヒルギ(マングローブ)の根っこまで完全に見えている。
西表島はカヌー、カヤック目的の観光客が多い。個人的には過去に奄美大島で楽しんだ記憶があるが、この数日を見た限りでは潮が引いてしまっているので、一番良い時間帯(昼間)に楽しむ事が出来ない様子である。因みにカヌーとカヤックの違いは個人的な見解になるが、水を漕ぐブレードが片方だけのものがカヌー、ブレードが両方のものがカヤックだと思い込んでいる...。
本日も早めの夕食をとる。“地元らしいモノ”をと思い「タコライス」を選択した。過去の遠征で一番美味しかったタコライスは与那国島で食べたモノが断トツだったと思う。逆に沖縄本島のコンビニで購入したタコライスは最悪だったが、西表島で食べた店のタコライスはピリ辛さが程よく美味しかった。
・・・本日のポイントへ向う為、早めの出発とする。
今晩のポイントは諸々総合して、この場所に決まった。やはり昼間にヤエヤマコクワの標本を見てしまった以上、意識せざるを得ない。kapiさんも全く同様であった。周辺で出会った採集者が3日前にヤエヤマコクワ♀を1頭確認したとの情報も有望であった。
今晩もHIDライトをセッティングする。灯火総研さんはこの夏に新型のHIDライトを発表されたので、10年前に購入した私の使用しているタイプ(SL-3050)は現在販売されてない。もはや旧式とも言えるライトなのかも知れないが、国内外問わず大きな実績をもたらしてくれたライトなので、使用可能な限り使い続けたい。
夜の帳が下りると共にライトを点灯する。実質、今晩が西表島“最後の夜”なので、何とか形になって欲しい。
点灯早々、今晩も多数のドウガネが飛来する。・・・やはり今回の西表島遠征では、他で確認できる様な“点灯直後の大量の羽虫”の飛来が全くない。やはり西表島というのは独特の空間なのだろうか?
見知らぬバッタも飛来する。HIDライトには様々な虫たちが集まってくる。タイ王国であれば超巨大なキョジンツユムシや国内でも7月頃だとホタルも反応して集まり、晩夏であればケラやエンマコロギも多数反応して集まってくる。
メタリックな輝きを放つ甲虫が飛来した。西表島では初めて見るコガネであるが、昨晩、一昨日と違った虫の飛来があると言うのは、ある種の期待感が膨らむ。
今晩も中型のコメツキが飛来する。初日でも確認したオオフタモンウバタマコメツキだろうか?それなりに数は飛来する。
中型の蛾も飛来する。その中では普段見掛けない蛾も確認できたりする。そういう意味では、今晩のポイントはこの3晩で一番可能性が感じられる気がする。
それにしても所謂“外道”ばかりでクワガタの飛来が全くない。可能性は感じるもののサキシマヒラタすら飛来しない今晩は、可能性と不安が入り混じる。
時間と共に中型の蛾から大型の蛾へと移行していく。時間帯としては申し分ない頃合いなので、そろそろクワガタの飛来を期待したい。
少し離れた場所に乾いた大きなシルエットが飛来する。何となく昨晩も体感しているので想像は付いたのだが、これもリュウキュウクマゼミ♀だった。これがヤエヤマクマゼミならもう少しテンションも上がるのかも知れないが、そもそもクマゼミがHIDライトに飛来する感覚が(タイ王国以外)今まで無かったので、そういう点では楽しい。
・・・ライト点灯から2時間30分が経過する。ここまで一切クワガタが飛来しない状況を見ると厳しいのかも知れない。 バッテリーの残りも30分を切ったので半ば諦めムードが漂っていると、1頭の甲虫が飛来した。可能性を信じて確認してみる。そこには赤褐色の個体が佇んでいた。ヤエヤマノコギリ♀であった。今回、、、と言うか人生初のヤエヤマノコギリである。何度も足を運んだ石垣島でも確認できたのかも知れないが、チャイロマルバネやヤエヤママルバネをメインとした遠征だったので、時期的にはヤエヤマノコギリには出会えなかった(現在、石垣島では全て採集禁止)。その様な意味では“平成の忘れ物”として感激に近い喜びを感じてしまった。因みに私が学生時代に購入した本には、まだタカサゴノコギリと表記されている。
・・・それ以降もヤエヤマコクワやヤエヤマノコの飛来を期待したが、バッテリーが底を付いてしまった。本日の結果としてはヤエヤマノコ♀×1頭の確認のみに終わったが、とても有意義な1日となった。ライトトラップの撤収を行う。
今回の西表島遠征ではヤエヤマコクワの確認は出来なかったが、今の自分の体力など考えると最大限に出来る事はやり切れたと思う。やはり“幻”と呼ばれるだけあってヤエヤマコクワの確認は容易ではなかったが、これも“へっぽこ”らしくて良かったのかも知れない。以前にも話したかも知れないが、よく「やらないで後悔するくらいなら、やって後悔したい。」という言葉を耳にするが、私の持論はそうではなく「やらないで後悔するくらいなら、やって“納得”したい。」なのである。その様な意味でも来年は自身の状況や西表島の採集状況など考えると、今回の西表島遠征は個人的には大成功だったと思う。
・・・もう来る事の難しい西表島だと思うが、この数年の状況を考えると、とても清清しい思いであった。 (西表島遠征の助言を頂きました方々に、心より感謝申し上げます。) 成績:ヤエヤマノコ♀×1 (魔琴:撮影のみ。持ち帰りなし) |