2019.07.25(木)
東京都・西部 11:00AM 晴れのち曇り 30℃ 同行者:セブン上司さん


セブン上司さんから採集のお誘いを頂く事となった。お会いするのは、もちろん初めてなのだが、そのご存在は大袈裟ではなく30年ほど前から存じ上げていた方なのである。まずは意外なほどご近所さんであった事に驚く。



近場の駅で合流後、最初の話題はプロレスからになる。“人間風車”これだけで1時間はお話した様な気がする。クラッチの仕方は、そのままホールド出来るほど強烈であり、ドリーの様なアメリカ式と違いヨーロッパ式の投げ方である事から、人間風車とダブルアーム・スープレックスは違うなどと熱く語り合う。因みに私の世代ではミル・マスカラスは”仮面貴族”と認識しているのだが、セブン上司さんは“悪魔仮面”と言い表している。特にロス時代が素晴らしかったと言う。この辺で年齢的なギャップがある事を実感するが、私も過去のプロレスは予習済みなのでセブン上司さんのお話についていく...。


次に昭和のウルトラマンの話になる。そもそもセブン上司さんのハンドルネームが、かなりマニアックなのである。ウルトラセブン第48話「史上最大の侵略(前編)」と第49話「史上最大の侵略(後編)」の一部に登場する謎のウルトラ戦士なのである。登場時に自分の名を名乗ってない事やモロボシ・ダンにM78星雲に帰還する様に命じる立場から、ウルトラセブンより上の存在として「セブン上司」と言われる様になった。因みに私が好きなウルトラ戦士は「ゾフィー」になる。これもマニアックな存在であるが、ウルトラマン第39話「さらばウルトラマン」に登場した際、自分の名前を「ゾフィ」と名乗っている事から、現在もウルトラ兄弟の長兄としてフィギュア化などもされている。自分の名を名乗ったゾフィー、名乗らなかったセブン上司。そして円谷プロがその存在を覚えていたゾフィー、存在を忘れられていたセブン上司。似た存在でありながら、その後の扱われ方に大きく差が出来てしまった。そもそも「ゾフィ」と「ゾフィー」の標記の違いについて語るなら...。

ここまで、ついてこれてますか...?(笑)


昭和のプロレス・ウルトラマンの話題で盛り上がった所で、やっとクワガタの話になる。しかし、ここで大きく状況が異なる。セブン上司さんの御蔵島で採集された頭部赤褐色黄紋型のミクラミヤマ♀のお話や、その時代に登場するF氏やY氏とのやり取りなど、私から見ると活字でしか存在を知らない方ばかりなのである。セブン上司さんの本名をご存知の方であれば納得できる内容だと思う。


・・・もう一度確認しておくが、セブン上司さんとは本日初めてお会いするのであって、お会いして早々に上記の話題となっている。




・・・前置きが長くなってしまったが、本題の探索を進める。場所は東京都・西部。考えてみれば過去の採集記を遡ってみても東京都の西部を探索した記憶がない。可能性があればネブトを確認してみたい。“東京都のネブト採集”とひと言で表現するのは難しく、伊豆諸島産でも東京都。本土産でも東京都。個人的には多少なりとも難易度の差を感じている。

東京都・西部の山
東京都・西部の山



とりあえずモミの樹などをチェックしていく。モミの樹液確認は以前遠征した対馬以来になるが、東京都にもそれなりにモミの樹がある事を実感する。数本確認していくが、まだ樹液の出てない樹も多く、少し時期が早いのかも知れない。

東京都(本土)ネブトを探す
東京都(本土)ネブトを探す


山登りをしながらの採集なので、当然体力も奪われる。正直、病み上がりの身として、今の自分がどの程度の体力なのか自分自身確認しながらの採集となるのだが、思っていた以上に体力は低下しており、斜面を登りながら、途中途中で休息を入れながらとなってしまった。・・・気が付くとエゾゼミが鳴いている。東京都でエゾゼミの鳴き声を聞いたのは初めてだと思う。

山登りがキツイ...
山登りがキツイ...



山道を登りながら息が切れたので、また休息を入れる。ふと、足元を見るとなにやら甲虫が歩いている。

何かが歩いている...
何かが歩いている...



ミヤマ♀だった。今回はネブト狙いの探索であったが、場所柄ミヤマに出会うことが出来た。長年、東京に住んで居ながら過去の採集記では、神奈川県・西部、埼玉県・西部でのミヤマ確認だったので、この東京都での確認は嬉しい。個体に感謝し、すぐにリリースする。

東京都・ミヤマ♀
東京都・ミヤマ♀



セブン上司さんが「アオタマの確認をしておきたい。」と仰るので、その様な場所をチェックする。私はいつもクワガタ目線であるが、この様な探索はとても勉強になる。

アオタマムシ探索へ
アオタマムシ探索へ



周辺は良いポイントらしく、平日にも拘らず他の採集者の姿も確認できる。セブン上司さんはベテランと思われる女性採集者と話し込んでいる。どうやらセブン上司さんも認める名人らしい。確かに会話を伺っていると「今年のアオタマは長雨の影響で...。この時間帯の太陽の角度だと、あと数百メートルずらした方が良いかも知れない...。この紫外線の状況だとアオタマの発色が...。」

・・・もはや私は頷くことしか出来なかった。結局本日の状況としては芳しくない様子で、アオタマムシを採集されている方は1人も居ない状況であった。

他の採集者も居る
他の採集者も居る



次にセブン上司さんは「ヨコヤマも確認しておきたい。」との事で、その様なポイントを目指す。“ヨコヤマ”とは、ヨコヤマヒゲナガカミキリの事である。ふと、前回の東北でのライトトラップに飛来したカミキリと重なり、セブン上司さんに画像を確認してもらうと「これはヒゲナガカミキリ」との事であった。やはり勉強になる。

・・・しばらく周辺をチェックしたのだが、どうやら今年はまだ発生してない様子であった。

ヨコヤマヒゲナガカミキリ探索へ
ヨコヤマヒゲナガカミキリ探索へ


その後も探索を続けたのだが思う様な成果が出ず、時間だけが過ぎて行き、私の体力も限界に近付いてしまい、暫し休憩させて頂く。その間セブン上司さんは山の斜面を下りて行き、暫らくして戻って来ると「何とかトリケラトプスは確認できた。」と仰る。「どんな虫だろう?」と思い確認してみると、♂らしき個体の頭部の角が特徴的な虫であるが、セブン上司さんに名前を伺ってみると「コブスジツノゴミムシダマシ」と言う。セブン上司さん曰く「これがもっと大きな虫だったら、今以上に人気が出て良い虫だと思う。」と仰る。

コブスジツノゴミムシダマシ
コブスジツノゴミムシダマシ




夕暮れを迎える頃になると雷が鳴り始めた。状況を見てセブン上司さんは「ナイターは止めておきましょう。」と仰る。外灯回りや灯火採集の事を“ナイター”と表現される辺りに貫禄を感じる。これにて本日の探索を終了とする。

とても有意義な1日になりました!
とても有意義な1日になりました!



帰りも昭和のプロレスやウルトラマンの話で盛り上げる。そのどちらもファン目線でお話できるので私も付いていけるのだが、その合間にクワガタ話を挟むと、そこだけ世界観が違う。余りにも雲の上の様な方なのである。

・・・目的地に戻ってきたので、またの再会を誓ってガッチリと握手をしてお別れとなった。


・・・帰宅後、手元にあるクワガタ図鑑を確認してみると、改めてセブン上司さんの存在の大きさを知る事となった。


成績ミヤマ♀×1
(確認後、リリース)

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