2019.05.30(木)へっぽこ遠征inタイ王国(2日目) 海外・タイ王国 7:00AM 曇り 31℃(蒸し暑い) 同行者:うしやんさん(タイ王国在住)、kapiさん タイ王国遠征、2日目の朝。 6時半に目覚ましをセットしていたのだが、その少し前に目が覚めた。日本とタイ王国では2時間の時差があるのだが、不思議と身体が対応している様である。いつもの様に窓の外を見てみると、晴れてはないものの雨は落ちてない様子である。
7時に朝食の約束をしていたので食堂に向かう。タイ王国の朝食といえば毎度おなじみの「豚粥」である。毎回、豚粥と言ってるが、タイ語では「カーオ(米)・トム(茹でる)・ムー(豚)」になる。サラサラとした口当たりが大変気に入っている。
・・・朝食後、探索の身支度を行い出発する。
目的地は「ご神木」かと思ったのだが、うしやんさんがこの数年の間に良いタクヤックゥの樹を見つけたと言うので、まずはその場所へ向かってみる。それにしても蒸し暑い...。車を降りて数分で汗だくになっている。
タクヤックゥの樹に到着。タクヤックゥと言えば、過去のタイ王国遠征でも何度か登場している樹であり、数種類のクワガタやヒメカブトを確認している。
早速タクヤックゥの樹をチェックしてみると、すぐに頭上1メートルの場所にウエスターマンヒラタ♂の姿が確認できた。大顎に“らしさ”を感じさせる良い個体である。4年振りにタイ王国に来て、今回の遠征で最初のクワガタであり、この数年の自身の状況を考えると感慨深いモノがある。日本で言うなら時代は「令和」であり、個人的に“令和初のクワガタがタイ王国のウエスターマンヒラタ”になるとは思いもしなかった。
タクヤックゥの裏側を見ると別のウエスターマンヒラタ♂の姿も確認できた。個人的には先程の1頭目の方が画的に気に入ってるので、確認する順番が逆でなくて良かった。
樹の根元付近を見るとチェリフェルネブト♂の亡骸が確認できた。過去の探索でもタクヤックゥにはウエスターマンヒラタやチェリフェルネブトが確認できているので、他の個体が居ないか樹をチェックしてみる。
すると、タクヤックゥの洞に潜むチェリフェルネブト♂の姿が確認できた。洞の中という写真を撮るには都合の悪い条件であったが、時間を掛けて何とかそれっぽい写真を撮ることが出来た。
一段落したので車に戻る。するとレンズキャップが落ちている。私もうしやんさんも「OLYMPUS」だが私達のモノでは無い...。するとうしやんさんが「この間タイに来たガイソンさんのかも知れない...。」と言うので、私が日本に帰国後に責任を持ってガイソンさんの元へお届けする事となった。
その後「ご神木」に向かう。いつもの曲がり角に差し掛かったのでカメラを用意すると、なんとあの看板が無くなっているのであった。初めてタイ王国に来た2009年から前回遠征の2015年まで確認できていたが、この4年間に撤去されてしまった様である。このタイ王国・東部、カンボジア国境付近を象徴する看板だったのである種の喪失感がある。
林道を進む。途中ドリアンの果樹園を抜けていく。人それぞれの好みだろうが、タイ王国には他にも美味しい果物が豊富なので、私はドリアンを好んで食べる方ではない...。
4年振りとなる「ご神木」に到着。この樹は過去のタイ王国採集記をご覧頂ければと思うのだが、訪れる時期にもよるが、モウホツヤクワガタ、オニツヤクワガタ、ギラファノコギリクワガタ、ウエスターマンヒラタクワガタ、ライヒヒラタクワガタ、チェリフェルネブトクワガタ、ニグリトゥスフタマタクワガタが樹液に集まる、文字通り「ご神木」なのである。
逸る気持ちを抑えながら樹をチェックしていく。すると樹液が出ている箇所にスズメバチの姿が確認できる。見た目からして日本のスズメバチとは随分と容姿が異なる。写真を撮ろうと近付くと、思わず威嚇されてしまった...。
暫らく樹液場の様子を窺っていると、スズメバチが去った後にチョウが飛来した。どうやらコノハチョウの様である。周りの葉が青々としているので逆に枯葉の様な個体が目立ってる感が否めないが、個性あるチョウだと感じる。
それにしてもウエスターマンヒラタあたりは確認できると思っていたが、今回は全くクワガタの姿が確認できない。過去のタイ王国遠征で、この「ご神木」にて不発だったことが無かった為、ちょっと想定外だった。因みに今の時期であれば、この樹に集まるゲストロイテナガコガネの姿が確認できるらしいのだが、今回も前回の遠征同様に不発であった..。目標としては、うしやんさんが2013年にこの場所で撮影された、このシーンを拝んでみたかった。 ・・・因みに今まで「ご神木」と表記してきた樹であるが、どうやら「オオシマコバンノキ」の一種らしい。
うしやんさんが動画を撮り始めた。実はうしやんさん、動画再生回数100万回を超えるYouTuberになっていた。気になる方はうしやんさんのサイトから各SNSや動画サイトをご覧頂きたい。
それにしても蒸し暑い...。現時点で下着から上着、ズボンまで汗びっしょりである。ふと樹の逆側を見ると、以前とは随分と風景が変わっている事に気付く。以前はこの斜面の下草の背も低く、ここから200メートルくらい藪漕ぎしながら斜面を登りきった場所にタクヤックゥが存在しており、モウホツヤやヒメカブトが確認できたのだが、今となっては下草ならぬジャングル化してしまった...。
オオシマコバンノキを一通りルッキングしたのだが、結局クワガタの姿は確認出来なかった...。車に戻ろうとするとうしやんさんが斜面を見て「タランチュラの巣...」と言う。タランチュラといえば“あの毒グモ”で有名なオオツチグモである。うしやんさんが特殊な方法で個体を巣穴から出そうと試みるが、主は出て来なかった...。うしやんさん曰く「別の場所に良い巣穴がある。」と言うので、そこに期待してみたい。
タランチュラの巣穴を見た事で、もう少し周辺を探索してみようと歩を進める。するとタイ王国ではよく目にするゴムの樹の林(畑)があった。天然ゴム生産量で見るとタイ王国は世界一らしい。ところでこのゴムの樹液の採取方法は、雨が降った場合、混じり気などの問題は無いのだろうか?
歩を進めながら目に入る虫などを撮影していく。2015年に購入したデジカメ「TG−4」であるが、過去の採集記でもボヤいている様に、なかなか上手く扱えてなかったのだが、昨年から採集に出掛けられない時間を利用して自分なりに勉強を重ねた。うしやんさんが「TG−5」を持ってる事も手伝って、2015年から昨年までの印象と変わって、かなり面白いコンデジだと感じる様になってきた。
地面になにやら蠢く物体がいるので確認してみると、大きなタマヤスデであった。手にとってみると綺麗に丸まって、大きさ的にも“天津甘栗”の様な印象を受ける。なかなかカワイイ個体であった。
少し移動し、先程の“良い巣穴”に到着する。うしやんさんの指差す方を窺ってみると、確かに巣穴は存在し、その中に大きなクモの姿が確認できる。
うしやんさんが先程同様に“特殊な方法”で個体を巣穴から出してみる。当然“毒グモ”なので取り扱いには注意が必要であるが、それにしても初めて目の当たりにする天然のタランチュラ、クレジットカードと比較して見て、その大きさがお分かりになればと思う。
このタランチュラ「コバルトブルータランチュラ」との名前で、タイ王国とミャンマーに生息しているらしい。天然のタランチュラの生態を見る事ができ、とても良い経験が出来た。
その後も周辺をチェックしていくと、サシガメらしき虫が居たのでデジカメの調整兼ねて写真を撮ってみる。・・・やはり昨年までの印象と違い、大分勝手が分ってきた感がある。
場所を移動する。この場所に来るのは2013年以来となる6年振りであるが、相変わらずの悪路である。前回も同じ表現をしてると思うが、この悪路を走行中に喋ろうものなら舌を噛んでしまいそうなほどである。
久々にタクヤックゥの林道に到着。2009年12月に訪れた際はタクヤックゥの樹液に多くのヒメカブトが確認できたが、今回は何が確認できるのだろうか?先程の「ご神木」こと、オオシマコバンノキが想定外だったので、このポイントの期待度は大きい。
数本あるタクヤックゥの樹をチェックしていくと、ウエスターマンヒラタ♂の姿が確認できた。過去のタイ王国探索で洞に潜むウエスターマンヒラタも確認しているが、今回は午前中に確認したヒラタもそうであったが、このウエスターマンヒラタは直射日光が当たる様な場所でも活発に活動している事が窺える。
その他のクワガタが確認できないか他のタクヤックゥもチェックしてみたが、それ以上の確認には至らなかった...。ふと近くの樹を見てみると見知らぬクモが巣を張っていた。よく見ると背中に小さな赤いクモが乗っている。ペアなのだろうか?
・・・気付けば午前中から昼食も取らずに探索をしており、まもなく夕刻といった流れだったので、一度宿に戻り休憩を挟む事にした。道中、バイクが走っているのだが“ノーヘル”である。もちろん日本同様ヘルメット着用が義務付けられているのだが、過去14回のタイ王国でヘルメットを着用しているライダーを殆ど見た事がない...。
・・・とりあえず部屋に戻ったので、夕食まで仮眠をとる事にした。
目が覚め夕食時だったので食堂に向かう。今晩のメニューは「パッタイ」を選択する。パッタイといえばタイ料理を代表するもので日本でも“タイ風焼きそば”という名で知られている。食材としては“米麺、玉子、タマリンド、エビ、エシャロット、ニラ、もやし、ライム、ピーナッツ”といった所だろうか。お味の方は「まろやかな甘酸っぱさがたまらない...」とか表現されるが「美味い!」の一言に尽きる。タイ料理屋で迷ったらパッタイを選択してハズレは無い。
追加で久々の「トート・マン・クン」をオーダーする。エビのすり身を揚げた日本の「海老しんじょう」と全く同じものである。ただ、タイ王国は独特の甘いタレをつけて食べるのだが、これがまた美味い。
デザートにマンゴスチンとランブータンが運ばれてきた。個人的にマンゴスチンが気に入ってる。今はシーズン的にこの手の果物のピークであり多くの場所で手に入る。マンゴスチンなど日本で買うと高価な果物であるが、このタイ王国では安価で購入できるのが嬉しい。
・・・食後、日も暮れてきたのでライトトラップのポイントへ移動する。
ポイント到着後、ライトトラップの準備を進める。・・・と言っても、HIDハンディライトなので三脚に取り付けて5分程度で終了。とても便利な灯火セットである。
すぐに照射を開始する。この異国でのライトトラップというのは“何が飛来するか分らない”独特のワクワク感がたまらなく楽しい。果たして今宵は何が飛来するのだろうか?
照射開始してすぐに羽虫が飛来する。日本の羽虫と違ってかなり大きい。過去にもこの場所でライトトラップを行ってきたが、見たことのない大きな羽虫である。シロアリだろうか?
大きな羽虫に混ざって丸っこい虫が居るので確認してみると、コオイムシであった。個人的にタイ王国でコオイムシが確認できて嬉しい。欲を言えばメンダー(タイ王国でのタガメの呼び名)の飛来も期待したい。
羽虫の飛来が落ち着いた頃に大きな甲虫が飛来したので確認してみると、タイ王国のサイカブト♀であった。日本のタイワンカブトと比べると角が随分と太い様に感じる。
ふと近くにある水場に目をやるとカエルが産卵していた。アオガエル系だろうか?
カチっと落下音がしたので確認してみると、黒いカミキリの姿があった。私はカミキリに詳しくないので、判る方が居たら教えて頂きたい。
時間帯としてもそろそろ終盤というタイミングでウエスターマンヒラタ♀の飛来があった。本日の探索で♂ばかり見てきたので、この♀の存在は嬉しかった。・・・しかし本命は、時期的に発生しているはずのゲストロイテナガコガネの飛来を期待したい。
・・・しかし、ゲストロイテナガコガネが飛来しない中、時間帯としても遅くなってきたのでライトトラップを終了しようと片付けを始めた時、何やら小さな甲虫が飛び回っている。落下した個体を確認してみると、どうやらノコギリクワガタの様に窺える。時期としては過去の経験上、ジェンキンスノコとしては少々遅いと思われ(容姿も異なる)、ギラファノコにしては2ヶ月ほど早いと考えられる。10数年タイ王国在住のうしやんさんも「この時期だとジェンキンスノコか、ブッダノコか、オーエンノコしか思い付かないが、そのどれとも違うと思う。」と言い、外国産に詳しいkapiさんも「いま挙がったノコではないと思う。」と言う...。このノコギリクワガタは一体何者なのだろうか?今回に限り、この個体をキープして詳しく調べてみる事にした。
・・・本日のライトトラップはこれにて終了として後片付けを行う。
ライトトラップのポイントから宿に戻る途中、黒い影が佇んでいる。確認してみると大きなサソリが佇んでいた。チャグロサソリだった。当然、毒があるのだが、今回は地面に這いつくばってサソリ目線で撮影を試みようとしたら、サソリの毒針の射程範囲内に入っていた。昼間のコバルトブルータランチュラでもそうだったが、相手が毒を持つ生き物である以上、最低限の身の安全を確保しなければならない。
自分の部屋に戻る。ドアの屋根に今まで見てきた中でも過去最大級のトッケイが佇んでいた。おそらく30センチはあろうと思われる。良い個体だと写真に収めようとしたのだが、こちらの気配に感づいて逃げ出してしまった。その巨体から考えられないほど、トッケイの本気(マジ)走りは早い。
・・・本日は午前中からタクヤックゥに付くウエスターマンヒラタの姿や巣穴に居るコバルトブルータランチュラを確認し、ライトトラップでも名前の判らないノコギリクワガタが飛来するという、とても有意義なタイ王国遠征2日目となった。本日は午前中から夜までフルで探索を行ったが、今の自分でも何とか乗り切る事ができた。 今晩はシャワーを浴びたらグッスリと眠る事ができると思う... zzz 成績:不明ノコギリ♂×1 チェリフェルネブト♂×1 ヒラタ♂×4 ♀×1 サイカブト♀×1 (不明ノコギリ♂のみ、後日詳細確認) |
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