2014.10.05(日)へっぽこ遠征inタイ王国(4日目)
最終日も朝食は豚粥である。因みに洋食スタイルもオーダーできるのだが、結局いつも豚粥を選択している。鶏粥もあるのだが、やはり豚粥なのである。
宿のチェックアウトを行い出発。すぐに大きな山が見えるので、kapiさんに昨晩ライトトラップを行った山だと説明していると、うしやんさんが「山を背景に記念撮影をしよう!」と3人で記念撮影を行った。改めて振り返ってみると、過去10数年の採集記の中で、自分の姿が入った写真というのはあまり撮った記憶がないので、これはすごく良い記念になったと思う。
まずは目的地に向かう前にガスステーションにて燃料補給を行う。何度もタイ王国に来ている中で、日本の様にセルフのスタンドは見たことがないので、タイ王国にはセルフ式はないのかも知れない。私服の店員が携帯電話で話しながら給油してくれた...。
給油後はそのまま目的地に向かっても良かったのだが、私の中で気になっていたモノがあったので、朝市に寄ってもらう事にした。タイ王国では全国どこでも朝市をやってる様で、食材から雑貨品まで生活必需品が揃っている。近年ではセーウェン(セブンイレブン)の様なコンビニスタイルも普及しつつあるのだろうが、地方では朝市や夜市で生活必需品を購入してるのだろう。
車を降りてすぐに“匂い”で気になるものがあると確信する。食べたかっただけに私の食欲センサーが最大限に威力を発揮している。
答えは「ムーピン」である。“ムー(豚)・ピン(炭焼き)”は日本の“やきとん”という感じの大衆料理である。味付けも日本人好みの醤油ベースで、誰の口にも合う料理だと思う。大体は炊いたもち米と合わせて食べるのが主流で、これが最高に美味しい。日本だと酒のつまみに合うので夕方以降のイメージがあるが、タイ王国では基本朝市の定番である。
うしやんさん、kapiさんのムーピンも私が平らげる...。毎回絶対に食べたい料理にムーピンが入ったことを確信した瞬間であった。最高の気分で目的地へと向かう。
定点カメラの位置までやってきた。今のところ雲の流れが遅いようで、雨の降りそうな気配は感じられない。
「ご神木」に到着。この2日間を見た限りでは、本日も期待出来そうである!ワクワクしてしまい、子供の頃に戻ったかの様に急いで確認しに行きたくなってしまう。
「ご神木」に近付くと、すぐに根元から樹を登っていくオニツヤ♂の姿が目に入った。ちょうどねぐらから這い出て樹液場に向かう途中の様子であった。
樹の裏側を見ると、すでに樹液場には別のオニツヤ♂が陣取っている。タイ王国ではあまりスズメバチを見掛ける事はなかったのだが、今回の遠征では数頭のスズメバチの姿を確認した。時期的なものだろうか。因みに日本の樹液に集まるオオスズメバチより小型で色彩も異なる。
そして本日もギラファノコ♂♀の姿も確認できた。日本のノコより遥かに大きいシルエットは圧倒的な存在感を示している。
遠征2日目と3日目に確認した個体を一時的に確保しているので、今目の前にてメイトガードしている個体はまた新規の個体が集まっている事になる。ギラファ♂の大顎はオニツヤとのバトルでやられたのか?片方が欠けている。標本をする方には“完品ではない”の一言で終わってしまうかも知れないが、この姿は大自然の中で精一杯生きている証であり、このリアル感は現場で観なければ実感できないかも知れない。良い個体に出会えたと思う。
樹液という樹液にはギラファとオニツヤが陣取り、洞や樹皮めくれには所狭しとウエスターマンヒラタが潜んでいる。この「ご神木」には過去10数回足を運んでいるが、これほどの個体数を確認できたのは初めてである。
ギラファ、オニツヤ、ウエスターマンヒラタと確認できたので、モウホツヤも確認しておきたいと思っていたところ、うしやんさんが気になるシルエットを長網のロッドで落としてみる。・・・するとモウホツヤ♂が落下してきた。この場所は短歯型が多い中で、この個体は中歯型であった。相変わらず触覚の動きが特徴的で、細かく前後に動いている。日本では観掛けない動きに感じるのだが、この「ご神木」ではギラファなども同様に触覚の動きが細かく前後に動いている。種を問わない気がするのだが、理由があるのだろうか?奄美大島のクワガタが種を問わず上翅に縦じまが入っているのと同じ様に地域的なムーブなのだろうか?
・・・あまりにも多い個体数に数年分の運を一気に使い果たした感がある。それほど爆発力を感じる。時間はまだ余裕あるのだが、充分すぎるほど堪能することが出来たので「ご神木」での探索を終了とする事にした。 本日確認した個体と遠征2日目、3日目と確保していた個体をリリースしていく。手にとって確認した個体だけでも70頭以上を超えている、おそらく触ることなくルッキングのみの個体を入れれば、今回の遠征で100頭前後のクワガタを確認できたことになる。そのほとんどがこの「ご神木」に居たのだから、もの凄いカリスマ性を誇っている。文字通り“ご神木”であり、本当にありがたい存在である。
・・・個体のリリースを終え、「ご神木」に感謝しつつ後にした。
タイ王国東部からバンコク都に向かう。ここから数時間、車の旅となるのだが、うしやんさん、kapiさんと3人での会話は時間を忘れさせてくれる。今回はkapiさんが加わってくれた事で今まで以上に楽しい時間となった。
途中、昼食タイムとしてフードコートに寄る。初めて訪れる場所では、どんな料理があるのか楽しみなのである。
いくつか店舗が立ち並ぶのでチェックしていくと、ひときわ存在感のある豚肉が目に入った。トロトロに煮込まれた豚足であった。こういう場所での豚足といえば“アレ”しかない。
アレをオーダーすると、店員は包丁で豚足を切り刻んでいく。今回の遠征ではまだ食べてなかったので、待ちきれない...。
刻んだ豚足をご飯に乗せて、専用のタレを盛ったら「カーオ・カー・ムー」の完成である。豚足の出来がよく、今までの中でも上位に入るカーオ・カー・ムーであった。トロトロに煮込まれた豚足が最高に美味い。隣で見ていたkapiさんは最初は豚足が苦手なのか、オーダーを渋っていたが、運ばれてきたカーオ・カー・ムーを見て、すぐにオーダーしに行った。
満腹となりバンコク都へと車を走らせる。以前にも説明したかも知れないが、バンコクは首都府なので、バンコク市ではなく、バンコク都という表記になる。
バンコク都に向かう途中、まだ少し時間に余裕があるので、テングビワハゴロモのいる場所に寄ってみる事にした。目的地となる山は、山全体が寺院のため至る場所に仏像が存在している。
・・・時間をかけてテングビワハゴロモを探してみたのだが、どういう訳か今回は個体を確認することは出来なかった。またの機会に期待したいと思う。
・・・楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまう。 まだまだ行きたい場所はたくさんあったのだが、今回はこれでタイムアップとなってしまった。名残惜しいがスワンナプーム国際空港に向かう...。
・・・うしやんさんとお別れの時がやってきてしまった。 国内では年々、離島などで採集規制が厳しくなる中、海外に信頼できる友人がいて、毎年遠征できる喜びは大きい。特に今回の遠征は、私の個人的な病と言う理由もあってクリアしないといけない壁もあったのだが、kapiさん、うしやんさんという国内外の友人2人の支えが大きかった。・・・第12回タイ王国遠征、今回は遠征が実現した時点ですでに成功と言えただろう。いつもの様に出国ゲートまで見送ってくださるうしやんさんには本当に感謝の限りである。kapiさんと共にうしやんさんに感謝を申し上げ、再会を誓う。毎回思うのだが、私の様なハンパ者が海外という大海原に12回も遠征できたのだから人生の奇跡としか思えない。人生、年輪を重ねるほど人との付き合いが難しく感じるこの頃であるが、自分に自信を得るも失うも自分の行動次第であり、目の前のものに一歩足を前に踏み出せるか否かだとも感じる。またそれを支えてくれる家族、友人にも感謝しなければならない。・・・私はつくづく幸せ者だと思う。
・・・やっぱりタイ王国、最高!! 成績:ギラファノコ♂×2 ♀×2 モウホツヤ♂×1 オニツヤ♂×8 ♀×5 ヒラタ♂×2 ♀×1 (魔琴:持ち帰りなし)
タイ王国を発って数時間。日本時間の早朝、機内アナウンスに気付く...。どうやら日本の関東付近では台風18号が猛威を振るっているらしく、羽田空港に到着する時間帯に直撃するらしい...。着陸するか否かは直前に判断すると機長からアナウンスがあった。
これで着陸不可能であればダークゾーン確定であったが、結構激しい揺れはあったものの無事に羽田空港に着陸する事が出来た。どうやら国内線は午前中の便がほとんど欠航になっているらしい。すでに羽田空港は暴風域に入ってるかの様に雨風ともに激しいのだが、よくこの状態で着陸できたと感心してしまった。機長に感謝!
・・・入国審査を受け自宅まで車で送ってくれたkapiさんに感謝を申し上げお別れする。家のテレビを点けると台風情報ばかりである。 ・・・よく帰国できたと思う。 ・・・今年は色々な事がありすぎた1年であったが、諦めなければ“まだまだ前進できる”喜びを感じる事が出来た。 ・・・“へっぽこ”の挑戦は終わらない。 |