2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタとアマミシカクワガタとアマミミヤマクワガタは採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。 |
2013.09.07(土)へっぽこ遠征in奄美群島(2日目)
朝食をコンビニで済ませ、まずはフルーツトラップの状態を確認しに行く。
目的地に到着後、早速トラップを確認してみる。・・・しかし、付いているのはゾウムシくらいで、クワガタの姿は確認できなかった。
フルーツトラップが不発なので、とりあえずライトトラップのポイントを探しながら、島の中を走り回る。
時計を見るといつしか昼時を過ぎている。通り沿いにて販売している、たこ焼き屋へ立ち寄ってみる。過去を振り返ってみても対馬など、離島では結構たこ焼き屋を見掛ける。それだけ蛸が獲れるのだろう。
昼食後、あてもなく河原にやってきた。・・・ギンヤンマが飛んでいる。ギンヤンマを見ると何か忘れていたものを思い出す...。kapiさんの長網を借りて採集を試みたが、スイングをミスり、ギンヤンマは遥か彼方へと飛び去ってしまった...。
その後もライトトラップポイントを探しながら、アマミミヤマやアマミマルバネの可能性のありそうな場所をチェックしていく。・・・しかし良さそうなポイントというのは、そう簡単には見つける事が出来ない。自分なりのポリシーでもあるのだが、事前に“ここで採れる!”的な情報は、まず集めてこない。「ゼロからやって駄目なら仕方ない...。」という流れは、サイト公開当初からの意識であり、そしてこれからも続けて行きたい。
・・・夕方前まで探索を続けたが、これといった成果もなく、一度宿に戻り仕切り直すことにした。
宿で一息ついたあと、コンビニで夕食のスパムおにぎりを購入し、再び山へと向かう。
しかし・・・
・・・林道に佇んでいると、1台のレンタカーが近付いてきた。他の採集者かと思っていたら、なんと虫けら屋さんだった。 今さっき起こった車の話を伝えたところ、虫けら屋さんは無言であったのが心配ではあるものの...、虫けら屋さんと少しご一緒する流れになった。虫けら屋さんと言えば、最近はブログでも大活躍されている、凄い方なのである。・・・虫屋の知人が多くない私だが、虫けら屋さんだけは特別な存在なのである。私が初めて離島(奄美大島)に訪れた際、たまたま山で遭遇したのが最初の出会いで、それ以降も石垣島などで偶然遭遇することがあった。 ・・・その後お互い東京都内に住んでいた事もあり、いつだったかシーズンオフに都内のファミレスで話が盛り上がっていたら、店が混んでいた事も手伝ってか、店員に追い出されたこともあった(2時間くらいだったのに...)。 自分にとって虫けら屋さんの存在は、大きなモチベーションと言える。
虫けら屋さん、kapiさんと共に森の中へと入っていく。当然ハブへの恐怖心はある。でもそれで良いと思っている。なんにしても「臆病なくらいでちょうど良い。」というスタンスでやってるが、無理をする時の方が失敗は多いので、石橋は叩いて渡った方が良いと思う。手に持つLEDライトのスイッチをオフにしてみると、まったく何も見えない漆黒の闇の中なのである...。常に方位磁石で位置を確認しながら森の中へと進んでいく。
・・・そして、森に入り15分もしない内に虫けら屋さんが「いたっ!」と叫ぶ。 そちらを確認してみると、何とアマミマルバネ♂が佇んでいた。間違いなくアマミマルバネであるが、いとも簡単に確認できてしまったので驚く...。アマミマルバネと言えば、ハブの住む森に入る事や個体数もそれほど多い訳ではないので、そうそう簡単に見付けられるクワガタではないと認識している。・・・それが今晩はいきなり確認できてしまった。 ・・・久々のアマミマルバネなので、いつも以上に撮影枚数が増えてしまった。それほど、この確認は嬉しい!
そして周辺のシイの巨木を探すこと数分。・・・今度はアマミマルバネ♀を確認することができた。状況から見て、シイの根元から出てきた印象を受けたので、別の個体も居るのではないかと周辺をチェックしてみる。
すると、同じシイの根元に別のアマミマルバネ♀を確認することができた。この個体もまさに“土中から出てきました”的な個体であった。・・・それにしても、こうも簡単にアマミマルバネが確認できるとは、今年の発生は多いのだろう。
それにしても虫けら屋さん、最近は今まで以上に大活躍であり会話も楽しい。フィールドで出会う虫屋の中には、お金の話や自慢話しかしない人も居るので、虫けら屋さん、kapiさんと3人での空間は特別なものだと感じる。
そして別のシイの巨木にてアマミマルバネ♀を確認。今晩だけで4頭ものアマミマルバネを1時間弱の間で確認できたことになる。“採集禁止”が噂される中、良い画像を得る事ができた。今回も私は写真だけで充分満足なのである。
ジャングル内で1時間ほど経過したところで、私もkapiさんも充分アマミマルバネを堪能できたこともあって、ここで虫けら屋さんとお別れすることにした。虫けら屋さんは更に奥へと進まれるとのことで、我々は車の置いてある林道に戻ることにした。 ・・・偶然と奇跡が無ければ、2004年この奄美大島で虫けら屋さんとの出会いは無かった訳で、それを継続することで今回に繋がったのかも知れない。改めて虫けら屋さんに感謝申し上げたい。
方位磁石を確認しながら、林道を目指す。途中スジブトヒラタ♂を確認する。小さな個体であったが樹に付く姿は、フルーツトラップで確認する時とは、また違った印象を受ける。
・・・林道に戻り、車に乗る。このままアマミミヤマを確認しに行くことにした。
目的地に到着する。時間帯が遅い事もあってか、他の採集者の姿は少ない。今回も車を降りて徒歩での確認にした。
今回はkapiさんと共に新たな装備として“かなり明るい懐中電灯”を用意したので、電柱の遥か高い場所であっても容易にクワガタの影を確認することができる。
確認できた影を捕獲してみると、やはりアマミミヤマ♂であった。昨晩から続けて個体を確認することができて嬉しい。
続けて電柱上部に赤い影を確認。かなり上部で長網が届かない場所であったが、運よく個体が下りて来た所を捕獲できた。
本日2頭目のアマミミヤマ♂であった。噂ではアマミミヤマも採集規制の対象になっている話も出ているのだが、実際の所どうなのであろうか?もし採集禁止になってしまうのであれば、この時期を楽しみに奄美大島へやってくる魅力が全く無くなってしまう気がする...。“電柱で採集するミヤマクワガタ”、改めて魅力ある存在なのである。
・・・とりあえずアマミミヤマを2頭確認できたので、今晩の探索を終了することにした。
・・・林道の車に戻り、帰り支度をしていると、緑の回転灯を点灯させた車が近付いてきた。その車は私達の車の前で停車し、中から作業服を着た数名の方が降りてきた。奄美大島の職員だと言う。 職員:「マルバネですか?」 魔琴:「アマミミヤマの写真を撮ってました。」 職員:「10月からマルバネが採集禁止になりますのでご注意ください。」 魔琴:「アマミミヤマもですか?」 職員:「はい、それ以外にも対象になるクワガタがいます。」 魔琴:「採集禁止後は写真は大丈夫でしょうか?」 職員:「ええ、写真なら良いですけど、、、」 魔琴:「はい、分かりました。ご苦労様です。」 ・・・こんなやり取りであった。その後、パトロール車は他の林道をチェックしに離れていったが、時計を見ると既に日付をまたいでいる時間帯であった。どうやら10月から警備にも力を入れる雰囲気が窺えた。 状況から見て私の探索スタンスであれば問題は無いのだろうが、疑っている相手に私の“それ”が通用するのであろうか?・・・おそらく採集ポイントで夜中ウロウロしていたら、信用して貰えないであろう。手荷物や車の中を確認してもらうのも手かもしれないが、そこまでして疑いの目を晴らすのも、こちら側の気分もよくない...。 私もkapiさんもリアルな現状を目の当たりにして、ただ宿に向かうしか無かった...。
最後にコンビニに立ち寄る。・・・昨日とは全く異なる心境であり、無念さが込み上げてくる。“へっぽこ”と称し素人なりにサイトを運営してきたが、やはり専門家や論文を発表できないド素人では、何も伝えることは出来ないのだろうか?自分の様な“キャッチ&リリース”的な存在は、虫屋と呼ばれる世界では、大海原の中での一滴の雫にすらならない存在なのかも知れないが、それでもサイトを公開して“へっぽこなりに伝えられる事があれば”という想いもあった...。
・・・宿の戻り、テレビを点けると2020年のオリンピック招致の発表間際を放送している。 ・・・奄美の夜が終わった。 成績:アマミミヤマ♂×1 アマミマルバネ♂×1 ♀×3 スジブトヒラタ♂×1 (魔琴:持ち帰りなし) |
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