2011.07.28(木) 東北地方 7:00PM 大雨のち曇り 23℃ 天気予報はかなり悪かったのだが、7月中もう一度、東北にてライトトラップを楽しみたかったので時間を作り、再び東北を目指した。 ・・・しかし東北地方に入った辺りから雨足は最悪になり、土砂降り状態になってしまった。このまま車を走らせるか引き返すか迷ったが、もう少し様子を見てみようと進むことにした。
・・・とりあえず目的地周辺まで来ると、運良く雨は上がっていた。しかし雨上がりの後は霧が発生するので、ライトトラップとしては少々不安も残るが、とりあえずチャレンジだけしてみる事にした。
夜の帳が下りるのを待って点灯を開始する。月齢も湿度も程よいので、あとは霧が邪魔しなければ可能性はあると思う。
多くの羽虫が飛来する中、本日最初の甲虫が飛来した。気が付くと複数のヘイケボタルも飛翔している。
山に霧が掛かり始め、照射力が落ちていたので少々心配であったが、とりあえずアカアシ♂が飛来してくれた。アカアシは久々の確認であるが、大型個体は独特の迫力がある。
続いてミヤマ♀も飛来。フィールドに出向いた以上、1頭でもミヤマが確認できれば、とりあえず一安心である。
少しするとミヤマ♀とノコ♀が同所に飛来した。ミヤマ♀はシルエットですぐに判別できるが、ノコ♀は一瞬別の種を期待してしまう...。
・・・と、少し離れた場所に、かつてないほどの“存在感を放つシルエット”が目に入った。 オオクワ♂であった。しかもデカイ!単独でフィールド探索に出て初めて♂のオオクワを目の当たりにしたのだが、まさかその個体が大歯型だとは夢にも思わなかった。幼少時代、近所のクヌギやヤナギでコクワとノコばかり確認する時代から始まり、20代後半に「ミヤマの呪縛」と看板を掲げミヤマを追い求めたあの時代(サイト初期)を経て、まさか自分のサイトでオオクワ♂大歯型が登場する日が来るとは来るとは・・・、実に感慨深い。
何枚も画像を得る。最近は各所で大型のヒラタを確認しているが、やはりオオクワの圧倒的な存在感に“王者の貫禄”を感じる。
その後も定期的に飛来は続く。♀個体が飛来すると大物を期待してしまうのだが、そう簡単には事が進まないことも充分理解している。
ドルクス♂の飛来があったが、大きさでコクワかアカアシだと感じていたが、確認してみるとアカアシだった。こういう場合、やはりコクワよりアカアシの方が嬉しい。
・・・と、ボンヤリしていると、何かが飛来した。オオクワ♀であった。先ほどの大歯型♂も信じられなかったが、まさかオオクワが2頭も確認できるとは...。サイトを長い間やっていると不思議なこともあるものだと感じる。一応、昨年以上に月齢や探索する曜日なども気にしながら、以前より確率は上がる様に意識はしているのだが、今回はそれが功を奏している様である。
先ほど飛来したオオクワ♀を一時的にケースに入れ、再びライト周辺を確認してみると、別の♀が飛来していたのでノコだと思い込んでいたが、近付き確認してみると、何とオオクワ♀であった。ちょっとこの状況が信じられなかったので、先ほどのオオクワ♀の入ったケースを確認してみると、間違いなくケースに入っているので、今目の前に飛来したオオクワ♀は本日3頭目のオオクワという事になってしまった...。
突然、大型モビルアーマーの様な個体が落下してきたので、驚いて確認してみるとカブトムシ♀であった。頭の中ではこの周辺にカブトムシ居ると意識してなったので少々驚いた。
再びライト周辺に黒い物体が飛来する。遠目に見ても“それ”だと理解できた。画像を得るために近付いてみると、やはりオオクワ♀であった。まさかのオオクワ♀3頭目であり、ここまで計4頭のオオクワが飛来しているのである。「へっぽこ採集記」では奇跡の様な状況であり、慣れてないせいか戸惑いの様なものも感じる。
少し離れた場所が喧しくなった。どうやらヒグラシ♂が飛来した様である。考えてみるとライトトラップではセミの飛来も多く感じる。国内ではニイニイゼミもよく飛来するし、海外のタイ王国ではクマゼミ始め多くの種がライトに向かって飛んでくる。クワガタに限らず、採集しにくい虫の確認にもライトトラップは有効なのだと感じる。
再び甲虫が飛来した。これはミヤマ♀であった。オオクワという血圧が高い状態が続いていたのだが、このミヤマ飛来は逆に落ち着くことの出来た、癒しの一瞬でもあった。
少し離れた場所に何かが落下した音が聞こえたので確認してみると、大きなヘビトンボがもがいていた。「落下音の正体は、ヘビトンボか...。」と、その場を後にしようとしたのだが、どうも落下音が甲虫の様な気がしていたのでもう少し探してみると、草陰に小さな♀が佇んでいた。しかも点刻が確認できる。オオクワ♀であった。信じられないが本日5頭目のオオクワ確認となった。
HIDライトのバッテリーはまだ残っていたのだが、今回の内容としては充分すぎる結果であり、自分の中でこれ以上続ける理由もなくなってしまったので、ここでライトトラップを終了することにした。あまりにも上出来すぎて、変な汗を掻いてしまった...。 ・・・HIDライトの機材を片付け、一息つく。 一時的にキープしていたオオクワであるが、画像を得た後、今回も全てをリリースする。単独で探索に出向いた時は「基本的にオオクワもリリースしたい。」と思っている。この採集記を見た方は“おかしな採集者”だと思われるかも知れないが、前回同様、与那国島にてヨナグニマルバネを確認後リリースして以来「オオクワでもそうありたい。」と感じている。1日でオオクワ5頭の確認という、ライトトラップながら“へっぽこ”としては、一生分の運を使い果たしてしまった感がある。・・・おそらく今日の様なことは、もうないだろう。
・・・本日、飛来してくれた全てのクワガタに感謝しつつ、リリースを行った。
帰路に付く途中、気になる外灯を確認してみる。いくつか黒い物体が確認できたが、本日確認できてないミヤマ♂を確認したかったので、それらしいシルエットを意識していく。
暫く走っていくと、ある外灯の下でミヤマ♂の姿を確認することが出来た。本日は5頭のオオクワと出会ったが、個人的にはやはりミヤマ♂の姿も大事なのである。今日の探索はこれにて落ち着くことができた。ひっくり返っていた個体は、そっと草むらに戻し帰路についた。
ライトトラップ。これが自分にとってオオクワ探索の終着点で無いことは解っている。それでも自分の中でひとつハードルを越えることが出来たと思う。私も長い間サイトを運営しているので様々な意見も耳にしている。オオクワ採集というのは、クワガタ探索の中でも多くの柵を感じる常にデリケートな位置に存在すると感じている。今思えばその様な事情も自分が離島探索というスタンスに向いていった1つの理由でもあったが、今後も自分自身が継続を楽しんでいく環境を大事にしながら、マイペースに続けて行きたい。 「へっぽこ採集記」は私にとって“思い出記録帳”であり、閲覧してくださる皆さんの顔を想像しながら、感謝の気持ちと共に活動を継続してきた。 ・・・サイトを運営して10年。その軌跡を自分自身が改めて“奇跡”だと振り返りながら、今日はその余韻を楽しみたい。 成績:オオクワ♂×1 ♀×4 ミヤマ♂×1 ♀×7 ノコ♀×3 アカアシ♂×2 ♀×1 コクワ♂×1 カブトムシ♀×2 (確認後、全てリリース) |