2011.03.05(土)へっぽこ遠征inタイ王国(3日目)
海外・タイ王国 9:00AM 晴れ 35℃(猛暑) 同行者:うしやんさん、軍曹さん(皆さんタイ王国在住)

タイ王国遠征、3日目の朝。

窓の外は南国らしい最高の朝を迎えている。すぐにでもフィールドに飛び出したいところだが、最近体調が思わしくなく、どうも疲れが抜けない...。この数年の離島遠征など含め、遠征前後の仕事の振り分けも難しくなりつつある中で、自分自身の体調管理にも問題がある様で、この問題は今後の課題にしていかなければならない。せっかくの離島や海外遠征も来るだけで疲れてしまう様ではもったいない...。

南国の朝
南国の朝



まずは朝食を取ろうと宿の食堂へ向かう。すでにうしやんさんは朝食を食べ終えており、今日も絶好調の様である。やはり自身の体のメンテナンスを心に誓う。朝食を取りながら本日の予定や今後のついて話をする。日本に住む自分にとって、タイ王国に住むうしやんさんとの話は常に魅力的なものであり、壮大な夢もあったりする。タイ王国へはクワガタ採集が一番の目的であるのだが、うしやんさんとの話を楽しみにタイ王国に来ていると言っても過言ではないほど楽しい。

やっぱり朝食は粥
やっぱり朝食は粥



・・・暫くうしやんさんと話し込んでいると、本日合流予定であった軍曹さんも到着された。久しぶりの再会であったが、すぐに楽しい会話になる。やはり海外で会う日本人というのは特別なものを感じる。


食後、自分は体力温存のため自室に戻ったのだが、うしやんさんと軍曹さんは昨日仕掛けた周辺のフルーツトラップを確認されに行かれた。少しして戻られた2人のケースを見て驚いた。なんとフルートトラップに綺麗なハナムグリが来ていたと言う。見た感じ日本では見掛けた事の無い種だと思う。

トラップにハナムグリ
トラップにハナムグリ



更にジャングル内で音がするので確認してみたら、メンガタカブト♂が徘徊していたと言う。前回12月にタイ王国・北部に遠征した際にライトトラップにかなりの個体数が集まったのが記憶に新しいところだが、このカンボジア国境付近でも個体は確認できる様である。

タイ王国・メンガタカブト♂
タイ王国・メンガタカブト♂



更に更にうしやんさんが巨大なカミキリを採集されていた。ホテルの敷地内で拾ったという。それにしても存在感ある風貌に圧倒される。

巨大カミキリ
巨大カミキリ



・・・ちょっとした朝の散策で、ここまで成果の出るタイ王国に素晴らしさを感じると共に、部屋で待機していた自身に憤りを感じた。




宿を出発後、探索に向かう前にセブンイレブンにて飲み物などを調達する。タイ王国は遠征する毎にセブンイレブンの店舗数が激増している。都市部から郊外のどこにでも見掛け、日本と同じ感覚で入れるので毎回重宝している。

まずはコンビニ
まずはコンビニ



目的地に向かってうしやんさんの車は快調に走り続ける。・・・暫くすると前方にタイ王国の警察車両を確認することが出来た。タイ王国の警察は、日本の警察と少々異なる雰囲気を感じる。検問で徴収した罰金をそのまま懐に入れてしまうなど日常茶飯事であり、ダークな印象を受ける。“金で解決”・・・分かりやすいのだが、これもまた海外ならではの感覚であろう。

海外です
海外です



宿から目的地に向かう途中、何度か食事をした事のある集落に到着した。この先は食事のできる場所も限られているので、ここで昼食を取る事にした。この店はカーオ・カー・ムー(豚足めし)が最高に美味しいのだが、今日は売り切れだというので、以前食べたことのある「ラートナー」をオーダーする。ビーフンとは米の麺なので、日本でいうところの“タイ風あんかけ中華”の様なイメージで、味もそのまま非常に美味である。

ラートナー(あんかけビーフン)
ラートナー(あんかけビーフン)



軍曹さんが追加オーダーをしたものが運ばれてきた。これは見たままタイ王国の焼きそばである。見た目も味も“安価なインスタント焼きそば”そのもので安定して美味しい。

タイ王国やきそば(日本と同じ)
タイ王国やきそば(日本と同じ)




昼食を取り腹一杯になったところで、午後の本格的な探索を開始する。何度か訪れている“地雷除去済みポイント”を通過する。この看板を見ると日本で無いことをより実感する。

いつもの場所へ
いつもの場所へ



樹液ポイントまでキツイ悪路が続く。何度も訪れているせいか、もう心の準備が出来る様になっているが、日本の離島でも味わえないほどスリリングな悪路が続く。いかにも海外のジャングルといった雰囲気が満点で楽しい。今回も「うしやん号」が大活躍である。

険しい山道
険しい山道



・・・何とか悪路を通過し目的地に到着する。タイ王国で樹液の出る樹として重宝するタクヤックゥの樹を確認すると、数箇所から樹液が出ている。さっそく確認していく。

タクヤックゥの樹液
タクヤックゥの樹液



すると樹液の出ている洞の中に大きなネブトが潜んでいるので、掻き出し棒にて確認してみるとチェリフェルネブト♂であった。日本のネブトよりかなり大型であり、40_ほどの個体も確認できるので洞に入っている個体を採り出すと、上翅や全体のシルエットから「一瞬オオクワ?」と錯覚するほど存在感あるネブトだと感じる。

タイ王国・チェリフェルネブト♂
タイ王国・チェリフェルネブト♂



さらに洞の奥にはチェリフェルネブト♀も確認できた。個体数としてはそれほど少ない訳ではないのだろうが、♂に比べて♀の方が確認する機会が少ない気がしている。

タイ王国・チェリフェルネブト♀
タイ王国・チェリフェルネブト♀



別のタクヤックゥを確認していくと、頭上50センチほどの樹皮めくれに大型個体が潜んでいることが窺える。この場所では過去に何度もヒラタを確認しているので、おそらくヒラタだと思われる。無理な確認は樹皮めくれを壊す可能性もあるので、この個体は諦め他のタクヤックゥを確認していく。

頭上の洞に潜む物体
頭上の洞に潜む物体



探索を続けていくと他のタクヤックゥにもいくつか洞が確認でき、そこには多くのヒラタが確認できた。♂♀共にいかにもヒラタらしいシルエットをしているが、日本のヒラタに比べると全体的に太く性格もより凶暴に感じる。

タイ王国・ヒラタ♀♂(Dorcus titanus westermanni)
タイ王国・ヒラタ♀♂
Dorcus titanus westermanni




それにしてもタイ王国は野良犬が多い。市街地から山中までどこでも数多く確認できる。観光案内などでは“狂犬病に気を付けて欲しい。”と促しているが、タイ王国の犬は全体的に弱気なのかあまり攻撃的ではないが、夜間などは凶暴性が増すともいわれているので、日本の様に気軽に近付かない方が良いと思われる。

野犬は多い...
野犬は多い...



さらに探索を続け、過去にモウホツヤやギラファノコを確認した樹に立ち寄ってみる。しかし、時期的にオフ状態で葉も全て落ちており、樹液も皆無であった。状況から見て7月くらいから11月くらいがベストの樹なのかも知れない。またその時期に訪れてみたい。

ギラファの樹はまだ早かった...
ギラファの樹はまだ早かった...



近くの樹を見るとアリが巣を作っていた。有名なハキリアリに似ているが、巣の習性が違う様である。このアリは非常に厄介で、日本のアリは体に上って来ても歩き回るのみで積極的に攻撃してこないが、このタイ王国のアリは全てのものに噛み付く習性があるのか、気が付かないうちに服に付くとすぐに噛み付いてくる。うしやんさん曰く「それだけ敵が多いのかも知れない...。」という言葉に、アリひとつ見ても日本ではない事を実感できる。

攻撃的なアリ
攻撃的なアリ




・・・探索を続けているうちに日が傾いてきたので、夜のライトトラップのポイントに向かう。もう何度も足を運んでいる山であるが、来る度に新しい発見があるので楽しい場所である。

ライトトラップポイントへ向かう
ライトトラップポイントへ向かう



場所は昨日と同じでも照射するポイントを変えてみる。山の向きを少し変えるだけでも飛来する内容が変わるので、昨晩とはまた違った甲虫の飛来が期待できるかも知れない。

あの方向へ照射予定
あの方向へ照射予定



ライトトラップの準備を進めていく。と、言ってもいつもながらものの10分もあれば準備万端整う。思えばうしやんさんは毎週の様に山に足を運び、素晴らしい成果を収めている。改めてタイ王国在住のうしやんさんとの出会いは自分にとって大きなものであり、人生を感じる瞬間である。

思い出の初号機
思い出の初号機



昨晩同様、今晩も非常に蒸し暑く、気温と湿度を確認してみると“気温28℃湿度88%”であった。少し動くだけで汗だくになってしまう。

今晩も非常に蒸し暑い
今晩も非常に蒸し暑い



ライトトラップを開始する。今晩も条件は良いので期待度も大きい。“タイ王国の山奥で日本人3人が挑戦する”という事だけでもロマンを感じる。

コロニーレーザー照射!
コロニーレーザー照射!


点灯後、しばらくすると大きな羽音と共に大型甲虫が飛来した。確認してみるとコーカサスオオカブト♀であった。昨晩同様アトラスオオカブト♀に酷似するが、上翅のザラザラ感によって判別できる。ある意味、小型の♂より♀の方が区別しやすいと感じる。

タイ王国・コーカサスオオカブト♀
タイ王国・コーカサスオオカブト♀



うしやんさんが何かを発見したので確認してみると、チビクワと思われる小型種が飛来していた。この場所でライトトラップを行うと、毎回新しいクワガタが確認できるので本当に楽しい。状況から推測すると、未だ見ぬクワガタも存在すると思われるので、定期的に調査する楽しみがあって病みつきになる。

タイ王国・チビクワの一種
タイ王国・チビクワの一種



再び大きな羽音と共にコーカサスオオカブト♀が飛来した。日本のカブト♀より数段大きく、歩行スピードも速いので迫力がある。

タイ王国・コーカサスオオカブト♀
タイ王国・コーカサスオオカブト♀



そして本日のメインのコーカサスオオカブト♂大型個体が飛来した。大きな迫力ある角が特徴的で、大型個体であればアトラスとの比較も容易であるため、確実にコーカサスオオカブトである事が判別できる。昨年7月に遠征した際もこの場所でアトラスオオカブト♂の大型個体を確認したのだが、それと比較にならないほど大型であり、それを現地で目の当たりにすることが出来て本当に幸せである。

タイ王国・コーカサスオオカブト♂
タイ王国・コーカサスオオカブト♂



それにしても今晩は蛾の飛来も多い。このタイ王国でライトトラップを行うと必ずといって見掛けるのは、緑で巨大なスズメガである。動かなければ気にならないが、これが一度暴れ始めると巨大である為に非常に鬱陶しい。日本のオオミズアオより巨大な蛾が高速スピードで飛来する迫力は一見の価値があるかも知れない。

良く見掛ける巨大スズメガ
良く見掛ける巨大スズメガ



そして今晩も夕暮れに盛んに鳴いていたクマゼミが大量に飛来する。日本では関西方面で午前中を中心に鳴いているイメージが強かったが、この個体は夕暮れに鳴く習性がある様である。見た目は日本のクマゼミと似ているが、翅に黒いラインが入っているのが特徴的であり、ライトに飛来するタイミングも一気に大量に飛来し、一定の時間を過ぎると全く飛来しなくなる。

今晩もクマゼミ大量飛来
今晩もクマゼミ大量飛来



コーカサスオオカブト♀が飛来した。軍手をした軍曹さんが拾い上げる。コーカサスオオカブトは♂♀共に付節で怪我をする恐れもあることから、個体を触る際は軍手などがあった方が安心かも知れない。

軍手をしないと引っかかれる
軍手をしないと引っかかれる


個体が飛来するまでの間は、うしやんさんと軍曹さんと共に夢を語りながら時を待つ。タイ王国に長年住んでいる方々だからこそのお話は非常に勉強になり、興味深いものばかりである。日本では気付けないことも海外から日本を見ることで気付けることも多くあり、クワガタ探索とは別にその様なお話を伺えることも自分にとって大きな財産になっている。本当に有意義であると感じる。

夢のひと時
夢のひと時



そして密かに待ち続けていたクワガタが飛来してくれた。ジェンキンスノコ♂である。昨年うしやんさんが同所のライトトラップにて確認した種であったが、その時は運悪く逃げられてしまったので、今回待望の個体同定となった。見た感じ30_ほどの小さな個体であるが、このタイ王国でまた新たなクワガタと出会えた喜びは大きい。気が付くと、すぐ近くにもう1頭ジェンキンスノコ♂が佇んでいた。飛来する時間など特徴があるのだろうか?今後も興味深く調査してみたい。

タイ王国・ジェンキンスノコギリクワガタ♂
タイ王国・ジェンキンスノコギリクワガタ♂



バッテリーの続く限りライトトラップを楽しむことが出来た。多くのコーカスオオカブトの飛来とジェンキンスノコの確認が嬉しかった。今回も2晩タイ王国でライトトラップを楽しめたことに感謝し、撤収作業に入る。

コーカサス大量!!
コーカサス大量!!




宿に戻ると壁に大きなトッケイが獲物を狙っていた。いつ見ても巨大すぎるヤモリに驚きを覚える。

宿の壁に巨大トッケイ
宿の壁に巨大トッケイ



今日はタイ王国を思い切り堪能する事ができた。探索も会話も食事も最高に楽しい!文字通り“アメージング・タイランド”な1日であった。


・・・明日はタイ王国遠征の最終日。明日も楽しんでいきたい。



成績ジェンキンスノコギリ♂×3 チェリフェルネブト♂×1 ♀×1 ヒラタ♂×4 ♀×1 チビクワ♂×1
コーカサスオオカブト♂×1 ♀×5 メンガタカブト♂×1
(魔琴:持ち帰りなし)

4日日へ

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