2010.11.06(土)へっぽこ遠征inタイ王国(3日目) 海外・タイ王国 7:30AM 晴れ 28℃ 同行者:うしやんさん(タイ王国在住) タイ王国遠征、3日目の朝。 うしやんさんと待ち合わせしている宿の食堂に向かう。すでにうしやんさんはコーヒーを飲んでいた。自分もコーヒーをオーダーする。朝のちょっとしたティータイムであったが、世間話からお互いの人生観を語るまで、朝一とは思えない有意義な時間を過ごす事が出来た。
ホテルを出発する。・・・実は、朝食はまだ食べてない。 その理由は、これからうしやんさんの奥さんの実家に向かい、朝食を戴くからである。奥さんの実家はタイ人のみなので、全く日本語は通用しないが、逆にそれが楽しみだったりする。普通では経験できないタイ王国の生活に触れることの出来る貴重な機会である。
うしやんさんの奥さんの実家に近づくにつれ、ある光景が気になる。どうやら今年の雨季は例年以上に雨量が多かった様で、その被害も確認できる。
奥さんの実家に到着する。挨拶のタイ語以外、全て日本語で話しかけてみる。当然お互い何を話しているのか理解できないのだが、意外と雰囲気などで伝わっている気もするので楽しい。奥さんのお父さんとお母さんも凄く良い人で、タイカレーを振舞って下さった。実はカレー好きの私だがタイカレーは苦手だったりする。・・・しかし、このタイカレーは激辛ながらもお替りするほど美味しく、タイ王国の家庭の味を堪能することが出来た。あまり失礼があってはいけないと写真は控えめに1枚しか撮らなかったが、ふと気が付くと「これって、世界ウルルン滞在記の世界だなぁ^^」と改めて貴重な経験をさせて頂いている事に感謝の気持ちになった。
朝食後、家の周りを散策してみる。家のすぐ裏には立派な寺院があるので、うしやんさんと覗いてみる事にした。
すると、いかにも“タイ王国の僧侶”という感じの寺院の方々が掃除をされている。うしやんさんは顔なじみの様で、寺院の方は「今朝は4匹いたぞ!」と言う様な言葉をかけてくる。何の事かうしやんさんに聞いてみると「今朝掃除していたらヒメカブト4頭居たぞ!」という内容なのである。・・・ある意味うしやんさんの行動範囲と活動内容の浸透を目の当たりにした瞬間でもあった。
それにしても長閑である。バンコク都と違って、かなり北部に位置する場所なので、時間そのものが日本でいう所の“島時間”の様な流れで、非常に穏やかな時を刻んでいる。
ふと寺院の門にある外灯下を見てみると、ヒメカブト♂の亡骸が確認できた。変な表現だが、このタイ王国にはクワガタ&カブトムシ探索に来ているにも拘らず、クワガタ採集という感覚より、「タイ王国の文化を感じたい。」という意識になりつつある。日本の離島でも似た意識を感じた事があったが、もはや結果云々ではなくこの場に居るだけで幸せなのである。
寺院を一回りして奥さんの実家に戻る。・・・途中、近所の家を見ると一様に高床式なのである。やはりこの周辺は雨季仕様になっている。
奥さんの実家に戻ると、庭になにやら佇んでいる。確認してみるとヒメカブト♀であった。周辺に樹液の出ている樹があると思い探してみたが確認できなかった。やはり外灯など確認した方が効率は良さそうである。この個体も昨晩辺り家の明かりに飛来したものであろう。
・・・そろそろ出発の時間が来た。 奥さんの実家のお父さんとお母さんにお礼を述べる。お互い日本語とタイ語での会話なので意味は解らないが、お互い気持ちは通じていると思う。本当に感謝である。数時間の滞在であったが、まさに「世界ウルルン滞在記」の世界で、熱いものが込み上げてきた。・・・お別れの挨拶をし出発する。
目的地に向かう途中、雰囲気のある用水路を見つけたので、水生昆虫を期待して網を入れてみる。
暫く網を入れ続けてみたが、確認できるのは小魚と貝のみであった。雰囲気的に水生昆虫が生息していてもおかしくない場所であったが、水生昆虫は皆無であった。先ほどの奥さんの実家でもお父さんが「この数年タガメは見てない。」と言っていたのを思い出す。時期的な問題なのか?それとも何らかの影響で水生昆虫が居なくなってしまったのかは分らない。
とりあえず本日の目標地点まで移動する。ここからかなりの距離を移動するので、コンビニにて身支度を整える。やはりタイ王国はセブンイレブンが多い。全く日本のコンビニと同じ感覚で入れるので重宝する。
飲み物の他にパンなどを買ってみる。いくつか食べてみたが、正直なところ、あまり美味しくなかった...。特に惣菜系の調理パンは味付けや素材の差を日本のそれと随分と感じてしまった。・・・因みに下画像の中では、メロンパンがイメージ通りで日本人の口に合う気がする。
うしやんさんの運転にて長距離を移動する。普段は自分で運転するので、この距離を運転されるうしやんさんのご苦労は容易に想像できる。本当に感謝である。
・・・暫く走ると、ある集落に到着した。うしやんさんの長距離移動の休憩と昼食を兼ねて車を降りる。
見渡しても野菜などの販売以外、食事の取れそうな場所は見当たらなかったが、とりあえずフライドチキンともち米を出している店があったので、購入し食べてみる。とりあえず腹は膨れたので、これで夜の探索も可能であろう。
昼食後、ライトトラップ設置場所を探す。初めての場所では、なかなか良い設置条件が整わず苦労する。これは日本でも同じ事が言えると思うが、設置場所を探す場合、事前に地図で目星を付けておく事や、現地では多くの場所を回ってみて判断するしかない。今回は開けた斜面を見つける事が出来たので、この場所でライトトラップを敢行する事にした。果たして甲虫の飛来はあるのだろうか?
・・・夜の帳が下り、ライトトラップを開始する。気温はタイ王国・北部の山間部という事もあり、薄着では少々肌寒い。
今までの経験上、点灯直後に大型甲虫の飛来は少ないので、うしやんさんと暫し談笑していると、いきなりバサっと大型甲虫が飛来した。これには私もうしやんさんも焦った。慌てて落下した個体を確認してみると、見たことも無い“サイカブトらしき”個体が佇んでいた。
・・・と、そのサイカブトらしき個体の飛来に舞い上がっていると、直後に別の個体が続けて飛来した。見た感じ、先ほどの個体が♂であれば、この個体は♀であろう。上翅の特徴や♂の角などを見た限りではサイカブトだと思われるが、♀にサイカブトらしき角が確認できず、雰囲気的には“クロマルコガネの超巨大版”といった印象である。
うしやんさんは「メンガタカブトではないだろうか?」と言う。♂の角は日本のヒサマツサイカブト並みに巨大であり、サイカブト特有の胸部の凹みには、非常に特徴的な角が確認できる。どちらにしても日本ではお目に掛かれないカブトムシであり興味深い。
採集記用に使用する画像を得ようとデジカメと動画用のハンディカメラをセッティングしていると、瞬く間にシーツ上はカブトだらけになってしまった。手に持っていたペットボトルを放り投げ、慌てて画像を得る。最初の1頭目が飛来して15分足らずで一気にラッシュ状態になってしまった。
画像を得ながらも、その特徴的なシルエットに興味を抱いてしまう。日本の離島などでサイカブト(タイワンカブト)を確認しても、それほど喜びは感じなくなってしまったが、目の前に居る個体はタイワンカブトとは全く異なるシルエットであり、改めて海外を感じる。
とりあえず確認した個体のカウントだけ行おうと、飛来した個体を一時的に確保する。まだ点灯開始して20分ほどでありながら、既にクライマックスを迎えてしまった様な状況である。
また個体が飛来したので確認してみると、今度はヒメカブト♀であった。なんだか凄く普通のカブトに見えてしまった...。
点灯を開始してから30分以上経つと、他の甲虫の姿も確認できる様になって来た。コガネ系や糞虫も集まってくる。
甲虫以外の虫も集まり始める。煩く鳴きながら暴れているのは、タイ王国では良く見掛けるセミであった。因みにこの個体も拾い上げて腹を見てみると、エメラルドグリーンであった。
メンガタカブトのラッシュは最初の20分程度でピタリと止まってしまい、その後は大型甲虫の飛来もなくなり、気温も徐々に冷え込んできたので、そろそろ厳しいかと感じ始めていると、唐突に大型甲虫が飛来した。その個体を確認してビックリ!上翅が美しいゴホンツノカブト♀であった。これはすぐに判断することができた。それにしても今まで見てきたタイ王国のカブトムシの中でもひと際上品な印象を受ける。今回遠征の目標種でもあったので本当に嬉しい。何枚もシャッターを切ってしまった。
その後もバッテリーの続く限りライトトラップを行ったが、ゴホンヅノカブトの♂は飛来せず時間切れになってしまった。今回クワガタの飛来は確認できなかったが、時期的なものもあるのかも知れない。また機会があれば時期を変えて挑戦してみたい。タイ王国には今回で4回目の遠征になるが、まだまだ見たことの無い甲虫も多く、改めてタイ王国の奥の深さを感じることが出来た。・・・今回も個人的な持ち帰りは行わなかった。
宿に戻る途中、セブンイレブンではない現地のコンビニにて暖かい飲み物を購入する。タイ王国いえど北部の夜間は気温が下がり、ホットドリンクが欲しくなる。飲み物以外に菓子でも購入しようと物色していると、日本でもお馴染みの「えびせん」が売っていた。迷わず購入してみる。口にしてみると、日本より若干、塩気が薄い気もしたが変わらぬ美味しさだった。
宿の戻る途中、今回飛来したメンガタカブトやゴホンヅノカブトの話題で盛り上がる。 ・・・しかし、話題はいつしか日本に住む私の近況と、タイ王国に住むうしやんさんの身の上話になっていく。こうやってみると、自分は探索目的でタイ王国に来ているのだが、それと同じくらいうしやんさんとの会話は私にとって大きなものだと感じる。回数でいえば4回目のタイ王国遠征になるが、うしやんさんとはもっと古くからの知り合いの様に感じる。正直、日本では身近な人にも言えない本音を気軽に話せるというのは、これだけでもタイ王国に来る価値があると思っている。フィーリングなのか?タイ王国の雰囲気がなせる業なのか? ・・・おそらくその双方なのだろう。 ・・・タイ王国遠征、3日目は最高の1日となった。 成績:ゴホンヅノカブト♀×1 メンガタカブト♂×6 ♀×15 ヒメカブト♀×4 (魔琴:持ち帰りなし) |
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