2010.08.07(土)
埼玉県・某所 3:00PM 晴れ 35℃(猛暑) 同行者:ロンストさん

今日は、埼玉県在住のロンストさんとお約束の日であった。ロンストさんは、以前から「へっぽこ採集記」のご感想やご自身の探索状況など、何度かメールのやり取りをさせて頂く中、この度お会いする機会に恵まれた。メールの内容から“ガンダムファースト世代”と、歳も近い様に感じていたので、より親近感を覚えていた。

ロンストさんのお住まいは埼玉県であり、幼少時代に私が住んでいた場所と意外と近かったりする。ロンストさんとのやり取りの中で非常に気になるキーワードがあった。それは“埼玉産ヒラタ”であった。私は幼少時代に埼玉の平野部に住んでおり、毎日の様に田んぼのあぜ道の中に生えている枝垂れヤナギにてクワガタ採集を楽しんでいた。その場所では“ノコ・コクワ・カブト”以外は確認できず、ヒラタは幻と言われていた。よく“大きなコクワ♂”をヒラタだと言って喜んでいたが、今思えば寂しい現実であった。

その様な過去を持つ中、今回の“埼玉産ヒラタ”の持つ意味は非常に大きいものであり、30年前のクワガタ探索にもリンクしている気がした。決して大袈裟ではなく、30年前の自分探しの旅に出る様で、海外や離島探索とはまた違った“自分なりの価値観”という純粋なものを感じていた。

埼玉探索に向う
埼玉探索に向う




まずはロンストさんと合流する訳だが、これが指定場所になかなか辿り着けず難儀してしまったが、・・・何とかお会いする事ができた。メールやり取りの内容からある程度のお人柄が窺えていたのだが、凄く丁寧な方なので安心して会話が出来る。

道に迷う...
道に迷う...



早速、探索に入る。気温は30℃を越えていると思われるが、頭にタオルを巻いて林道を進む。

ロンストさんと探索開始!
ロンストさんと探索開始!



林道を進むと、樹液の発酵した甘酸っぱい匂いが漂ってきた。ロンストさんと共に樹液場を確認すると、カブトムシやカナブンが集まっていた。

樹液に集まるカブトムシ♂
樹液に集まるカブトムシ♂



ロンストさんの持つライトは、しっかり照射窓に赤いフィルムが貼られており、大物が洞に入っていた場合を想定した仕様になっている。

コクワも徘徊
コクワも徘徊



数箇所、雰囲気のありそうな場所を確認していく。樹液場には多くのコクワ達が活動しているが、ヒラタの姿はそう簡単には確認できない。ロンストさんも「ヒラタは年に1〜2度程度の確認。」だと言う。やはり埼玉県のヒラタだけあって個体数はかなり少ない様である。

コクワは多く活動している
コクワは多く活動している



ふと気が付くとツクツクホウシが鳴いている。少し前に梅雨明けした感覚であったが、フィールドは確実に秋の足音も聞こえている様である。

秋の足音を感じる
秋の足音を感じる



樹液場にはクロカナブンも確認できる。この個体を見ると晩夏というイメージがあるのだが、今年は秋の訪れが早いのだろうか?

晩夏の証人
晩夏の証人



何箇所か樹液場をめぐり、数頭のスズメバチと格闘し、大量の蚊に追われ、時間はあっという間に過ぎていった。先程ツクツクホウシやクロカナブンを確認したせいか、夕方になって吹く風に秋の涼しさを感じてしまった。

涼しくなってきた
涼しくなってきた



・・・ロンストさんはまだお時間に余裕があるとの事だったので、夕食後に改めて探索を行う事にした。




夕食後、再び探索を開始する。昼間にスズメバチが集まっていた樹液場を確認してみると、大量のカミキリが集まっていた。・・・何というか、ここまで数が多いと少々引いてしまう。(画像の外にも多く存在...)

大量に集まるカミキリ
大量に集まるカミキリ



しかし、この樹液場はカミキリが大量に集まるだけあってか、木星帰りの様な只ならぬオーラを放っていた。念入りに樹皮めくれなどを確認していくと、ロンストさんが“重モビルスーツ”の様な巨大な個体を発見した。明らかにコクワとは違う事が窺える!

重モビルスーツの影
重モビルスーツの影



暫く様子を窺っていると、その個体は頭をこちらに向け顔を覗かせた。その姿は紛れも無く、“埼玉産”ヒラタ♂であった。思わずロンストさんと握手してしまった。個体としても立派な存在であるが、それ以上に埼玉県にてヒラタを確認する事ができたという状況に喜びを感じる。

埼玉県・ヒラタ♂
埼玉県・ヒラタ♂



更に別の樹皮めくれにも“重モビルスーツ”の存在をキャッチする事が出来た。これも明らかにコクワではない事が窺える。掻き出し棒にて格闘を試みる。

別の樹皮めくれにヒラタ♂
別の樹皮めくれにヒラタ♂



掻き出してみるとこれも立派なヒラタ♂であった。先程の個体含めて大顎は少々細い様に感じるが、内歯のギザギザがはっきりと多く確認できる。

特徴的に感じる
特徴的に感じる



ロンストさんもヒラタを確認できてホッとされていたが、本当に良い探索となった。今回は良い個体を確認できたので、これ以上の探索を行わず、またの再会をお約束して今回の探索を終了した。埼玉産ヒラタの存在を確信させて下さったロンストさんに、心より感謝申し上げたい。




・・・幻と思われた埼玉産ヒラタは存在した。今回の探索で次なる可能性を感じることが出来た。

それは幼少時代に「大きなコクワ♂をヒラタだと思っていた...。」と何度も言ってきたが、今回の探索で埼玉産ヒラタを明確に出来た事で、「実は幼少時代の大きなコクワ♂は、本当にヒラタだったかも知れない。」という発想も出てきた。そうであれば、30年前のクワガタ探索の結論を出す為にも今一度、幼少時代に過したフィールド付近の探索を行い“昔ヒラタ”の存在を確かめに行きたくなってきた。

・・・本土採集にも夢がある!


成績ヒラタ♂×2 コクワ♂×5 ♀×5 カブトムシ×多数
(確認後、全てリリース)

採集目次に戻る