2009.07.05(土)へっぽこ遠征in対馬列島(3日目)
長崎県・対馬 10:00AM 晴れ 26℃

対馬遠征、最終日の朝。

いつになく早朝に目が覚めてしまった。窓の外はまだ薄暗い。・・・朝刊を運ぶ車を見ながら、ふと思いに耽る。この対馬も何度か遠征しているが、このところの探索として、過去の自分なりに実績のある場所ばかりに足を運ぶ傾向にあり、なかなか新規の開拓が出来ていない。結果として数箇所しかないポイントにクワガタの姿が無ければ、この広い対馬をただドライブしているだけになっている。“へっぽこ”らしいと言えばそれまでだが、何度も足を運びながら未だにチョウセンヒラタの確認が出来てない。事前に採集ポイントなどの情報を収集しない遠征をしてるのでリアルな結果でもあるが、数年通ってこの内容に自分なりにセンスの無さを痛感し、現状に対して底が見えた気もする。

早朝に目が覚める
早朝に目が覚める




朝食を取り終える頃には朝日も昇り良い天気になった。今日も快晴である。今まで対馬遠征は天候に泣かされてきたので、この3日間まったく雨を気にせず済んだことは非常に喜ばしい。身支度を整え宿をチェックアウトする。

最終日も快晴
最終日も快晴



この対馬には1件のみの確認ながら、24時間営業のコンビニがあり重宝している。まずは飲み物などを調達する。

島で唯一のコンビニ
島で唯一のコンビニ



毎年、対馬ではかなりの韓国人観光客を見掛けるが、今年はいつに無く少なく感じる。やはり景気の問題なのだろうか?

20しかわからない
20しかわからない



最終日なのでフルーツトラップの回収を兼ねながら最終確認を行っていく。自分なりの課題であるチョウセンヒラタは確認できるのであろうか?

最後の探索開始
最後の探索開始


目的地に到着しチョウセンヒラタ狙いのトラップを確認してみると、メタリックに輝く糞虫と小さなスジ♀が集まっていた。糞虫は、このトラップ周辺に多くの個体を確認することが出来た。

糞虫とスジ♀
糞虫とスジ♀



フルーツトラップを回収していると林床を歩行するクワガタを確認した。対馬で“歩行移動する個体”なので、トキメキながら個体を確認してみる。

徘徊する個体が...
徘徊する個体が...



よく確認するとツシマヒラタ♀の様であった。考えてみれば過去にもこの周辺でツシマヒラタ♂が歩行していたのを確認した事があるので、やはりポイントの見直しが必要なのであろう。

対馬・ツシマヒラタ♀
対馬・ツシマヒラタ♀



それにしても天気が良い。この対馬はまだ梅雨は明けておらず、たまたま梅雨の中休みに入っている様であり、周辺を見渡してみるとウスバキトンボが数え切れないほど乱舞している。

ウスバキトンボが乱舞する
ウスバキトンボが乱舞する


フルーツトラップを回収しながら、トラップに集まる個体や樹液場の確認を行ったが、結果として何も確認できなかった。最後のトラップを回収した事で今回の対馬探索も終わりを告げる。

トラップを全て回収する
トラップを全て回収する



3日間採集した個体をリリースしていく。自分なりのリリースの仕方は基本的に採集した場所に戻すのだが“同じ洞”という感じではなく、採集した樹があるとすれば、そこから数メートル離れた茂みなどに放している。

採集した個体を全てリリースする
採集した個体を全てリリースする



・・・今回もチョウセンヒラタには出会えなかった。人によっては難しくないクワガタなのかも知れないが“へっぽこ”にとっては、数年に亘る遠征の中で結局個体を確認することが出来なかった。無念ではあるが“足を運んでも確認できなかった現実”として、正直な結果を綴っておきたい。

対馬の山はそれなりに深い
対馬の山はそれなりに深い



探索を終了として、少しノンビリする事にした。高台にて対馬の風を感じていると、赤っぽいカミキリが飛来した。よくよく考えてみればこの高台こそ、吹き上げの好位置であり、目の前に飛来したカミキリにも納得がいく。・・・なんというか、チョウセンヒラタにも同じ事がいえるかも知れないが、もっと虫を理解していれば、別のアプローチの仕方もあったかも知れない。・・・改めて“へっぽこ”である事を自覚する。

ホシベニカミキリ
ホシベニカミキリ




飛行機の時間を考え山を下りる。偶にはお土産でも買おうと店に入る。対馬名物「かすまき」が置いてある。あんこをカステラ状の生地で巻いてあるので“カス巻き”という。考えてみれば対馬は長崎県なのでカステラ菓子は名産なのである。

対馬名物・かすまき
対馬名物・かすまき



レンタカーを返却し対馬空港に向う。

対馬空港
対馬空港



福岡空港行きのチェックインを進める。対馬遠征といえば梅雨の時期に訪れているので、やはり天候は気になる。幸いにして備考欄に“天候調査中”の文字が無かったので安心する。

天候の問題なし!
天候の問題なし!



過去に何度か遠征した対馬であったが、個人的には難しい探索が続いたと思う。離島としては南西諸島とは全く異なる場所で、韓国の存在を感じる場所だったと思う。様々な視点として報道などテレビの向こう側でない現実を見ることも出来たので、クワガタ探索と共に勉強になった。やはり自分の目で確かめていく事の重要性をここでも感じた。

対馬遠征を終了する
対馬遠征を終了する



・・・対馬空港に別れを告げ、福岡空港に飛び立つ。


しかし、福岡に近付くにつれ、機体の揺れが激しくなり始めた。どうやら梅雨前線は対馬と福岡の間辺りに停滞している様で、機長のアナウンスで福岡上空はかなりの荒れ模様らしい。ここに来て、まさかの大雨にて着陸できない可能性が出てきた。今までは福岡空港から対馬に降りられないことはあったが、対馬から福岡に降りられない可能性というのは初めてである。

「・・・最悪、もう1泊対馬でも仕方ないかなぁ。」とある程度覚悟を決めていたのだが、飛行機は運良く福岡空港に着陸できた。それにしても晴天だった対馬とはえらい違いで、文字通り大雨であった。機長のアナウンス通り、台風並みの風雨である。

福岡は大雨
福岡は大雨




今までの経験上、飛行機は着陸が出ればその後の離陸はそれ程影響ないと感じていたが、今回も同様に福岡空港への着陸には難儀したが、羽田空港行きの便は問題なく離陸できた。

・・・羽田空港に向う便の中で、分厚い梅雨の壁を抜けると美しい夕日を見ることが出来た。自分にとって対馬遠征は4度目となったが、やはりチョウセンヒラタの姿を確認する事はできなかった。自分の採集記は結果だけを求めてしまったら殆どの採集記事は成立しなくなる。“遠征しても結果が伴うとは限らない”そんな自然相手のリアルな現実を伝える事が出来たのであれば、今回の遠征も行って良かったと思う。

美しい夕日
美しい夕日



成績ツシマヒラタ♀×1 スジ♀×1
(確認後、全てリリース)

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