2019年2月、環境省により「国内希少野生動植物種」に指定され、ヒサマツサイカブトは採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。 |
2008.07.13(日)へっぽこ遠征in大東諸島(3日目) 沖縄県・南大東島 10:00AM 晴れ 32℃ (暑い) 南大東島遠征、3日目。 目が覚めて窓の外を見ると、今日も晴天である。この2日間、ダイトウヒラタの野外活動とヒサマツサイカブトの調査を目的に活動してきたが、なかなか思う様な内容は得られなかった。最終日となる本日は、飛行機の時間まで少ない可能性に望みを持って探索をしていきたい。早めに朝食を頂き、宿をチェックアウトする。
宿を出てすぐに、南大東島でたった1つしかない信号機を通過する。正直無くても全く問題ないほどの交通量であるが、島の教育教材の意味合いが強いらしい。
とりあえずは遠征最終日なので、フルーツトラップの最後の確認と回収を行う。今日も林の中は蒸し暑く、クワガタマガジン用のDVD動画を撮影していると、大量の蚊が集まってきた。非常に鬱陶しい...。
フルーツトラップを確認していくが、やはり何も来てなかった。流石に3日目という事もあってトラップの熟成度も良い頃と思われるが、ショウジョウバエのみ大量に集まっている。自分にもっと時間があれば1週間ほど滞在し、じっくりフルーツトラップの調査をしてみたいが、現実はなかなか厳しい。
南大東島にてダイトウヒラタには出会えないが、今日も“常連”のミヤコヒキガエルとアフリカマイマイは数多く確認できる。
南大東島の林は狭いので、島の中を何箇所か回りながらの探索となる。その為、探索→移動→探索→移動の流れになるのだが、今日は島の北部に昨日の様な黒い雲はかかってないので、天候の心配は無いだろう。
とりあえず昨年〜今年に掛けて何箇所か林を探索して来たが、今日は最終日なので思い切って未知の入り難い林にも突入する事にした。・・・“入り難い=薮漕ぎ”と言う事になる。
しかしその様な場所は、大体が石灰石が突き出た危険な場所が多い。もちろんここで転んだりしたら、結構な怪我を負うことになる。単独での行動の場合は、決して油断せず無理はしてはいけない。事が起こってからでは手遅れなのである。
・・・結局、この林でも何も見付ける事ができなかった。・・・市街地に戻り昼食を取る事にした。
昨年は気が付かなかったのだが、お気に入りの大東そば屋とは別に“通常”の沖縄そば屋を見付けたので入ってみる事にした。南大東島では昼食はJAでの弁当が中心だったので、遠征者でも入れそうな店は非常に重宝する。
店内は昼時という事もあり、かなり混み合っている。メニューを見て気になった「てびちそば」をオーダーしたものの、あいにく本日品切れであった。“てびち”とは豚足の事で、ソーキ(豚のばら肉)そばとは違った食感を楽しんでみたかったが、今回は諦めて通常の沖縄そばを食べた。
南大東島という場所柄、現地の飲食店にて「大東寿司」を食べてみたかったのだが、ようやくこの店で食べる事が出来た。サワラに醤油主体のタレで漬け状態になったネタを乗せた寿司であり、八丈島の島寿司の流れを汲む郷土料理であるが、これが美味い!個人的に沖縄そばより大東寿司の方が満足だった。
昼食後、飛行機の時間までそれほど無いのだが、もしかしたら最後になるかも知れない南大東島をもう少し回ってみる事にした。
探索を行いながら名物の港に足を運んでみた。この港では船が接岸できないので、人も積荷の様に“檻に入りクレーンで 吊り上げられ上陸”すると言う、かなり変わった方式を採用している。ちょうど船が来ていたが、すでに人は降りた後であった。
その後もレンタカーを走らせるとハイビスカスが目に入った。道路沿い咲いている花は人為的に植えたと思われるが、意外と畑や林沿いにも咲いていたりする。カラカラに乾いた土地でも咲いていたりするので、乾燥に強いのかも知れない。
ビロウ(ヤシ)林にも突入してみるが、クワガタが野外活動している雰囲気をなかなか感じる事が出来ない。・・・無念さばかり感じてしまう。
何というか昼食後は諦めムードに陥ってしまい、それなりに探索は続けるものの何となく飛行機の時間までの“時間潰し”の様な形になってしまった。他の離島に比べて割高な旅費でありながら、クワガタはダイトウヒラタとダイトウマメしか生息せず、共に活発に野外活動を行うタイプでは無さそうなので、それがハードルの高さとして実感してしまう。
とりあえず時間的にラストになりそうな林に入り、ダイトウマメ狙いで探索を行ってみる。未見のモクマオウの林の中に入り倒木を探してみる。
・・・すると程なくして、それっぽい“細く乾いた”倒木を見付けたので確認してみると、すぐに幼虫が出てきた。小さい幼虫であるが、いくら“へっぽこ”であっても間違いなくクワガタの幼虫であると判る。それにしても幼虫の材を見て、ほとんど水分の無さそうな場所でもよく成長できるものだと感心すらしてしまう。
幼虫を観ている傍らで、ポロっと地面に黒い粒が落ちたので確認してみるとダイトウマメであった。相変わらずというか、本当に小さなクワガタである。5月の八丈島にてチビクワを確認して来たが、瞬間的な見分けは全く付かない。・・・もう少し小型種にも興味を持った方が良いのだろうか?
結局2頭の成虫を確認したが、これ以上の追及は必要ないと感じ終了した。全ての個体を元の場所に戻す。
そのまま林を出て一息つく。・・・正直な感想として“へっぽこ”には難しい離島だったかも知れない。昨年のダイトウヒラタ♀の野外写真が撮れたのは本当に運が良かっただけで、今回は全くダイトウヒラタ成虫を確認できなかった。ヒサマツサイカブトは、なお更厳しいと感じる。・・・再探索のチャンスがあれば、もう少し可能性を感じる事が出来るかも知れないが、今回は自分なりに精一杯楽しめたので満足はしている。
・・・その後レンタカーを返却し南大東空港に向かう。日が既に傾き夕刻を迎えている。南大東島の往復便は事前に座席を指定できないので、当日チェックイン時に座席指定を行うのだが、今回は空港入りが遅くなってしまったので、窓側の席は既に埋まっていた...。
・・・経由空港の那覇を発って羽田空港に向かう。 結局、先月の対馬同様に全く成果は出ない遠征になってしまった。まさに“へっぽこ”らしい内容になってしまったが、出たとこ勝負の探索を行っているので、これがリアルな結果なのかも知れない。因みに初日と2日目に確認したダイトウヒラタの幼虫2頭は、放置する訳にも行かなかったので“へっぽこ”らしくないが、持ち帰り育てる事にした。見た感じ♂と♀の様なので、とりあえず成虫まで飼育してみる事にする。やはり幼虫を採集する様な手段を選ぶと、何かと方向性の違いを感じてしまうので今後は自重したい...。
・・・様々な部分で“可能性と限界”を感じた南大東島遠征。果たして次回の遠征はあるのだろうか? 成績:ダイトウマメ×2 (確認後、ダイトウマメは全てリリース。初日、2日目に得た幼虫2頭は持ち帰り。)
(追記)・・・2008年11月28日現在、持ち帰り幼虫は、ダイトウヒラタ♂ と ダイトウヒラタ♀の羽化確認。 |