2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタとアマミシカクワガタとアマミミヤマクワガタは採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。 |
2007.10.13(土)へっぽこ遠征in奄美群島(2日目) 鹿児島県・奄美大島 11:30AM 曇り時々晴れ 28℃ (涼しい) 奄美大島遠征、2日目の朝。 窓の外を見ると青空が覗いている。どうやら天気は良いらしい...。2泊3日の遠征で、明日の最終日は飛行機の関係でほとんど時間が取れない。実質この2日目が最終日となってしまう。・・・とりあえず宿の朝食を取り、身支度を済ませる。
レンタカーを走らせ、昨日仕掛けたフルーツトラップの確認に行く。昨晩はクワガタの姿が確認できなかったが、もしかすると夜の内に何かしらのクワガタがトラップに来ているかも知れない。
車を走らせていると“奄美の標識”が見えてきた。“アマミノクロウサギ注意!”を促す標識である。これを見ると奄美大島に来ている事をより実感する。昨晩も山の林道でアマミノクロウサギを目撃しているので、車の運転には充分に気をつけなくてはならない。ホント林道に飛び出してくる場合も多い。・・・考えてみると、こういった島の天然記念物といった動物は、むしろ山の中ではクワガタの姿よりも観掛ける様な気がする。
昨晩は誰1人として他の採集者を見掛けなかったので、当然この状況下の林道では「誰ともすれ違わないだろう。」と勝手に思っていたが、唐突に細い林道の対向にダンプカーが現われ、心臓が止まるほど驚いた。舗装もされていない、かなり細い林道だったが草むらを利用し何とかすれ違う事ができた。・・・相手のダンプカーも誰も居ないと思っていたらしく、かなり驚いている様子であった。 とりあえずフルーツトラップを仕掛けたポイントに到着した。時折オオシマゼミやクロイワツクツクの鳴き声が聞えて来るが、真夏時と違って森は静まり返っている。
フルーツトラップを確認する。・・・やはり何も来ていない。ある程度は想定していたが「やっぱりダメか...。」と現実を思い知る。
時期的に遅い事は分かっているが、林床に入り一応アマミマルバネ探索用としてシイの樹の下見も行う。もしかすると歩行個体が居るかも知れないと思い、少々時間を掛けて探索したがそう簡単には確認できなかった。とりあえずは、昼間に確認したシイの大木を夜間に改めて確認に来ようと思う。
昼食がてら市街地に戻ろうと思ったが、久々にマングローブの森にてカヌーを楽しむ事にした。ここであれば食事をする場所もあるので、昼食も取る事が出来る。・・・食事が終わる頃にちょうどカヌー開始時刻だったので、そのまま手続きを済ませてカヌーに乗り込む。
久々にカヌーに乗り“水面に浮かぶ癒し”を楽しむ。過去にも数回乗った事があるので、オールの使用法は体が覚えていてくれた。意外とカヌーを漕ぐ動作は両腕の力も使うので、自分なりに良い筋トレになったと思う。通常は濡れない様にデジカメはロッカーに置いて来るのだが、自分なりの慣れを信じ、不安定なカヌー上に持ち込んだデジカメを取り出し、バランスを取りながら画像を得ていく。・・・少しでも気を許すとデジカメを水の中へ落としそうなスリルが楽しい。
このカヌーの場合、干潮と満潮では進むルートが変わってくるのだが、今回は運良くマングローブの森の内側に入る事が出来た。森の中には「潮招き」やハゼの仲間が多く活動しているのが観察できる。普段は遠方からマングローブの森を眺めているだけであるが、その内側に入ってみると外側とは違って非常に涼しいと感じる。
インストラクターの方が面白いものを見せてくれた。巨大シジミであった。この奄美大島ではシジミがかなり巨大化するらしい。話によるとノコギリガザミといった大型のハサミを持った蟹などから身を守る為に、貝殻を大きくしているらしいと言う。因みに中の身は殻ほど大きくないらしく、味はやはり大味であまり美味しくないらしい...。
・・・その後、夜間の長丁場を想定して、少し宿に戻り休息を取る事にした。
・・・夜の帳が下りる頃、アマミミヤマの電柱に行ってみた。 昨晩の状況から見てもかなり無理があると思っていたが、電柱には何も登ってなかった。やはりアマミミヤマは過去の状況から見て、9月の中旬くらいまででないと個体は確認できない様である。流石に10月中旬では外し過ぎである事が分かった。・・・この“へっぽこ採集記”をご覧になって「魔琴は、何て無駄な事をやっているのだろう...?」と思われてしまうかも知れないが、気になったことは可能な限り“実際に行動して確認したい”と思っているので、今回のこれは自分なりに納得している。
アマミミヤマは仕方ないとしても、活動期間の長いと“思われる”ヒラタくらいは、何とかフルーツトラップに来てくれないものかと思っていたが、仕掛けたトラップを確認していくが、全くクワガタの居る気配すら感じられない...。とりあえず明日はほとんど採集する時間が無さそうなので、ある程度の山深い場所に仕掛けたトラップを回収して行く。
いくつか回収していく内に「どうせ居ないだろう...。」と少々投げやりに、トラップを確認しないでビニル袋に入れていく。・・・あるトラップも同様にあまり確認しないまま回収しようとすると、何か“小さな”黒い物体が下に落ちた。一瞬であったが、見えなくなった黒い物体は“クワガタの姿”をしていた。慌てて探すものの下草に紛れてしまって手遅れであった。・・・せっかくのクワガタだったのに「何をやっているのだ!」と自己嫌悪に陥る。 仕方ないので、見付ける事の出来ない黒い物体を諦める。とりあえず場所を移動しようと思ったが、フルーツトラップを仕掛けてた場所にもう一度目をやると、先ほどより明らかに大きな黒い物体が佇んでいた。一瞬目を疑ったが、それは紛れも無くクワガタの姿をしていた。・・・思わず興奮してその個体を”またもや下草に落としてしまった”が、すぐに拾い上げ事なきを得た。手にとって確認するとスジブトヒラタ♂であった。
昨日から全くクワガタの気配すら感じることが出来なかったので、この確認は非常に嬉しかった。簡単にノギスで測ってみると50_を越えているスジブトヒラタであった。考えてみれば、過去の奄美大島で確認してきた個体はほとんどが30〜40_くらいの小さな個体だったので、“へっぽこ”にとっては50_でも充分大きなスジブトヒラタに見えた。
・・・状況としては、この個体と先に落としてしまった“小さな方”を合わせて、2頭トラップに来ていたと思われる。・・・先に落としてしまった個体はスジブトであったのか分からない。かなり小さな個体に見受けられたので、アマミコクワやアマミシカだったとしたら、やり切れない思いもあるが、まずはスジブトヒラタ♂×1頭が確認できただけでも充分達成感はある。 とりあえずアマミマルバネ探索として、昼間に下見をしていたシイの樹を確認していく。昼間と違って夜間は、よりハブの恐怖が現実味を増すので腰が引けた状態での探索になるが、充分にハブが居ないか確認しながら先に進まないと、冗談では済まされない。林道から入って割と近い場所に数本の巨木を昼間に確認していたので、チェックして行く。・・・しかし、居るのはサソリモドキばかりで甲虫の姿は全く確認できなかった。元々、簡単には確認出来ないアマミマルバネであるし、付け焼刃な探索では見付ける事は出来ないのだろう...。
その後は少し念入りにクワガタが付いてないか、フルーツトラップを確認しながら全てのトラップ回収を終えた。残念ながら今回も、他の採集者“未回収”トラップの残骸を多く見掛けてしまった。手の届く範囲で他の採集者の残骸も回収したが、やはり気分の良いものではない...。仕掛けた採集者は、どの様な状況であっても、自分の仕掛けたフルーツトラップは“必ず回収”して頂きたい!
時間帯としてはかなり夜も更けてきた。自分なりに一通りの探索は終了したので、昨晩観掛けた「アマミノクロウサギ」が出没する林道に行ってみた。それなりに見掛ける動物だが、いざ狙って観てみようと思ってもそう都合よく出てこないかと思ったが、今晩も林道に出てきたアマミノクロウサギを観る事が出来た。流石に素早い動きなので写真を撮る事は出来なかったが、その土地の固有種を観るのは楽しい。
気が付くと気温もかなり下がり、森の中はひんやりとしている。流石に奄美大島言えど10月の中旬にもなれば秋の気配も深くなってくるのだろう。・・・これにて探索を終了として、宿に戻る事にした。
翌日は早い時間帯で、鹿児島空港を経由して羽田まで帰る事になっていた。飛行機の搭乗時刻が来るまで喫茶店でボンヤリしてみる。・・・今回の探索の焦点であった、10月に入ってのアマミミヤマは確認できなかったが、何とか“へっぽこトラップ”にスジブトヒラタ♂が来てくれたので、個人的に満足している。結局はこの個体もリリースしてしまったので、手元には何も残らないが、この時期でも足を運んで良かったと思っている。他の採集者の方から見れば本当に“緩い採集者”に見えるかも知れないが、これからもマイペースでクワガタ探索を楽しんでいければと思っている。
・・・また来年も来てみたい。 成績:スジブトヒラタ♂×1 (確認後、リリース) |