2007.07.07(土)へっぽこ遠征in対馬列島(2日目) 長崎県・対馬 11:00AM 曇りのち晴れ 25℃ (涼しい) 対馬遠征、2日目の朝。 早朝から近くの部屋で、何やら騒ぐ声で目が覚めた。どうやら宿泊客が“韓国語”で何かを喋っている様で、かなりの人数で騒いでいる様である。正直、他の客の目が覚めるレベルでの会話は勘弁して欲しいが、確か2年前の対馬遠征時でも同じ事があった事を思い出す。 とりあえずの昨日から“色々ありすぎた”疲れは抜け切っていないので、もう少し眠らせて欲しかったが、変に目が冴えてしまったのでベッドから出る事にした。この2日目は、気分を切り替え“どっぷり”対馬探索にハマろうと、期待を胸に窓の外を覗くが“予想通り”あいにくの悪天候であった。
朝食を取ろうと宿の食堂に向かうと、20名ほど先に食事をされていたが、全員“韓国の観光客”だった...。フロントに聞くと、現時点で日本人の宿泊客は“自分しか居ない”との事であった。・・・日本に居ながら、日本に居る気がしない。
朝からバタついた感もあるが、早めに宿を出発し、昨日仕掛けたフルーツトラップを見て回る事にした。・・・暫くレンタカーを走らせ目的地に着く。早速バナナトラップを確認してみるが、アリしか来てなかった。
ならばと、今回“チョウセンヒラタ用”に仕掛けたパイントラップ確認していく。・・・しかし、こちらもアリしか来ていなかった。昨日の対馬入りが遅かった事もあり、仕掛けて数時間しか経っていないので、効力を発揮するまでまだ時間が掛かるだろう。「今晩からが本番になるのかも知れない。」と期待して、他の場所を回る事にした。
とりあえず、周辺の樹液の出ている樹木を確認して行こうと見て回ると、洞にヒラタらしき個体が確認できた。掻き出し棒を使用し、洞や樹皮を壊さない様にしながら格闘して行く。この時、個体を早く採り出したいからといって、樹皮めくれを剥がしたり、洞を破壊する行為だけは絶対にしてはならない。これは本土、離島関係なく、いつまでもその場所で採集を楽しむ為にも“その時さえ良ければ”的な自分勝手な行為は避けなければならない。
多少時間は掛かったが、何とか個体を採り出す事が出来た。中型のツシマヒラタ♂であった。昨日が非常に難儀した1日だったので、こうやって朝から“離島探索”を堪能できる事に幸せを感じる。また早い段階で個体を確認できると、その日の行動にも気持ち的に余裕が出てくる。
更にその樹液の出ている周辺を確認していくと、根元付近の樹液にネブト♂が来ていた。やはり東京に住む自分にとって、樹液にネブトが来ている光景は特別な印象を受ける。普段見慣れないクワガタを自然の姿で観られる事に嬉しさを感じる。
とりあえずツシマヒラタとネブトを確認できたので、やはり個人的に未確認の「チョウセンヒラタを確認してみたい。」と思い、パイントラップや歩行しているであろう個体の探索を行う。・・・すると地面を歩行するヒラタが目に入ったので、思わず「チョウセンヒラタかっ!?」と、トキメいたが、良く観るとツシマヒラタ♂であった。・・・ただ単に歩行移動していた様であるが、状況から非常に紛らわしく感じる...。
とりあえず場所を移動し、新たな探索に向かう事にした。多少でも条件を変えながら探索を行いたいと思い、標高をあげてみる事にした。・・・しかし、梅雨末期の天候もあって山を登っていくと、かなり深い霧に見舞われてしまった。・・・いったん仕切りなおす為に標高を下げる事にした。
前回、対馬を訪れた時にも感じたが、対馬には田んぼが多い。離島という感覚だと畑のイメージはあっても、田んぼのイメージは無い。対馬の場合、南西諸島でもなく、島の面積も広い為にかなり幅広く農作物が作られている印象を受ける。
少々運転に疲れたので、休憩がてらに車を降りて外の空気を吸う。・・・すると、キリギリスの様な虫が足元を飛び跳ねた。確か前回の対馬遠征でも観掛けたが「ツシマフトギス」という名前だったと思う。離島などの遠征の場合、クワガタに限らずその土地の固有種を観る事でも充分雰囲気を味わう事が出来る。
離島の雰囲気としては、何も生き物だけではなく、標識にも土地柄が出ていると感じる。特にこの対馬では「ツシマヤマネコ注意!」を促す標識が多くあるので、より印象的に感じる。
一呼吸を置いた後、キンオニの確認もしてみたいと思い生息地周辺を訪れてみる。キンオニは“未知なるクワガタ”として個人的に興味があったが、7月の前半という事もあって成虫の野外活動には少々早い様であった。今回も斧を持参しなかったので、それ以上の探索は行なわなかった。機会があれば、キンオニの成虫野外活動時期にも訪れてみたい。
地図を見ながら過去に行った事のない、新たな場所を探索したいと思い車を走らせる。暫く車を流していると、非常に雰囲気の良い林道があったので入ってみる。林道沿いの日に当たる樹木は、樹液が出やすいと聞いた事があったので期待しながら進んで行く。・・・すると、いきなりクワガタが樹液を吸っているので、慌てて車を降りて確認してみる。小型のツシマヒラタ♂であった。どうやら昼間であってもツシマヒラタの小型個体は、こうやって普通に樹液を吸っている様である。他のクワガタでも感じる事であるが、この辺はある程度、大型個体との樹液場のバランスを取っているのだろう。
すぐ横の樹液にはスジのペアが来ていた。♀の個体を“メイトガード”する大歯型の♂の姿に、スジであっても迫力を感じた。
更に雰囲気のある洞を発見したので、懐中電灯で中を覗いてみる。・・・すると、かなり大型のツシマヒラタ♂と思われる個体が潜んでいた。久々に“大格闘戦”になる事は必死であったが、「こういう事であれば望む所!」として、掻き出し棒2本を使用し、長期戦覚悟で挑戦する。
・・・時間にして15分前後だったかも知れないが、何とか洞の中にいたツシマヒラタ♂を引っ張り出す事に成功した。70ミリ前後はあるであろう個体との格闘戦に勝利し、非常に達成感に満ちている。おそらく個人的に今まで洞の中から採り出した個体の中で“一番大きなクワガタ”になるかも知れない。
・・・時計を見ると14時過ぎを指している。そう思うと急に腹が減ってきた。とりあえず市街地まで戻り、昼食を取る事にしようとレンタカーを走らせていると、急に眩しい日差しが車内を照らし始めた。昨日この対馬に入る時点でかなり天候には泣かされてきたが、考えてみれば“昨年&一昨年”も全くと言って良いほど、太陽の日差しとは無縁だった。・・・なので、この対馬での日差しは“奇跡の太陽”と言っても過言ではないほどのインパクトがあった。
・・・昼食を取った後、少し疲れを感じたので昼寝をする事にした。対馬は夜も長丁場になるので、適度の休息を入れないと30半ばのオジサンはバテてしまう...。
・・・しかし、少しの昼寝のつもりが“かなり”寝てしまった。慌てて身支度を済ませ、宿を飛び出す。既に周辺は暗くなり始めていた...。とえりあえずフルーツトラップを確認しに行く。 ・・・??? ・・・何か様子が変である。 フルーツトラップを仕掛けたはずの場所には、何故かトラップが無くなっていた。「他の採集者に取られてしまったのか?」と憤りを感じていたのだが、実の犯人はカラスであった。フルーツトラップを仕掛けた周辺には“中身の無くなったストッキング”だけ落ちており、近くでは数羽のカラスが「カーッ!カーッ!」と勝利の雄たけびを上げている。仕掛けたトラップにはクワガタは来ないで、カラスのみが来ていたのであった。仕方ないので“空になったストッキング”を回収し、完敗モードのまま他の場所へ移動する事にした...。 ・・・幸い他の設置箇所は“そのまま”であった。・・・が、来ているのはカナブン×1頭のみという、非常に寂しい結果であった。
「カナブンしか来ていないものか?」と意気消沈して、他の場所へ移動しようと思ったら、申し訳ない程度に小型のノコ♂がトラップの近くに来ていた。何も来ていないよりはマシだと思ったが、実はこの対馬ではノコギリキワガタは少ない様なのである。理由の詳細は分からないが、ツシマヒラタの生息数が多いので、勢力争いに押され気味なのかも知れない。
とりあえず昨晩に大型のツシマヒラタを確認した樹液場を確認しに行く事にした。到着後、あまり期待してなかったので“作業的”に懐中電灯を照らしてみる。・・・すると、明かりの先には昨晩同様に大型のツシマヒラタ♂が来ていた。まさか2日続けて70_を越える個体が来ているとは思わなかったので、正直驚いた。・・・樹に張り付く個体に“対馬に居る事”を強く実感する。
昨日が非常に難儀した1日であったが、今日は朝から天気も回復し、対馬のクワガタをそれなりに確認できるという“へっぽこ”らしからぬ充実感を得ている。レンタカーで移動中、海側に目を向けると多くの漁船が煌々とした明かりを点け漁を行っている。昼間に漁港で見た感じでは大きなライトを幾つも付けた漁船を見掛けていたので、おそらく名産のイカ釣り漁船だと思う。・・・ふと、和める瞬間であった。
今日は自分なりに充実感を得ていたので“終了モード”にシフトチェンジしても良かったが、何となくもう一回りしてみようとポイントを巡る事にした。・・・なにやら樹に気配を感じたので目を向けると、ツクツクホウシが羽化していた。実際クワガタ探索として、夜回りをしていると良くセミの羽化シーンを見掛けるが、いつ観ても神秘さを感じさせるシーンだと感じる。
とりあえず、ババナトラップにクワガタが来てないかチェックしてみる。・・・なにやらガサガサと音がしているので、大型のツシマヒラタが来ているものだと思い、期待して懐中電灯を照らして見えると、カブトムシだった。
それでも別の樹液にはツシマヒラタ♂が来ていたので、気分的には楽しい。・・・考えてみれば、一昨年の対馬ではバナナトラップに多くのツシマヒラタが集まって来てくれたが、今年は全くクワガタが集まって来ない。やはり日程的にトラップの熟成度が足りないのかも知れない。もしくは一昨年とは大分フルーツトラップのレシピも変更しているので、それが仇になっているのかも知れない。・・・どちらにしても樹液の味には勝てないのだろう。
・・・先程の羽化していたツクツクホウシは、無事に羽化できた様である。おそらく明日の朝には体も固まり、どこかへ飛び去ってしまうのであろう。
今日は丸々1日、対馬探索の没頭する事ができた。途中で昼寝を挟んでも、充分に島を回る事ができたので楽しかった。個人的にはチョウセンヒラタやキンオニ等といった“対馬の固有種”をまだ観ていないので、決して褒められた探索内容ではない事も分かっているが、一昨年には見つける事の出来なかった樹液場所にてクワガタも確認できた。・・・昨日の難儀した1日に比べれば、今日は“天と地ほど”の差がある楽しい1日となった。 宿に戻った後、今日一番大きなツシマヒラタをノギスにて測ってみる事にした。私はノギスは採集時に持ち歩いているものの、まずそれを使用する事は少ない。元々クワガタの大きさに拘りを持っていないからであるが、この対馬では“へっぽこ”なりに大きなクワガタを確認出来る島なので、“記念行事”として測る事にしている。結局は最終日にリリースしてしまうので、あくまでも画像に残す程度であるが、ツシマヒラタの大きさにはいつもながら驚かされている。今回も“へっぽこ”に夢を与えてくれた対馬に感謝の想いである。
・・・明日は(天候が持てば)対馬最終日となるので、フルーツトラップの全回収と時間の許す限り、チョウセンヒラタ探索にもチェレンジしてみたい。 成績:ツシマヒラタ♂×8 ネブト♂×1 スジ♂×2 ♀×2 ノコ♂×1 コクワ♂×4 ♀×1 カブトムシ♂×3 (確認後、3日目に全てリリース) |
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