2015年5月1日、石垣市条例で、チャイロマルバネクワガタとヤエヤママルバネクワガタとヤエヤマノコギリクワガタは採集禁止となりました。 下記、採集記は規制以前のものです。 |
2006.11.03(金)へっぽこ遠征in八重山列島(3日目) 沖縄県・与那国島→石垣島 9:00AM 曇りのち雨 26℃(涼しい) 与那国島での最後の目覚め...。 体中が重い。流石に昨晩、7時間以上も山に入っていた後、寝心地の悪い車の中で寝ていたのだから仕方が無いだろう。・・・それでも気分は清々しい。自分の体を動かしヨナグニマルバネを自分の目で観る事が出来た事と、その個体を自分の意思でリリース出来た事。その全てが“夢を諦めない”という希望に向かって進んだ結果だとすれば、これ以上に嬉しい事はない。
今日は朝一の飛行機で石垣島に戻らなくてはならない。起床時間から空港入りするまでそれほど時間は無かったが、与那国島は小さな島なので、島を一周してからレンタカーを返しに行こうと思った。今日の天気予報は八重山地方全体が雨の予報となっている。今の所まだ降り出してはいないが、雲に覆われ重い雰囲気を感じる。離島は見晴らしが良い分、天候によって風景の見え方が大きく異なる。
某所に行くと“町蝶”になっているヨナグニサンのパネルがあった。結局、山ではこのヨナグニサンを自分の目で確認することは出来なかったが、出切れば“漆黒に闇に現れる巨大モスラ”を感じてみたかった...。
レンタカーを返す為に市街地に戻る。この見慣れた“ヨナマル壁画”ともお別れである。昨年から何度か観てきた壁画であるが、今となっては愛着すら感じる。もしかするとこれが本当に最後の見納めになるかも知れない。
飛行機の手続きを済ませる為に与那国空港に向かう。なんと言うか、もしここで飛行機が何らかの理由で到着していなかったら“ダークゾーン”というより、「もう1日 与那国島に居られる。」という意識が働いてしまった。・・・しかし、飛行機はすでに到着している。やはり石垣島に戻らなくてはならない。
その後、順調に搭乗手続きも済み、与那国島を離陸する。もしかするとこれが“最後の与那国島”になるかも知れないので、段々と小さくなっていく島に特別な思いを感じながら、与那国島に感謝しながら別れを告げた。
与那国島を出て30分足らずで石垣空港に戻ってきた。・・・何だか急に都会に来てしまった感覚を覚える。それほど“何も無い”与那国島であって、“何でも揃っている”石垣島なのである。まずは1日空けてしまっている宿に戻り、身支度を整えたい。とりあえず宿に戻る為にタクシーを使用する。やはり初乗り390円は安い。
宿にてリフレッシュした後は、昼食に出かける。気分的に何か良いものを食べたいと思い「石垣牛」の食べられる店を探した。せっかくなので少し奮発して石垣牛の牛刺しや焼肉を食べた。当然、美味い!・・・なんだか久々に高級品を食べた様な気がして満足だった。
昼食を済ませ、早速本日の採集を始めようかと思い外に出ると、雨が降り出していた。・・・しかも大粒の雨で土砂降りに近い。昼間はチャイロマルバネ探索を行おうと思っていたので、予報では雨だと分かっていながらも、降り出してしまった雨に対して無念さが募る。・・・そうは思っても他に行う事が無いので、予定通り目星を付けて置いた山に向かう事にした。
山に到着したものの雨足は一向に衰えない。普段だったら、うるさいくらいのセミの鳴き声も全く聞こえない。この状況下でも他の採集者の姿は確認できるので、今年は例年以上に採集者が多く訪れているのかも知れない。昨年、雨の中でもチャイロマルバネを確認する事が出来たので、それを思い出しながらテンションを上げて行く。
しかしチャマルが落ちているかも知れないと思っていた側溝は、大雨によって水の流れが出来るほどになっていた。・・・これでは厳しいかも知れない。それでも側溝の壁によじ登っている個体がいないか確認をしていく。
暫くするとジャングルの奥の方から「ギャーッ! ギャーッ!!」と獣が叫ぶ声が聞こえるので、何なのか?と思い、声のする方を目を凝らして観て行くと、大きな「ヤエヤマオオコウモリ」が2頭確認できた。何で叫んでいるのかは全く分からないが、とにかく声が大きいのでうるさい。
チャイロマルバネと言えば“ススキ”という訳で、林道沿いに生えているススキもチェックしていく。個人的には“ススキに付いているチャイロマルバネ”という画像を何とか撮影してみたい。気温も低くなり始め、可能性は低いかも知れないが諦めずに探索を続けていく。
ズボンを見ると植物の種が多く付いている。この種は昨日の与那国島でも多く見られ、そして嫌になるほどズボンに付いていた。厄介なのは種を手で払いのけようとすると、半分は取れるのだが、残りがズボンに食い込んで取れなくなってしまう。植物から見れば“子孫繁栄の生きる為の知恵”なのだろうが、腹が立つほど取れにくい。一度気になり取り始めてしまうと、かなりのタイムロスになってしまう...。
・・・結局、昼間はチャイロマルバネを確認できなかった。長く探索をすれば良いという物ではないので、一度宿に戻り仕切り直しする事にした。
・・・夕食を取った後に再び山に向かう。どうやら雨は上がった様である。 今日の八重山遠征、最後の夜になるので出来る限り知っている箇所を回ろうと思う。まずはルート的に行きやすい場所からにする。ポイント周辺に来ると既にレンタカーが多く停まっている。やはり今年は例年以上に採集者が多く入っているのだと実感する。自分もレンタカーを停めると、近くに採集準備をしている採集者達がいる。林道に入る際、彼らの目の前を通るので一応挨拶してみると、聞き覚えのある声が聞こえた。私は思わず「 I さん?」と尋ねてしまった。すると先方も「あれ?魔琴さん?」と言う様な返事が返ってきた。何といつも買い物なのでお世話になっている六本脚の I さんだった。考えてみれば 六本脚の I さんとは、2年前の奄美大島でも偶然お会いしたり(この時はお互いを知らないで)、お互い東京に居ながら、離島で出会うが多かったりしている。 ほんの挨拶代わりにお話した程度だが、六本脚の I さんは既に成果をあげられている様であった。今思えば2004年の奄美大島遠征で、六本脚の I さんにお会いしてアマミミヤマを見せてもらっていなかったら、昨年から今年の奄美大島でのアマミミヤマ探索にしても、ここまでハマってなかったかも知れない。やはり採集者として不思議な縁をここでも感じた。 とりあえず六本脚の I さんとは、ここでお別れして“へっぽこ”流に探索を開始していく。と、言っても既に先行者が入っている様なので、可能性は低いかも知れない。但し、一昨日の様に“採りこぼし”があるかも知れないので念入りにシイの樹を確認していく。
暫く探索を続けていくが、今日も蛙が多い。・・・ヤエヤママルバネは一向に見付からない。・・・少し考えてみる。「一昨日よりも採集者が多いのは事実。少し見回りをしたら別の場所に移動してみよう。」 今日の場合、多くの場所を見回ってみたいと思っていたので、この後 一昨日にヤエヤママルバネを確認した場所周辺に移動する事にした。
とりあえずは移動を行い、再びヤエヤママルバネの探索を続ける。気が付けば今日は全く「オオシママドボタル」の姿を見掛けない。何故だろう?気温や湿度のせいだろうか?昼間に下見を行ったことのある場所なので、少しだけ薮の奥に行ってみる事にした。するとその途端、急に大雨の粒が落ちてきた。南西諸島特有のスコールか?それとも昼間の雨雲が再び影響を及ぼしているのだろうか?幸い森の中なので樹の葉が傘代わりになってくれてそれほど濡れる事はない。・・・マルバネは雨が降るとあまり活発に動かなくなると書物で見た事があるが、どうなのだろう?
太く良いシイの樹が点在するので確認していく。・・・すると、目の前に“明らかに良くない”物体の気配を感じた。 ・・・ホント、目の前にヘビが潜んでいた。・・・正直、驚いた!! ヘビも驚いて逃げていったが、しかしこれが毒性のサキシマハブで、もしそれが襲い掛かって来たらタダでは済まなかったかも知れない。やはり山では細心の注意を払わなければならない。事が起こってしまった後では、後悔しても遅いのである。
改めて“夜山の恐怖”を味わい、いつも以上に腰が引けてしまった...。その後、場所を変えながらヤエヤママルバネを探索していったが、結局確認する事は出来なかった。どういう訳か、石垣島でのテンションがイマイチ上がらなかった。今日から連休という事もあって採集者の数が多かった事もあるが、どちらかと言うと昨日の与那国島の余韻が残っているのか、スイッチが上手く石垣島に切り替えられなかった気がする。・・・確かに昨日のヨナグニマルバネ探索は、良い経験になったし、思い出深いものになった。しかしせっかく石垣島に来ている以上、気持ちを入れ替え石垣島探索に集中しなければならないだろう。後になって「あの時しっかり探索して置けば良かった...。」という事の無い様にして行きたい。 明日は八重山遠征の最終日。今年最後の探索となるので、飛行機までの限られた時間を精一杯、チャイロマルバネやサキシマヒラタの探索を行いたい。 成績:ボ〜ズ |
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