2015年5月1日、石垣市条例で、チャイロマルバネクワガタとヤエヤママルバネクワガタとヤエヤマノコギリクワガタは採集禁止となりました。 下記、採集記は規制以前のものです。 |
2006.10.15(日)へっぽこ遠征in八重山列島(3日目) 沖縄県・与那国島→石垣島 1:00PM 晴れ 27℃ (暑い) 与那国島遠征、最後の朝。 目を覚ました後、暫く何もする気にならずボンヤリと時間を過ごす。正直な所、2晩やってヨナグニマルバネに出会う事が出来なかった事実は重い。他の離島遠征と違い、“与那国島だからこそ”という意識が強く、昨年の10月に初めて与那国島に遠征して以来、今回の遠征まで、事あるごとに与那国島の事ばかり考えてきた。
・・・だが、今回もヨナグニマルバネを確認する事なく、与那国島を後にする事になった。 ・・・無念。
今日は東京に戻る日であるが、経由地の石垣島で少しでも探索する時間を作ろうと思い、朝一で石垣島行きに搭乗する。石垣島発の時間を夕方にする事で、半日は探索する時間に当てられる。ヤエヤママルバネは無理であるが、運良くチャイロマルバネの確認が出来ればという思いである。
飛行機は、ほぼ定刻通りに出発する。・・・離陸後、与那国島が段々と小さくなっていく。 ・・・ヨナグニマルバネは、「簡単に見付けられるほど楽なクワガタではない!」という事は百も承知である。ただ、もしその難しいクワガタを見付ける事が出来た時、その時どんな事を感じるのか?今まで気が付けなかった事に気が付けるかも知れない...。ヨナグニマルバネを探しながら、自分探しのその様な気がしていただけに、その答えを出せず残念であった。
離陸後、窓の外は“美しい蒼色”になった。与那国島〜石垣島までは100km程度なので、飛行機の高度も上がらず進んで行くので、天候が良ければ美しい大海原を見続ける事が出来る。
与那国を発って時間にして約30分程度で石垣空港に到着する。石垣島に到着した以上は、チャイロマルバネ探索に専念したい。予め手配しておいたレンタカー屋に向かい、手続きを済ませハンドルを握る。
すぐにでも山に入りたい所だが、与那国島では満足に食事を取る事が出来なかったので、石垣島には数店舗あるコンビニへ向かう。せっかくなので「八重山そば」など温かくて美味しいものを食べても良かったのだが、夕方の飛行機の便まであまり時間が無い事と、コンビニの「ポーク玉子むすび&金ちゃんヌードル」を食べたかったので、購入した。・・・どうも自分にとっては、この組み合わせが定番の“南国定食”になっている。
“南国定食”を完食後、山に向かう為に車を走らせる。 ・・・・・!? ????? 山の様子がおかしい!? 遠目で観ると“紅葉”している様に窺える。・・・この南西諸島に、本土の様な紅葉は無いはずである。 ・・・と、なると、赤く見える原因は一体何なのだろう?
とりあえず入山する。・・・すると直ぐに「クロカタゾウムシ」が確認できた。何ともユニークな体型をしている虫で、“ひょうたん”や“鉄アレイ”などのニックネームもある様だ。この虫は石垣島であれば良く見かける虫だが、確認する事で“より石垣島を実感”する事が出来る。
気になっていた山の状態であるが、赤く見えていた理由は“樹が枯れていた”事であった。何となく想像はついていたが、何故これほどまで枯れている樹が多いのだろう?もしや最近懸念されている“山の乾燥化”が原因なのだろうか?それとも何か別の要因があるのだろうか?どちらにしても山にとって良い状態であるはずが無い。・・・とりあえずは歩を進め、探索を開始することにした。
・・・しかし、先程のクロカタゾウムシ以外の虫を殆ど見掛ける事が出来ない。それにしても、蝶の姿を殆ど観る事が出来ない。昨年の今頃は、アサギマダラなどの美しい蝶が乱舞する状況であったので、目の前の現状に戸惑いを感じてしまう。・・・やはり、何かがおかしい!?
それでも暫く林道を探索していると、1人の採集者と思われる方が近寄ってきた。「どうですか〜?」と声を掛けられる。自分は昨年と今年の状況の変化を伝えながら、逆にその方に現状の理由を尋ねてみた。すると、その方は「今年の台風13号の直撃で、海の潮が噴き上げられ、それが強風に乗って島全体に降り注いだ事で、塩水を浴びた山の樹は枯れてしまった...。」と言う。 いわゆる塩害というものだろう。噂には聞いた事があったが、まさか目の当たりにするとは思ってもみなかったので、塩害の被害にショックを受ける。山を遠目で見て紅葉している様に見えるという事は、かなりの樹木が被害を受けてしまったという事だろう。・・・その方と話を伺っていると、福岡県の方らしく、毎年この時期には虫全般で石垣島に訪れているとの事であったが、こんな酷い状況の石垣は初めてだと言う。特に蝶が壊滅状態で、成虫になる前の段階で「塩漬けになってしまった!」と嘆いておられた。その話を伺い、この蝶の少なさが理解できた。 因みにチャイロマルバネも全く採集できていないと言う。その方は1週間前から石垣島入りしているが、成果が全くでないので予定を切り上げ福岡に戻ると言って、その場から立ち去っていった...。 確かに東京のニュースでも、台風13号が石垣島を直撃し“車がひっくり返るほどの強風が吹き荒れ、多大なる被害が出た...。”と耳にしていた事を思い出した。・・・簡単な言葉で片付けられないが、決してテレビの向こう側の話ではなく、何かが起こった場所には足を運ぶことで、その重大性を実感できるものだと改めて感じた。・・・実は市街地でも未だにブルーシートを被った建物もあり、被害からの復旧に時間が掛かっている事が窺えた。 クワガタ採集として“へっぽこ”ながらも、足を運ばなければ分からない事は、まだまだ数多くあるのだろう。 気が付くと、目の前には美しい石垣島の海が広がっていた。南西諸島の海は皆、蒼く美しいが、地元の人達は“この石垣島の海が一番美しい”と言っている。確かにいくつもの南西諸島の海を見てきたが、石垣島の海は本当に美しい。
この後、場所を変えながら暫く探索を続けたが結局、クワガタらしい姿は全く観る事が出来なかった。チャイルマルバネやサキシマヒラタを期待しながら、昨年確認した場所なども念入りに探索したがダメだった。・・・2006年のチャイロマルバネの発生状況は、どうなのであろう?年によって発生状況が大きく異なるクワガタなので、今年の状況が気にはなる。・・・ただ今年の塩害の状況も踏まえて、石垣島の生物にとってはかなり過酷な状況であろう事が予想される。この状況下でヤエヤママルバネは発生してくるのであろうか?
結局、夕方の飛行機の時間まで探索し続けたが、結果は厳しい現実だけであった。予定では11月に2006年最後の遠征を行なう予定があるが、今回の与那国島での完敗...。そして石垣島での大自然の驚異...。
・・・この状況から見て、11月の遠征も厳しい状況が待っているのかも知れない。 成績:ボ〜ズ |