2007年年4月1日より、神津島動植物の保護に関する条例第4条第1項、第5条第2項及び同条例施行規則第4条第2項に基づき、ミクラミヤマクワガタは採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。 |
2006.05.14(日)へっぽこ遠征in伊豆諸島(3日目)
・・・とりあえず朝食にする。 宿の女将に窓から見える海を見てもらう。 ・・・すると女将は 「波が高いのでこっち(前浜港)は来ないでしょう(笑)」 ・・・笑顔で言えば良いものではない。 そして・・・
・・・残された時間は少ない。朝食後すぐにレンタバイクを借り、林道へ向かう。昨日の様な大雨ではないものの、やはり雨が降っているせいもあって林道には虫の姿が無い。時折、落ち葉などを退かしてみるが偶にオサムシが現れる程度で、クワガタが出てくる様な雰囲気は感じられない...。
とにかく様々な場所を探索していく。すると“ブゥーン!”とエンジン音がする。・・・ドルニエ機だった。まさかこの天候でセスナが飛ぶとは思ってもいなかったので少々驚いた。このクラスは少しでも低い雲が出ていると“すぐに欠航”がお約束だと思っていた。とりあえず神津島まで飛んで来ているという事は、この後の天候が回復するのを意味しているのかも知れない。
その後探索を続けていると落ち葉の下から「オオヒョウタンゴミムシ」が姿を現した。この虫が何だか良く分からないが、先日のミヤマ☆仮面さんと神津島に訪れた時にも確認している。大きなキバを持っているのでクワガタかと見間違えそうになったが、紛らわしい虫だ...。
可能性を信じて崖の穴なども確認していく。本音としては何とかミクラミヤマの♀を確認してみたい。♂は日中晴れていて気温が上がるなどの条件が揃えば、ある程度の個体数が確認できそうな見通しはついたが、♀は全く見る影も無い。“アマミミヤマの♀ほど見つけ難くは無い”と想像しているが、現実はそう簡単には事が進まない。
雨の中、ある程度時間を掛けて探索を続けたが全く成果が無い。腹も減ったので、少し早めに神津ストアに行きパンを購入する。何だか終了モードになってきた...。
諦めムードの中、食事をしていると先程より空が明るくなってきた感がある。それと同時に雨の小降りになってきた。しかしジェットフォイル出航の時間を逆算すると、残り30分がリミットだろう。・・・少々迷った。昨日からの流れから見て、どうみてもミクラミヤマは活動してしてないだろう。しかし先月、ミヤマ☆仮面さんと来た時は“残り時間3分”でミクラミヤマを確認できた。ただ、残り30分と言ってもポイントまで往復する時間を考えると、林道を一往復しか出来ないかも知れない...。 ふと思った。「そんな事考えている位なら、一往復するだけして納得して諦めよう...。」
半ば諦めながらも原付で林道を流し始める。・・・すると、道端を歩いている甲虫が目に入った。驚いてブレーキを掛ける。それは良く確認するまでもなく、雨で濡れている林道をミクラミヤマ♂が元気に歩いていた!「よくぞ、居てくれた!」そう思うと共に“雨が降っていてもミクラミヤマは活動している”という確認になった。自分は全く実績も経験も無いのに、勝手に判断してしまう悪い癖がある。・・・今回もそうだった。雨降っているから居ないだろうと“自己判断”で物事を決め付けていた。自分の悪い癖に気付かせてくれたミクラミヤマに感謝したい。
少しすると雨は完全に上がった。気温も上がり始め路面も乾き始めた。先程のミクラミヤマを確認している以上、残り時間は限られているが「絶対に居る!」と思い込みながら探索していく。
原付の目の前に、路面を歩く物体を確認した。すぐにそれと判る。ミクラミヤマ♂だった。出て来ない(タイミングが合わない)時は、全く確認できない事も多いが、タイミングが良い時はこの様な形で続けて確認できる事も多い。・・・ミクラミヤマは奥が深い。
・・・ここで時間切れ。限られた時間で、運良く2頭のミクラミヤマを確認する事が出来た。“諦めが肝心”という言葉がある反面、“諦めたらそこでお仕舞い”という言葉もある。ものは言い様だろうが、結局は自分次第なのだろうという事を強く感じた。 レンタバイク屋に返却する為に山を下りる。心地よい風を切りながら、山の合間から見える美しい海に向かって「ありがとう!」と叫んでしまった。
レンタバイク屋のご主人にお礼を言って別れを告げる。昨年から3度目の神津島なので、レンタバイク屋のご主人と奥さんとは随分親しくなった。これも人とのふれあいであるし、お互いの信頼関係が築けていれば大抵の事は何とかなると思う。この先いつまでもミクラミヤマを確認できる美しい島であって欲しい。
神津島は自分にとっても“特別な島”である。「是非またこの美しい神津島に訪れてみたい。」と思う気持ちを胸に、神津島の全てに感謝し島を後にした。
悪天候の為、神津島を随分早く出航したのは仕方ないが、時間調整として伊豆大島で約2時間ほど足止めを喰らってしまった。・・・時間をもてあましても仕方が無いので、大島に上陸し近場の山へ歩いて行ってみたが、時期的に樹液は出ているはずもなく何も確認できなかった。大島は神津島と違ってかなり観光地として整っている場所だと感じる。島内ではタクシーも多く走っており、食事が出来る場所も多い。機会があればイズミヤマの探索に来てみたい。
出航までもう少し時間があるので港の食堂で「べっこう寿司」を食べてみた。“目鯛を青唐辛子醤油と酒タレに漬け込んだ”ピリ辛寿司で、非常に美味だった。個人的に神津島の「島ずし」より、こちらの方が自分に合っている。・・・観光だけなら大島の方が過ごしやすいと思う。
結局、13時に神津島を出て竹芝に着いたのは19時近かった。 ・・・“時間を買うなら”飛行機だ。 成績:ミクラミヤマ♂×2 (あいあんさんの研究用として持ち帰り) |