ご注意!

2015年5月1日、石垣市条例で、チャイロマルバネクワガタヤエヤママルバネクワガタヤエヤマノコギリクワガタ採集禁止となりました。   下記、採集記は規制以前のものです。


2005.11.13(日)へっぽこ遠征in八重山列島(3日目)
沖縄県・石垣島 8:45AM 雨 25℃

石垣島遠征、最後の朝。

・・・やはり朝食のレベルは低かった。どちらにしても昨晩の疲れもあってか食欲が湧かない。部屋に戻り窓の外を見ると、昨日よりも強い雨が降っている。時間が勿体無いので、とりあえず宿をチェックアウトし山に向かう。・・・夕方の飛行機の時間までそれなりに時間はある。本来であれば制限時間いっぱいまでチャイロマルバネ探索をしたい所であったが、今日も天候の回復は見込めない様である。山には低い雲が掛かっている。

山には低い雲...
山には低い雲...




山に入ってみたものの強い雨の為、なかなか車を降りての確認が出来ない...。しかし車の中から観るだけでは確認に限度があるので、合羽を着込みルッキングを強行する。とにかく今日しかなく、時間も無い。後ろ向きな事は言ってられない。

山に入る
山に入る



大粒の雨の降る中、可能性に掛けて確認を続けていくと何か黒い物体が見えた気がした。何とサキシマヒラタ♀であった。早朝とはいえ、明るい時間帯にまさかチャイロマルバネ以外の“夜行性クワガタ”が居ると思わなかったので、「・・・なにか適当な甲虫だろう」と勝手な判断をして、良く見もせず立ち去る所であった。正直な所よく居てくれたと思う。おそらく夜間徘徊していた個体がそのまま朝を迎えたのだろう。強い雨の中、夜通し歩いていたせいか随分と元気が無くなっている様である。それでもそこに居てくれた事に感謝したい。

石垣島・サキシマヒラタ♀
石垣島・サキシマヒラタ♀



まさかのサキシマヒラタ確認に気を良くしてルッキングを続ける。人というものは現金な者で、今まで強い雨が降り続けている事で「勝手に無理。」と判断していたが、1頭クワガタを見つけると急に「他にもいるかもしれない」と前向きになってしまう。それはそれで現実的な考え方なのかもしれないが、もっと最初から居る居ない関係なく、採集に対して“持続性のあるモチベーションを保つ事”が今後の課題なのかも知れない。

・・・もっと居るかも知れない
・・・もっと居るかも知れない



「他にも居るかも知れない」とモチベーションを保ちつつルッキングを続けていく。その中で昨年も石垣島に来た際にも感じてた事だが、林道沿いのほど良い樹の幹や枝先には必ずといって良いほどコオロギが付いている。種類は判らないが丁度チャイロマルバネサイズの大きさなので、非常に紛らわしい。その数はかなりの頭数を数え、目を凝らして確認していく中で動く個体に標準をあわせると、その殆どはこのコオロギである。石垣島のコオロギはなぜ木登りをするのだろう...。地球の重力に縛られて欲しい...。

紛らわしいコオロギ
紛らわしいコオロギ



この石垣島にも綺麗なカメムシ?は居る様で、メタリックな個体が目に入った。これも名前は判らないがカメムシの幼生だと思う。普通、虫は保護色など“自分を目立たせない”格好をしているものだと思っていたが、南西諸島のカメムシはあえて目立つ格好をしている。・・・派手好きなのか?

メタリックな不明虫
メタリックな不明虫



そして今日も雨の中、数多くの蝶が舞っている。中でも一番多く目にする個体は「スジグロカバマダラ」であろう。リュウキュウアサギマダラと共にどこにでも飛んでいる。ふと、休憩がてらに蝶を観察していると、よく目にする個体以外にも山の尾根沿いをかなりのスピードで飛んでいる蝶もいれば、紫かかった美しい蝶もいる。専門家が観ればかなりの種類が存在するのだろう。

スジグロカバマダラ
スジグロカバマダラ


・・・その後も探索を続けたが、なかなか成果が出ないので昼にする事にした。ガソリン補充もあったので一度市街地に戻ったが、コンビニでポークおにぎりとカップラーメンを買い込み、お湯を入れ駐車場で平らげる。いつも思うのだがこのカップラーメンは美味い。この「金ちゃんヌードル」は関東地方では売っている店がない。感覚的には関西方面や南西諸島でよく目にする。確か日本のカップラーメンランキングでは、かなりの上位に入っていた気がする。

昼食の金ちゃんヌードル
昼食の金ちゃんヌードル




昼食後すぐに山に戻る。とりあえず午前中とは別の山に入ることにした。雨は一向に止む様子は無い。・・・雨の日はチャイルマルバネの活動が鈍ると聞いているが、“鈍るだけで出ない訳ではない”と自分に言い聞かせルッキングを続ける。思えばこの遠征では、他の採集者の姿を昼夜問わず一度も見ていない。確かに11月中旬になるとチャイロマルバネやヤエヤママルバネの発生時期としては遅いのだろう。しかしあえて発生ピークをずらして遠征している以上、それは承知で行なっている事である。自分の場合は技量が無い分、汗をかくしかないタイプだと思っているので余計な事を考えずに足で稼いで行く。

とにかくルッキング
とにかくルッキング



時間も飛行機の時間まで残り僅かとなってきた。ここまでかなりの箇所を確認してきたが、今朝確認したサキシマヒラタ以降全く雰囲気が無い。気温もあまり上がらないせいか、晴れた日に多くいるはずのキノボリトカゲの姿も殆ど観掛けない。


正直な所、もう厳しいと思っていた。雨も止まず、気温も上がらず...。「あと30分確認してダメならレンタカー屋へ戻ろう。」と感じた瞬間、側溝に赤く光る物体が見えた。

ああっ!!
ああっ!!



チャイロマルバネ♂だった!状況から見てもうダメだと思っていたので、この確認は本当に嬉しい!今年最後の採集で、残り時間あと30分という所でこんな嬉しい結果が出るとは思わなかった。初日にチャイロマルバネ♀の姿は確認していたものの、元気なチャイロマルバネ♂の姿はヤエマルとはまた別の趣があって感動する。何より赤茶色に輝く個体の姿は、遥々東京から遠征してきた疲れを一瞬で吹き飛ばしてしまった!!

石垣島・チャイロマルバネ♂
石垣島・チャイロマルバネ♂



チャイロマルバネ♂の採集をした直後、雨はいよいよ本格的に降り出し、雨合羽では辛くなるほど強さを増した。何というか勝手な解釈のなるだろうが、このチャマル♂は今年1年間の締めくくりとして“採らせて貰った”感じがする。それほど絶妙なタイミングだった。

大雨状態...
大雨状態...




結局、残り時間は雨が止まず時間切れとなってしまった。しかし気持ちは充実感に浸っている。“たかがチャマル1頭”かも知れないが、私にとっては思い出に残る“されどチャマル1頭”となった。帰りの飛行機の時間が迫ってきたので山を降りてレンタカー屋に向かう。皮肉にも帰ろうと思った頃に雨は止み、美しい夕日を窺う事が出来た。その夕日は今まで見た事も無いほど眩しく美しいものであった。自分のとって思う様に行かなかった遠征であったが、石垣島に来て良かった...。

感動的な夕日
感動的な夕日



・・・また来年、来れるのだろうか?



成績チャイロマルバネ♂×1 サキシマヒラタ×1
(チャイロマルバネは、あいあんさんの研究用として持ち帰り。サキシマヒラタはリリース)

嗚呼、2006年の樹液シーズンが待ち遠しい・・・。

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