2005.06.10(金)へっぽこ遠征in奄美群島(1日目)
東京からの行き方は、やはり飛行機という事で羽田空港からとなる。今までは、空港まで電車(京浜急行)で行っていたのだが、今回は車で最寄の駐車場に停めていく事にした。この選択が、最後の最後で「大誤算」を招く事になろうとは...。 天候は曇りであるが目的地の沖永良部島は晴天との予報である。飛行機もジェットクラスになれば、そうそう「天候不良」で飛ばない事は無いだろう。やはり先週の神津島遠征中止は辛かった...。何はともあれ、順調に飛行機に搭乗する事ができた。羽田から直行便は無いので羽田空港→鹿児島空港→沖永良部空港という乗り継ぎになる。滑走路上にて機内アナウンスが流れる。「ただいま、滑走路が込み合っております。」と。滑走路の曲がり角に来た際に後ろを見てみると、飛行機が渋滞していた...。
暫く待つと“飛行機渋滞”を抜け、飛び立つ順番が来た。ジェット音が上がり、一気に加速し離陸する。「アムロ行きま〜す!」&「Gがこんに凄いなんて!!」という気分になる。いわゆるハイテンション状態だ。因みに私はオールドタイプである。
羽田空港を離陸してから1時間30分ほどで鹿児島空港に着いた。殆ど寝ていたのであっという間であった。次の沖永良部空港行きの乗り継ぎ時間まで、1時間以上ある。昼時だったので昼食をとる事にした。いくつか店があったので回ってみると「鹿児島名物・黒豚」のステーキがあり、それが一番そそられたので食べてみた。奮発した割には...。
沖永良部空港行きの便に搭乗する時間が来た。歩いて飛行機に搭乗する。この辺りも羽田空港と違い、遠方に来た感があり楽しい。更に、搭乗する機体は「YS−11」というプロペラ機で、戦後初の純国産の旅客機であった。以前「プロジェクトX」にて、その完成秘話を観ていたので、その歴史を考えると少々感動を覚えた。
「YS-11」が鹿児島空港を離陸して更に1時間30分、遂に沖永良部島に着いた。天候も東京と違い快晴だ!上がるテンションを抑えきれない。早く探索したい。とにかく必要以上に急いでレンタカーを借りに行く。
レンタカーを借り、とりあえず宿泊地にチェックインする為に宿へ向かう。途中、海が見えた。やはり南国の海は蒼い。非常に気分が良い!が、早く山に行きたい気持ちの方が強い。
宿でチェックインを済ませ、山に向かう。沖永良部島は限られた山しかないので、そこに目星をたててみる。それほど高い山は無い様である。また、南国で一番怖い存在である「ハブ」は、何故かこの沖永良部島には生息しないらしいので、気にせず林床にも入れる様だ。
林道を歩いてみると蝶の多さに驚く。昨年に遠征した石垣島でもそう感じたが、沖永良部の蝶の多さもハンパではない。絶えず視界の中には蝶が入ってくる。特に良く見かけるタテハチョウは、美しい紫色の模様が特徴的である。
ついつい色々な場所が気になり、寄り道をしてしまう...。 時計を見ると16時を回っている。トラップを仕掛けなければならないので、その準備を行う。トラップ作成は昨年遠征した、奄美大島以来の2度目となる。前回はバナナに焼酎をかけたが発酵が足りないように感じたので、今回は事前に2日近く焼酎の中にバナナを漬け、密閉した容器の中で日の当たる場所にて熟成させてみた。まぁ何と言うか、この方法が当たっているのかは分からないが、良いものであれば結果が伴うであろう。トラップの数は、10個程度の少ない作成となった。
林道付近の思う所に仕掛けていく。匂いだけなら充分に効きそうに感じる。今まで一度も“へっぽこトラップ”に、クワガタが集まる光景を目にしていないので、願いを込めながらのセッティングとなる。1頭で良いので来て欲しい。
・・・トラップの仕掛け終わり、一度宿に戻り夕食をとる事にした。
辺りが暗くなり夕食をとった後、外灯を回る事にした。雰囲気のありそうな外灯や自販機を確認していく。コガネムシやカメムシはそこそこ居るのだが、クワガタの姿は無い。気がつけば日が暮れた後は、かなり涼しい。長袖のシャツ一枚では少々寒いと言っても過言ではない。予想ではかなり蒸し暑いと思っていただけに、いきなりのヤバさを感じる。
他にも甲虫の姿が無いか周辺をチェックしていくと、自販機の近くに数頭の小さな甲虫が集まっている。見た感じ“小さな黒い虫”程度の印象しか受けなかったが、何となく“日本最小のカブトムシ”と言われる「クロマルコガネ」に似ている気がした。クロマルコガネと言えば“トカラ列島の宝島にしか生息してない”と認識していたが、この種を特に追い掛けている訳でもないので、勝手に「違うだろう...。」と判断してしまった。 (追記)・・・しかし、後日「BE-KUWA17冬号」にて近年、沖永良部島にてクロマルコガネの採集例があることを知って、確信に変わった。何と言うか過去に採集例が無いと思い込み、勝手な判断をせずに、疑問や興味の湧いた事はどんどん調べるべきだと感じた。また、採集活動をしている限り“へっぽこ”であっても各所に可能性はあるのかも知れないと今後のモチベーションにも繋がる気がした。
何箇所か時間を掛けて回ってみたが、大型の甲虫の姿は無い。やはり時期が早すぎたのだろうか?そう思うと、いつもながら事前にもっと調査しておけば良かったと後悔する。そんな中、車を走らせていると薄暗い外灯が近づいてきた。流石にこんな場所には来ないだろうと思いながらも、何らかの成果を期待しながら車を止めた。すると薄暗い外灯の割には蛾が多く集まっている。近くの壁には蛾を求めて集まっている蜘蛛が居て、更にそれを狙うヤモリの姿もある。「う〜む、これが食物連鎖か...。」と、今更ながら感心してしまった。 周辺を見渡すが、やはり甲虫らしき姿は無い。次の場所へ移ろうかと思い始めた頃「ブ〜〜〜ン♪」と聞き慣れた、大型甲虫の羽音が聞こえてきた。反射的に「カブトムシかよ...。」と感じた。しかし「沖永良部島にカブト居るのか?」という疑問も同時に出てきた。どちらにしてもボ〜ズよりは良いと思い、羽音のする方向に懐中電灯を当ててみた。やはりカブトらしき個体が飛んでいる。その個体は近くの壁のあたりで羽音が止まった。近くに寄って懐中電灯を当ててみる。すると...。その主は、カブトはカブトでもタイワンカブトであった。初めて目の当たりにしたタイワンカブトだったので、想像以上に大きく感じた。本土の“通常カブト”と大きさはそれほど変わらないが、やはり角の形状が全く違うので雰囲気の違いを感じる。手にとって腹側を観るとアカアシの様に赤い。初めてのタイワンカブトだったので嬉しかった。
俄然やる気が出てきた!タイワンカブトが来る外灯なら、クワガタも期待できるのでないかと思い、更に念入りに周辺をチェックしてみた。・・・すると、大型のクワガタが...、死んでいた。オキノエラブヒラタなのか?
手にとって裏側を見てみると、“噂の微毛”が確認できる。間違いなくオキノエラブヒラタである。いつも通り、亡骸からのスタートとなったが、発生しているという事が判っただけでも大きな収穫である。ノギスをあててみると50_を示している。南国のヒラタは大きいと聞いているが、自分から見ると50_でも充分に大きく感じる。ただ、お約束ながら、元気な時に遇いたかった...。
こうなると元気なオキノエラブヒラタを確認してみたい。明るい内に仕掛けたトラップが気になるので、確認しに行く事にした。数は少なく、それほど広範囲に仕掛けていないので、確認に時間は掛からないだろう。奄美大島の時は“わかりにくい場所”に設置した事で、自分自身がどこに設置したか分からなくなるという“超へっぽこ大失態”を犯してしまったので、今回は夜になっても“わかりやすい場所”に仕掛けた。 予定通り、今回は暗くてもトラップの位置は容易に場所が判る。一つ、二つ、三つと確認していくが...、甲虫らしき姿は無い。付いているのは大量のカタツムリだけである。一つのトラップに、20近くのマイマイが居る光景は当然気持ち良いものではない。しゃくに障るのでマイマイは全て排除した。・・・結局、全てのトラップを見回ったが結果は伴わなかった。とりあえず初日なので明日以降に期待しようと気持ちを切り替え、今一度トラップを見回りながら、周辺の樹木を確認して行く事にした。 ・・・すると二つ目のトラップを仕掛けた樹の樹上に、何か“黒い物体”が動いた様な気がした。 懐中電灯を当ててみる。すると明らかに2頭の大型甲虫が、洞に駆け込む姿があった。いくら“へっぽこ”でもこの状況判断は出来る。間違いなくクワガタである。しかしながら樹上のクワガタは、こちらの存在に気がついた様で、地上3メートルほどにある洞奥に逃げ込まれてしまった...。 ・・・暫し呆然としながら対策を練る。 正直な所、状況は良くない。懐中電灯以外は持ち合わせていないので、頭上にある洞はどうしようもない。今一度、懐中電灯で洞を確認してみる。・・・状況からいってオキノエラブヒラタだと思うが、僅かに見える洞の中の個体は、大顎が随分と湾曲している様に窺える。洞の中に居る状況を考えるとノコという事は考えにくいのだが、ノコをイメージしてしまう。こうなるとどうしても確認してみたい。 ・・・自分の身長より1メートル以上高い位置に洞はある。「そうだ!レンタカーの屋根に上れば洞に手が届く!」 そう思ったと同時にレンタカーの屋根に上った。一応、借り物なので体重で屋根が凹まない様に気をつけながら、立ってみる。すると、ちょうど目の高さに洞が位置した。洞の中を覗いてみる。しかし“謎クワガタ”は今まで以上に奥に入ってしまった...。掻き出し棒を使用して格闘を始める。
しかし、どんどん奥に入ってしまい、全く見えなくなってしまった。・・・残念。これ以上無理をして“謎クワ”を傷つけてもいけないので、諦める事にした。明日もあることだし、縁があればまた会えるだろう。
隊員の方々に本当に感謝しつつ復帰し、車を走らせた。流石に疲れたので宿に戻ろうと思った。・・・しかし、落ち着くと共に「この元凶は、あの“謎クワ”のせいだ!」と、勝手に思い込みだした。「許せん!!成敗してくれる!!」そう思ったら、また先程の洞のあるポイントまで車を走らせた。・・・程なくして到着した。今度はエンジンを掛けたまま停車する。流石に2度目のダークゾーンは許されない!先程の洞の辺りに、光を当ててみた。 !!!!! “謎クワ”が表に出てきている。しかも2頭とも出てきている。すぐにその内1頭は先程の洞に逃げ込んでしまったが、もう1頭は何故か枝の先端で戸惑っている様子である。
当然このチャンスを逃す手は無いので、またもレンタカーの屋根の上がり、慎重に成敗を試みる。 ・・・採れた!!(成敗!!) “謎クワ”の正体は、オキノエラブヒラタ♂であった。まさに執念の成敗であった。もう1頭の“超・元凶”は、またも洞の奥に入り込んでしまい、今日は断念した。また明日リベンジする事を胸に誓い、屋根から下りた。
すぐに車の様子を確認する。「エンジンは掛かっている。大丈夫だ!」・・・急に体中の力が抜けてきた。時計を見ると午前3時を回っている。流石に限界だ...。“元気”な車を宿に向かって走らせた。
沖永良部遠征の初日から、こんな状態で大丈夫だろうか?明日以降も不安だ...。 ・・・今日は1日が長かった。 成績:オキノエラブヒラタ♂×1 タイワンカブト×1 クロマルコガネ×1 (確認後、最終日に全てリリース) |
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