2019.09.11(水)
山梨県・某所 12:30PM 晴れのち雨 32℃ 同行者:Kazuさん

4年振りの山梨県。この数年の自身の病からの回復を考えると、今シーズン中にどうしてもKazuさんにお会いしておきたかった。Kazuさんのお仕事柄、週末関係なくお忙しいのだが、その中でスケジュールを合わせてくださって本日の探索が実現した。前回はサイトアクセス50万HIT記念として訪れた山梨県であるが、今回は奇しくも“へっぽこ採集記20周年記念”という節目でのお伺いとなった。

4年振りの山梨県
4年振りの山梨県



Kazuさんと合流後、まずは昼食から。これも心待ちにしていた“山梨県のかつ丼”である。東京の様な玉子でとじたタイプではなく、どんぶりにご飯、その上に千切りキャベツ、更にその上に揚げたてのカツが乗っている。メニューを見ると、東京で見る玉子でとじたカツ丼は「煮かつ丼」と表記してある。実に8年振りであり、そのお味は最高に美味しかった。

8年振りの山梨の「かつ丼」
8年振りの山梨の「かつ丼」



・・・当然完食する。お話を伺っていると、このお店は以前は夜も営業していたが、現在は店のご主人がご高齢の為、昼間のみの営業との事であった。更にKazuさんは私の為に事前に「かつ丼」を予約済みとの事であった。「わざわざ私なんかの為に...。」本当に頭の下がる思いであった。お店の方にもお礼を言って店を後にする。味もお気遣いも最高であった。




昼食後、採集地へと向う。久々の山梨県であるがKazuさん曰く、無くなってしまったポイントも数多くあるとの事であった。これは誰にでも経験があると思うのだが、10年、20年通い続けていた思い入れのあるポイントが消滅する喪失感と言うのは耐え難いものがある。

山梨県の風景
山梨県の風景



場所柄この様な看板も普通にある...。山梨県で採集する場合、Kazuさんは必ず“熊よけ鈴”を持参している。私も4年前にKazuさんに戴いた熊よけ鈴を持参している。

熊が出ます...
熊が出ます...



山梨県のKazuさんであるが、“クワガタ関連のハンドルネームでKAZUと使用している”方が、かなり居ることに気付く。軽くネットで調べてみると「千葉県・静岡県・大阪府・和歌山県・愛媛県・佐賀県」に存在している様で、他にもまだ居る可能性がある。私や他の採集者の方々も実際の会話の中で「Kazuさん」とは誰一人呼んでおらず、「Kちん」さんとお呼びしている。上記の方々と混同しやすいので、Kちんさんで統一した方が良いのだろうか?

もはやKちんさん
もはやKちんさん



雰囲気の良さそうなクヌギをチェックしていく。・・・しかし、以前には無かった人為的に幹に傷をつけられた場所が、かなり多く確認できる。しかもそこから樹液が出て虫が集まっているのだから、やりきれない思いがある。ボクトウガの幼虫が樹に穿孔して出る樹液とは全く違うのである。もちろん、この様な場所にオオクワガタは居ない。

こわいスズメバチ...
こわいスズメバチ...



この樹も人為的に傷をつけられている...。そこに黄色いストローのゴマダラチョウが来ていた。・・・???、何となく今まで見てきたゴマダラチョウとちょっと翅の模様が異なる気がするのだが、もしかすると最近増えている外来種のアカボシゴマダラなのだろうか?

アカボシゴマダラなのか...?
アカボシゴマダラなのか...?



やっとコクワ♂が確認できた。・・・この樹も人為的に傷をつけられているのだが、写真を撮ってみて確認してみるのだが、やはり不自然さしか感じない。この周辺を傷つけたのは同じ人物だと思われるが、夜になるとここにオオクワが来ると思っているのだろうか?

山梨県・コクワ♂
山梨県・コクワ♂



・・・この周辺は殆ど似た様な状況(人為的に傷つけられている)ので、場所を移動する事にした。


こちらの場所は先程の場所と違い、あちらこちらにクモの巣が張っており、あまり人の入った形跡のない良い環境が整っている。台場クヌギも多数確認でき“山梨県らしさ”を充分に感じられる。

台場クヌギの本場
台場クヌギの本場



早速、雰囲気のある樹皮めくれをチェックしてみると、ボクトウガの幼虫と共にスジ♂が確認できた。上記のコクワ♂とは全く異なる画である。これぞ樹液採集であり、あえてKazuさんはこの順番でルート設定してくれたと確信した。

樹皮めくれにスジ♂
樹皮めくれにスジ♂



その他にも雰囲気の良い樹皮めくれが多く確認できる。20年間クワガタの採集記を書いていながら、未だに樹液でオオクワガタを採集した事のない“へっぽこ”が言っても何の説得力も無いのだが、目線や樹の根元周辺にある洞や樹皮めくれには、そう簡単にオオクワは居ないと思っている。やはり脚立や木登りをしないと良い条件というのは、なかなか整わないのではなかろうか?

良さそうな樹皮めくれ
良さそうな樹皮めくれ



この樹皮めくれを覗いてみると、コクワ♂×1頭、コクワ♀×2頭が確認できた。やはり上記の人為的に傷つけられた樹液に集まるコクワ♂の画と、この様な場所で確認するコクワ♂では画力が違う。自分で自分を否定する様な発言になってしまうかも知れないが、過去の採集で南西諸島などフルーツトラップで確認したクワガタや東北地方でライトトラップで確認したオオクワガタも楽しいが、やはりクワガタは生態写真が一番美しい。自分にとって最終目標は、この先どれだけ時間が掛かるか分からないが“樹液場でのオオクワガタ撮影”である事を強く実感した。

樹皮めくれにコクワ♂
樹皮めくれにコクワ♂



・・・ここで土砂降りの雨になってしまったので、本日の採集を終了する事になった。




本日は4年振りの山梨県探索であり、食事・採集共に最高に楽しかったが、本当の一番の大きな目的はKazuさんとお会いする事であった。「へっぽこ採集記」を書き始めて今年で20年目になるが、当時は20代であったが、私も年齢的には50と言う数字が見え始めている。人生の中で20年と言うのは決して短くはない時間である。大人になってから本当に信頼できる関係を築ける人と言うのは、ほんの数名、具体的には2〜3人居るか居ないかだと思う。Kazuさんはその中に間違いなく入っているお方である。もうこれは作ろうと思っても作れる関係ではなく、言葉で語れるレベルではない。学生時代からの親友や毎日を共にする人にも言えない事を何年時間が空いていたとしてもKazuさんには、いやKazuさんにしか言えない相談もあったりする。しかもKazuさんは4年振りにお会いしたにも拘らず、それを既に想定して会話を用意してくれていたのである。この文章だけでは伝えきれないかも知れないが、私もこの数年病で苦しんできたが、人生無駄な事など1つも無いと思う。年齢的に50と言う数字が見えてきたからこそ、それを振り返ってそう感じる。“へっぽこ”というショッパイ採集記を20年続けてきたからこそKazuさんと出会えた訳であり、その存在に心底感謝申し上げたい。

まさにプライスレス
まさにプライスレス



・・・Kazuさんとの別れ際に「来年はあの林道行きましょう!」とのお言葉に1年間のモチベーションが保てる確信が持てた。


成績:スジ♂×1 コクワ♂×2 ♀×2
(確認後、全てリリース)

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