2012.07.21(土)
広島県・東部 10:00AM 晴れ 33℃(暑い) 同行者:身内

広島県遠征、2日目の朝。

本日がこの広島遠征のメインである。予定としては昼間は身内の山にて樹液探索と水生昆虫探索、夜はそのままHIDライトトラップを行うという、丸1日ドップリと広島を堪能できる。まずは身支度を整え出発する。・・・広島の市街地を抜け、目的地に向かってレンタカーを走らせる。

広島の朝
広島の朝




しばらく車を走らせ目的地に到着する。ふと水場に目をやると、東京では殆ど見掛けなくなってしまった、天然のメダカが数多く確認できる。

メダカ発見!
メダカ発見!



とりあえず、過去に何度かミヤマを確認している林を探索してみる。樹液の出る樹は毎年ほぼ変わらないので、実績のある樹を目指す。

探索開始!
探索開始!



以前ミヤマを確認した事のある樹に辿り着くと、いきなりミヤマ♂が確認できた。

いきなりミヤマ♂
いきなりミヤマ♂



すぐ近くの樹でもミヤマ♂♀の姿が確認できた。樹液に付くミヤマのペアという非常に良いシチュエーションであった。

広島県・ミヤマ♂♀
広島県・ミヤマ♂♀


・・・その後、身内と合流し“正式に探索許可”を得た山と田んぼにて探索を開始する。本日は終了まで身内もしくはその知り合いの山なので、気分的にリラックスして探索に集中できる。これは本当にありがたい。

身内と共に広大な敷地内を歩いてみる。畑で作業をされている方以外、外部から人は入ってこないので、離島探索の様な開放感にあふれている。

全て許可済み!
全て許可済み!



まずは水生昆虫探索。田んぼの用水路などで、タガメやゲンゴロウの姿を確認できればと網を入れてみる。因みに関東では“ひよせ”などと呼ばれる田んぼと並行して存在する溝は、広島県のこの周辺では“よこて”と呼ばれている。

広島では「よこて」
広島では「よこて」



網を上げてみると多くのマツモムシが入っている。驚いたマツモムシは、すぐに飛び去ってしまう...。

マツモムシ
マツモムシ



アカハライモリの幼生も姿も確認できる。普段なら成熟した個体を見掛けるのだが、この時期は小さな個体が多く確認できる。

アカハライモリの幼生
アカハライモリの幼生



ミズカマキリも確認できた。個体数はそれなりに居る様であり、タイコウチやタガメへの期待も膨らむ。

ミズカマキリ
ミズカマキリ



何度か網を入れていると、突然網がありえない重さに変わった...。驚いて上げてみると大きなカメが入っていた。甲羅の特徴を見た限りではクサガメの様である。この後も数頭のクサガメが網に入ったのだが、田んぼにこんな大きなカメが普通に生息している広島の自然にインパクトを受ける。

カメがネットイン!
カメがネットイン!



暫くするとコオイムシが確認できた。コオイムシが確認できるのであれば、タガメの可能性も高そうに感じる。

コオイムシ
コオイムシ



少し場所を移動すると多くのガムシが確認できた。同じラインのひよせでも、日当たりなど場所によって微妙に生息している虫が異なるのも面白い。

ガムシが多い...
ガムシが多い...



・・・多くの水生生物を確認できたが、目標としていたゲンゴロウやタガメは確認できなかった。確認した個体は全てリリースする。雰囲気は非常に良いので可能であれば、秋口に改めて訪れてみたいと思う。


水生昆虫探索を終え、身内の所有する山に向かう。ここも通常の採集者であれば、まず入らない様な場所に入り口があるため、落ち着いて探索する事が出来る。

身内の山
身内の山



逆を言えば、普段人が入らない場所だけに林道はない...。よって毎回山の斜面を藪漕ぎするのだが、これが非常に体力を消耗する。真夏の暑さもあり、汗が滝の様に流れる。60代後半の身内は慣れた様子でどんどん先に進んでいく。日頃の鍛錬の差を実感する...。

身内と藪漕ぎ
身内と藪漕ぎ



ありがたい事に身内は先週のうちにバナナを仕掛けてくれていた。コナラなどの樹の下にイノシシなどに食べられない様、金網などで樹の周囲を囲い設置されていた。

仕掛けてくれたフルーツトラップ
仕掛けてくれたフルーツトラップ



数箇所設置されていたバナナは良い状態であったが、残念ながらバナナトラップに直接クワガタの姿は無かった。それでも周辺にはスジ♀が確認できたので、場所を変えて設置すれば面白いかも知れない。

広島県・スジ♀
広島県・スジ♀



山の斜面を歩き目的地の到着する。この広島遠征の中でも一番の可能性を感じる樹液場である。人知れず山深い場所に存在しており、それでいて空間は広く、日当たりは良いが下草は手入れされている。そして何といっても“素晴らしい樹皮めくれ”が楽しみなのである。

ご神木に到着
ご神木に到着



クヌギの根元付近は大きな樹皮めくれが存在していり、樹液が滴り落ちている...。もはやこれで何も居ない方がおかしいと思えるほど、素晴らしい状況なのである。

凄い樹皮めくれ
凄い樹皮めくれ



高まる想いを抑えながら樹皮めくれを覗いてみる...。すると大きなヒラタが潜んでいるのが分かる。持参した掻き出し棒にて引っ張り出してみる。

大きなヒラタが潜んでいる
大きなヒラタが潜んでいる



大きなヒラタ♂が出てきた。樹液場でのドルクス確認は、非常にスリルがあり興奮する。今年もこの場所で大きなヒラタが確認できて嬉しい。

広島県・ヒラタ♂
広島県・ヒラタ♂



他の個体は居ないものかと確認していると、樹皮の隙間からヒラタらしき大顎が覗いている。樹皮を壊さない様、個体を引っ張り出してみる。

大顎が見える!
大顎が見える!



やはりヒラタ♂だった。先ほどのヒラタに比べると大きくないが、ヒラタは小さな個体であっても樹皮めくれの中で踏ん張り、かなりの力を感じた。

広島県・ヒラタ♂2頭目
広島県・ヒラタ♂2頭目



ヒラタ以外にはスジが多く確認できる。過去の探索でもこの樹では、コクワの姿を全く観たことがない。結果的に毎回ヒラタかスジが多く集まっているのだが、関東に住む自分にとって贅沢な場所だと感じる。この場で確認した個体を感謝と共に全てリリースする。

スジが多い場所
スジが多い場所



今回もこのクヌギを確認できて幸せだった。好条件の整っている場所なので「いつかはオオクワ...。」という夢を抱いているのだが、これだけ大きなヒラタが毎回居る場所だと逆にオオクワは難しいのかも知れない...。もしかするとヒラタが入る前の6月頃辺りが狙い目なのだろうか?周辺の樹液探索を含め、また来シーズンが楽しみである。

ヒグラシも多い
ヒグラシも多い


山を下り車に戻ろうとしたのだが、以前から気になっていた場所があったので立ち寄ってみた。田んぼ用の溜池が存在していたのである。確認してみると水草の多い非常に雰囲気のある場所だった。そこで身内にある提案を出してみた。その確認を行うためにも10月上旬にスケジュールを合わせてこの場所を改めて訪れてみたい。

ギンヤンマの抜け殻
ギンヤンマの抜け殻



ふと用水路を覗いてみると卵を背に乗せたコオイムシ♂が佇んでいた。過去の探索でもコオイムシを観てきたが、卵を背に乗せた♂は初めて確認する事が出来た。

卵を背負うコオイムシ♂
卵を背負うコオイムシ♂



車に戻ってみると、身内が畑から取って来たばかりのトマトを食べさせてくれた。最高に美味かった!!

山の幸
山の幸


昼の探索は充分堪能できたので、夜のライトトラップのポイントを探していく。数箇所の候補地を回ってみると、遠目にクヌギが確認できて、近場に田んぼの存在している素晴らしいポイントがあり、即決定した。この場所は初めての設置場所になる

今晩のレーザーポイント
今晩のレーザーポイント




HIDハンディライトを設置する。いつも通り5分もあれば準備は完了である。私がライトの準備をしている間に身内は持参したエンジン草刈機にて、邪魔な下草を刈って下さる。ここまでお付き合いして頂き、本当に恐縮する。

設置準備OK!
設置準備OK!



夜の帳が下りたのでコロニーレーザーを照射する。今晩は月齢も最高で、風もほぼ無風に近い。気温も高く蒸し暑く、これ以上ないシチュエーションだと感じる。ライトの周りにはすぐに大量の羽虫が集まってきた。

点灯と同時に凄い羽虫...
点灯と同時に凄い羽虫...



時間の経過と共に羽虫から、小さな蛾や甲虫が飛来し始める。過去の経験上、ライトトラップを開始してしばらくはクワガタの飛来は無いので、身内と世間話をしながらその時を待ってみる。

第一甲虫飛来!
第一甲虫飛来!



・・・照射を開始してから30分ほどで、大きな羽音が聞こえてきた。クワガタの飛来にしては少し早い気もしたが、大きな羽音だけに主が気になる。・・・落下した物体を見るとカブトムシ♀であった。・・・羽音が大きい訳である。

いきなり...カブトムシ♀
いきなり...カブトムシ♀



照射開始後1時間近く経過していたので、そろそろかと感じていると、良いタイミングでミヤマ♀が飛来した。予定通りに事が進み、身内は驚いている様子であった。それにしても広島県にてHIDライトトラップを敢行し、ミヤマの飛来があるとは普段以上に嬉しい。

飛来したミヤマ♀
飛来したミヤマ♀



ミヤマの飛来のすぐ後を追う様にしてノコ♂が飛来した。やはり何かのタイミングがあるのか?クワガタの飛来には一定の波がある様で、1頭飛来が始まると続けて飛来してくる気がしている...。

飛来したノコ♂
飛来したノコ♂



更に大型甲虫らしき物体が落下したので、驚いて確認してみるとガムシであった...。気が付くとライト周辺には数頭のガムシが飛来している...。田んぼの上空をライトが照射しているので水生昆虫も反応しているのだろう。ある意味思わく通りなのだが、とりあえずガムシ以外の水生昆虫を期待したい。

ガムシの飛来が多い...
ガムシの飛来が多い...



紛らわしいガムシを退かしているとミヤマ♀が飛来した。気が付くと、数頭のミヤマ♀が同じタイミングで飛来していた。

ミヤマ♀の飛来も多い!
ミヤマ♀の飛来も多い!



数頭のミヤマ♀の飛来が終わるとクワガタの飛来は無くなり、今度は大量のオオミズオアオの飛来が始まった。身内はエメラルドグリーンな個体を見て「アゲハの様で綺麗...」と言っている。気が付くとライト周辺は、オオミズアオが10頭近く乱舞しているカオスな状態になっている...。

オオミズアオも大量飛来...
オオミズアオも大量飛来...



しばらくガムシとオオミズアオばかりの飛来であったが、人知れずコクワ♂が飛来していた。考えてみれば本日最初のコクワである。丸1日探索を行って数頭のクワガタを確認してきたが、ここまでコクワを見てなかったのが不思議である...。

ちょっと驚いた...大きなコクワ♂
ちょっと驚いた...大きなコクワ♂



クワガタとは明らかに異なる大型物体が落下したので確認してみると、シロスジカミキリが佇んでいた。その大きさに迫力を感じる。

大きなシロスジカミキリ
大きなシロスジカミキリ



ライトの残りバッテリーが気になりだした頃、やっとミヤマ♂が飛来してくれた...。ミヤマ♀はそれなりに飛来していたので♂個体を確認してみたかったのだが、このタイミングで飛来してくれた。身内も喜んでくれている。とりあえず今回の目標であったミヤマ♂が確認できたので、大きな達成感がある。

目標のミヤマ♂飛来!!
目標のミヤマ♂飛来!!



ミヤマ♂の写真を撮っていると、大きなノコ♂も飛来した。やはり飛来には一定の波がある様に窺える。湿度や気温など影響しているのだろうか?

最後にノコ♂が飛来
最後にノコ♂が飛来



時間切れまでもう少し余裕があったが、充分堪能出たのでライトトラップを終了として撤収作業を行う...。




ライトに飛来した個体を一時的にケースに入れておいたが、全てリリースする。今晩の目標であったミヤマが数頭確認できたのは良かった。数年前から広島の身内と共にHIDライトトラップを行ってきたが、今回は随分と前進できたと思う。改めて身内に感謝である。可能であればヒラタの飛来も期待してみたかったが、また次回以降のお楽しみとしておきたい。

楽しかった!広島遠征
楽しかった!広島遠征



・・・可能であれば次回の広島県探索は10月を予定している。楽しみで仕方ない!


成績ミヤマ♂×3 ♀×8 ヒラタ♂×2 ノコ♂×2 スジ♂×2 ♀×1 コクワ♂×1 ♀×1 カブトムシ♀×2
(確認後、全てリリース)

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