ご注意!

2011年4月1日に種の保存法「国内希少野生動植物種」に指定され、ヨナグニマルバネクワガタ採集禁止となりました。下記、採集記は規制以前のものです。


2008.11.08(土)へっぽこ遠征in八重山列島(2日目)
沖縄県・与那国島 9:30AM 曇りのち大雨 27℃ (暑い) 同行者:TEN・O

与那国島遠征、2日目の朝。

ベッドから起き上がろうとするが、体中が痛い。昨日は崖から転落するというアクシデントに見舞われ、その後ダメージを残した状態で、7時間以上もジャングルを彷徨った。その翌日なのだから体が言う事を聞くはずが無い。なんと言うか、昨晩は自分の中で“限界に近いチャレンジ”が行えたので、結果は伴わないもののそれなりに充実感はある。・・・それにしても体中が痛い。トイレに行くのも辛い。・・・確か夜中から明け方に掛けて、かなりの雨が降った気がしていた。窓に打ち付ける風雨を何となく覚えている。

二日目の朝
2日目の朝



・・・朝食の時間はとっくに過ぎており、何か食べるには外に出るしかなかった。




体は痛いが、とりあえず駐車場まで行くと、明け方に降った雨の量を感じる事が出来た。駐車場の大部分が“池状態”になっているのだ。その池の周りにはウスバキトンボがパトロールを行っており、その“池”が違和感ないほど一夜にして大量の雨が降った事が窺える。

大雨の後(注・駐車場)
大雨の後(注・駐車場)



何気なく告知されているポスターを見ると、今日は「日本最西端与那国島一周マラソン大会」の様である。以前から噂は聞いた事があったが、今日がその当日だと思わなかった。

「日本最西端与那国島一周マラソン大会」
「日本最西端与那国島一周マラソン大会」



どうやら宿の目の前もマラソンの給水場になっている様で、すでに大会は始まっている様である。・・・少し車を走らせてみるとランナーの姿が窺えた。

島一周マラソン、開催中!
島一周マラソン、開催中!



かなりのエントリーが居る様で、沿道には与那国島の島民達も応援している。状況としては今この瞬間、「現在この島ではマラソン以外何も行われてないのでは?」と思うほど、一大イベントになっている。私も誰だか分からないランナーに「頑張れ〜!」と応援してみる。

島民も応援
島民も応援


何となくマラソンを見学した後は、以前何度か立ち寄ってみた“唯一入りやすかった”スーパーに入ってみた。昨日も確認したが、今年出来たホテルに隣接した“島コンビニ”があるので、ほぼ100%そこで事足りるのだが、一応スーパーも確認しておこうと入ってた所、なんと「金ちゃんヌードル」各種が販売されていた。ファンとしては非常に嬉しい。但し以前であれば、購入しても“お湯をもらえる場所が全く無かった”が、現在は“新しく出来た宿”の部屋に湯沸しポットがあるので、いつでも好きな時間帯に食事取る事が出来る。・・・それほど“新しく出来た宿”は与那国島の不便さを解消する革命的存在だと感じる。

夢のコーナー!?
夢のコーナー!?



因みにまだ見ぬ新種もあったので購入し、後でホテルの夜食にする事にした。

新種も発見!
新種も発見!



スーパーを出た後は、そのまま島の外れまで出てみる事にする。民家沿いの通りを抜けてみると、強烈な台風対策として“沖縄らしい”高い塀の平屋でオレンジ屋根?が窺える。

沖縄らしい民家
沖縄らしい民家


集落を抜けると、ただ道しかなくなってしまった。空模様は相変わらずドンヨリしている。天気予報では“雨”だったが、今の所何とか持ちこたえている。で、あれば「今の内に出来る限りの事をしておこう...。」という気持ちになってきた。

晴れ間は見えない
晴れ間は見えない



とりあえず牛が居たので画像を得る。昨日はヨナグニウマの画像を得ようとしてエライ目の遭ったが、この牛は車の中からシャッターを切れる場所に居てくれた。画像の牛は有刺鉄線の間から首だけを出して草を食べており、その後様子を窺っていると案の定、首を抜く際に有刺鉄線が首に引っかかり痛そうにしていた...。

この後、有刺鉄線に首が絡まって...
この後、有刺鉄線に首が絡まって...



そのまま車を進めると、与那国島名物の“ツイン風車”が現われる。・・・実は昨年、猛烈台風にて風車の羽根が折れてしまったらしい。(現在修復)

久しぶりの巨大風車
久しぶりの巨大風車



因みに、遠くに何やら“顔の長い生き物”が居る様に感じたが、気のせいだとしてそのまま通り過ぎた...。

気のせい...
気のせい...



・・・と、ここまでの記事を見ていると単なる“与那国島案内記”になってしまっている。・・・正直、昨日のダメージは確実に残っており、この後も雨が降る予報なので探索をどうしようか迷っていた。それほど昨日の昼間のアクシデントと夜のジャングル探索にて、エネルギーを使い果たしてしまった感があった。

テンションが上らない
テンションが上らない



・・・とりあえず宿に戻り、昼食をとりながら作戦会議を開く事にした。

派手なシーサー
派手なシーサー




宿のレストランのランチタイムは既に過ぎていたのだが、「タコライスであれば、すぐに作れます!」と有り難い事に、気の利いたスタッフの方が居り非常に助かった。運ばれてきたタコライスを頬張る。・・・絶品だった!

絶品「タコライス」
絶品「タコライス」



・・・絶品タコライスを食べながら考える。友人のTEN・Oは“無理をしない”のを条件に、今晩も探索に付き合ってくれると言う。・・・“無理をしない”つもりで可能性に掛けてみる気になってしまった^^

遅めの昼食を済ませ、隣接した“島コンビニ”へ夜の探索用に飲み物や食べ物を購入する。23時まで営業しており、本土のコンビニと同レベルで必要なものが揃うので、今後の与那国島へ来る方は重宝されると思う。

超重宝!島コンビニ
超重宝!島コンビニ



次に昨晩データを取ってみたハンディGPSを再確認し、本日のルートなどを考えてみる。このハンディGPSは、この与那国島探索の為に購入したと言っても過言ではなのだが、夜のジャングル内では自分がどこに居るのか?どの方向に向かっているのか?など全く分からなくなってしまうので、本当に心強いアイテムだと感じている。

昨日の足取りを確認してみる
昨日の足取りを確認してみる


時間帯として今から山に入っても良いタイミングになって来たので宿を出発する。空を見上げると、今まで何とか雨は降らずに済んでいたが、遠くに黒い雲が見えてきたので、それほど遠くない時間帯に雨は降るだろう。・・・とりあえず無理せず状況を見ながら探索を行っていく事にした。

雲行きは更に怪しく...
雲行きは更に怪しく...



ふと“顔の長い生き物”が居るので、そのままスルーしようと思ったのだが、、、その“顔の長い生き物”の色はであった。・・・実は数年前、与那国島に来た際に「ヨナグニウマの中に白馬が1頭居るらしい...。」と言う噂を聞いた事があった。通常ならユキチャン的存在に喜ぶ所だが、今遠征のこの状況下で見る白馬に“嫌な予感”を感じざるを得なかった...。

噂の白馬を発見したが...
噂の白馬を発見したが...



ウリミバエのバケツは今年もある。この島独特の風景であるが、理由は奥深いものがある。「プロジェクトX」でも特集されてたほど、苦労に満ちたドラマが存在している。

ウリミバエのバケツ
ウリミバエのバケツ




・・・目的地に到着したので準備を行う。今日の探索は体の状態や天候の具合からみて難しいと感じていたが、出来る範囲でチャレンジしてみようと思い、改めて気合を入れ直し集中していく。・・・すると人影が見えた。昨日も山でお会いしたテイルさんだった。雰囲気の良い方なので昨日初めてお会いしただけなのに、妙に親近感が湧いたりする。少しお話を伺ってみると「他の採集者の方でヨナマル大歯型を採集されたらしい...。」と言う。・・・やはり個体そのものは活動している様でありモチベーションが保てた。テイルさんとはお互いの健闘を誓い、ここでお別れした。「さぁ与那国島のジャングルに突入しよう!」TEN・Oと共に歩を進めていく。

まもなく日の入り間近のジャングルは、既に懐中電灯が無くては見難くなるほど暗くなっていた。とりあえず何度か通っている獣道を通過しようと歩を進めると、すぐに足元がズブ濡れになってしまった。懐中電灯にて足元を照らすと、周辺一体は昨晩からの大雨にて浸水しているのであった。

ジャングル内は大洪水状態...
ジャングル内は大洪水状態...



どこからどこを見ても水浸し状態で、あちこちから川のせせらぎの様に水が湧き出している。昨晩まで全く水気の無かった場所がこの状態であれば、この先に数箇所ある沢はかなりの水かさだと容易に想像できる。

足場は水浸し
足場は水浸し



・・・過去数年、かなりの時間と費用を掛けて“へっぽこ”なりに与那国島を探索して見付けた“ヨナグニマルバネ生息ポイント”であったが、森の中が昨晩からの大雨によって洪水状態になっているのであれば、TEN・Oと話していた“無理をしない探索”から外れてしまうので、残念ながら諦める事にした。


それでも他のポイントで可能性を秘めている場所があったので、そちらを攻めてみる事にした。“怪我の功名”という言葉があるのなら、今そうあって欲しいと感じながら、久しぶりのポイントに入ってみる。・・・すると思っていた以上にシイの大木が存在し、かなりの雰囲気を感じる。状況としてはマルバネが居ても全く違和感ない場所なので、「もしかすると...。」というテンションで探索を進めて行く。

場所を変え探索開始!
場所を変え探索開始!



・・・しかし、残念な事にここに来て大粒の雨が降り始めてしまった。元々天気予報では雨の予報だっただけに「あと1時間もって欲しかった...。」と無念さを感じる。TEN・Oに相談してみると「あと30分付き合うよ。」と本当に有り難い言葉が返ってきたので、雨足が強くなる中、非常に高い集中力を発揮してシイの大木を確認していく。

雨が降り出した...
雨が降り出した...



森の中の湿気が増してきたことで、ヘビなども活発になっている。雨の勢いが増してきたので残された時間は少ないと感じる。

にょろーん
にょろーん



・・・可能な限りシイの大木を確認していく。しかし、ここで尋常ではないほど雨足が強まってしまい、森の内部まで雨が差し込んで来る様になってしまった。こうなると、もうどうにもならない。・・・残念ながらレンタカーまで戻る事にした。

TEN・Oと共にずぶ濡れになり、レンタカーに乗り込む。車の外は嵐の様に大雨になっている。ワイパーを最速にしても窓の外が見えないほどである。暫く車の中で天候の回復を待ってみたが、雨足は弱まる所か、激しさを増す一方であり、携帯にて与那国周辺の天気予報を見てみると、明日いっぱい止まない予報になっているので、本日の探索を終了せざるを得なくなってしまった...。

宿に戻る途中、大型の甲虫らしき物体が見えたので確認してみると、タイワンカブトの亡骸であった。本日の最後の最後で甲虫の雰囲気を感じる事が出来たが、ヨナグニマルバネには程遠い、寂しい内容になってしまった...。

タイワンカブトの亡骸
タイワンカブトの亡骸




・・・宿に戻り“島コンビニ”にて夜食を買い直す。今日はTEN・Oも居る事だし、普段お互い全く呑まない酒を買う事にした。場所柄せっかくなのでOrionビールを購入した。

普段は呑まないビールを飲む
普段は呑まないビールを飲む



TEN・O曰く「無理しなくて良かったんじゃないか?」と言う会話から、高校時代の話題など久しぶりに友人と昔話で盛り上がった。・・・これはこれで良かったのかも知れない。・・・今思うと、改めて2年前のヨナグニマルバネ♂が確認できた探索は、本当に奇跡だったと感じる。

・・・やはり“へっぽこ”が攻略できるほど、与那国島は簡単でない。



成績:ボ〜ズ

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