ご注意!

2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタアマミシカクワガタアマミミヤマクワガタ採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。下記、採集記は規制以前のものです。


2006.09.08(金)へっぽこ遠征in奄美群島(1日目)
鹿児島県・奄美大島 8:00AM 晴れのち雨 32℃ (蒸し暑い)

昨年9月以来、1年ぶりの奄美大島遠征である。8月の対馬遠征が、台風によって中止せざるを得ない状況だったので、今回の遠征決行が本当嬉しい。元々8月以降は台風が多く発生するので仕方が無いのだろうが、やはり遠征時には発生して欲しくない。・・・今回で奄美大島は4回目の遠征となる。毎回少しずつではあるが前進していると思うので、今回もそうありたい。願わくば「アマミミヤマの♀、アマミマルバネ、アマミシカ、アマミコクワ、アマミネブト」とまだまだ確認していない種が多いので、何とか観る事が出来ればと思う。

本丸、奄美大島
本丸、奄美大島



いつも通り羽田空港に行く。まだ夏の観光シーズンのせいか、空港内は観光客が多い。時間間際になってバタつくのは嫌だったので、早めに搭乗手続きを済ませ、朝食をとる為に店舗に入る。・・・しかし、いつも以上に体調が思わしくない。夏バテなのか疲れから風邪を引いてしまったらしい。先月は“天候不良”、今回は“体調不良”である。なかなか思う様に行かないものである。

奄美行きを待つ
奄美大島行きを待つ



搭乗時間が来たので、重い体を起こし飛行機に乗り込む。やはり先月の“対馬遠征中止”がトラウマになっているのか、飛行機が無事に目的地まで飛んでくれるか心配になる。

対馬の悪夢を忘れる為に
対馬の悪夢を忘れる為に



暫くすると飛行機は動き出し滑走路に向かう。時間帯が“朝のラッシュ時”なので、いつも通り飛行機が渋滞する。考えてみれば、これだけの飛行機を管制塔は良く捌けるものだと感心してしまう。

お約束の朝の渋滞
お約束の朝の渋滞



テイクオフ。東京上空は、飛行機のフライトに支障をきたす程ではないものの、あいにくの空模様で、やはり先月の事があるせいか気が気でない。窓の外の模様は先月と同じに映る。・・・大丈夫なのは分かっていても気になる。

・・・やばそう
・・・やばそう

                

しかし、5分もすれば厚い雲を通過し、真夏の太陽が顔を出した。

突破!!
突破!!




・・・とりあえず一安心。安心したせいか眠くなってしまった zzz




ここで  “・・・しかし”  となれば先月同様ダークゾーン突入になるが、今回は順調に奄美大島に向かっている。少し寝た後に目が覚めると、機内で飲み物のサービスを行なっていたので、暖かいスープを貰った。自分はいつもこのスープを貰っている。結構美味しい。・・・今回は特に体調が思わしくないせいか、温かい飲み物が飲みたかった。

いつもスープをもらう
いつもスープをもらう




その後、うつらうつらしている内に奄美大島に近付いてきた。窓の下を眺めると南国特有の蒼い海が見える。“珊瑚と蒼い海”、何度観ても美しい光景だ。まもなく奄美大島。さぁ今回の探索はどうなるのだろう?テンションが上がってきた!

南西の蒼い海!
南西の蒼い海!



到着後、レンタカーを借り、まず向かったのは奄美空港からそれなりに近い場所にある、鶏飯屋「ひさ倉」だ。ここの鶏飯は最高に美味しい。昨年も何回か訪れているが奄美大島のスタートは、ここの鶏飯を食べなければ始まらない。鶏飯も美味いし、“鶏さし”という鶏の新鮮な刺身が絶品である。

「ひさ倉」の最高に美味い鶏飯
「ひさ倉」の最高に美味い鶏飯



昼食を済ませ、いよいよ奄美大島の山に向かう。途中、“赤い花”がやたらと目立つ。ハイビスカスだ。場所柄、人為的に植えられたと思われるが、赤く大きな花びらは目に映える。南国を強く意識する。

ハイビスカス
ハイビスカス


ほど良い山に入り標高を上げて行く。途中、山の合間から見える景色がまた良い。奄美大島は山も海も美しいので“癒し効果”も抜群である。時間の流れも“島時間”というものがあって、どちらかと言うと「あまり時間に縛られない」感じである。自分の様な東京で“時間に追われる営業職”を行なっている者にとって、まさに求めている空間なのかも知れない。

景色も最高!
景色も最高!



早速、林に入ってみる。すると、南西諸島の“マスコット”であろう「キノボリトカゲ」が現れた。素早く樹を登っていく。いつ観ても愛嬌のあるヤツだ。

キノボリトカゲ が あらわれた!
キノボリトカゲ が あらわれた!
  ・・・キノボリトカゲは にげだした!



暫く探索していると、朽ち果てた倒木があったので裏返してみると「アマミコカブト」が佇んでいた。奄美大島ではこの個体は、かなり多いと思われる。とりあえず“第一甲虫、発見”という感じであるが、あくまでも目標はクワガタである。この個体は直ぐにリリースした。

アマミコカブト
アマミコカブト



南西諸島での採集時にもっとも有効な手段となる“フルーツトラップ”を仕掛けていく。個人的には昨年からスジブトヒラタとアマミヒラタを確認しているので、今回はシカ・コクワ・ネブト辺りが集まってくれればと思う。ただし、狙う種類によってトラップの掛け方にも工夫が必要なので、毎回同じ掛け方では新たな発見は得られないかも知れない。それと同時にフルーツトラップの中身(レシピ)も毎回、アルコールの度数を変えたり、漬けて置く時間を変えてみたり、バナナ以外の果物にしてみたりと、成果は別にして“へっぽこ”なりに出来る限りの調査を行なっているつもりである。

フルーツトラップを仕掛けていく
フルーツトラップを仕掛けていく



それなりにフルーツトラップを仕掛けて行くが、やはり体調が優れない。汗も異常に出る。おそらく熱が出てきたのだろう。歩いていても頭が重く、フラつき気味になって来たので、これ以上の無理は良くないと思い一度、宿に戻る事にした。




宿のベッドに横になる。寒気すらする。やはり体調は悪化しつつある様だ。・・・最悪だ。2年前、初めての南西諸島遠征として奄美大島に訪れた時も風邪をこじらせベッドに寝ていた記憶がある。時期的に夏の疲れが出て来る時なのかも知れないが、サラリーマンとして無理やり採集用の時間を作っているので、当然仕事でも無理をしなければならない。結果としてその無理が悪い方へ出ているのであれば、もっと考えなければならないと思うが、それが現状であり、現実である。・・・なんだか厳しさも感じるが、今はとりあえず目を瞑り体力回復に努める事にした。

宿で休む事に...
宿で休む事に...



1時間ほど寝たのだろうか?時計を見るとすでに夕方になっている。これ以上寝てしまうと何も出来ずに終わってしまいそうなので、言う事を聞かない体を起こし、まずは薬局に向かう事にした。奄美大島は市街地に出れば何でも揃う場所なので、本当に融通が利く。薬局に入り、風邪薬と栄養剤を購入し飲み干す。・・・これで少しは良くなるのであろうか?と、言うか良くなって欲しい...。

・・・栄養剤と風邪薬を飲む
・・・栄養剤と風邪薬を飲む




その後、何とか車を山に走らせ目的地まで到着した。薬が効いているのか多少であるが楽になってきた。・・・ふと何かいると感じ目線をやると「アカマタ」がとぐろを巻いていた。見た感じ“いかにも毒々しい”が、毒は全くない蛇である。

アカマタ が あらわれた!
アカマタ が あらわれた!



まだ明るい内に林床に入り、“最凶最悪”と言われているアマミマルバネ探索を行なう。マルバネは大きなシイの樹に居るので、昼間に下見をして置いて夜に足を運ぶ事になる。但し“最凶最悪”といわれる理由の一つとして、奄美大島には猛毒蛇のハブが生息している事が挙げられる。アマミマルバネが活動する時間帯は、同じくハブも活動する時間帯になる。夜間の探索はハブに厳重に注意しなくてはならない。

アマミマルバネは発生しているのか?
アマミマルバネは発生しているのか?


それなりに探索をしていると辺りは夜の帳が下りた。すると“ほのかな光”が現れた。陸生ホタルの「キイロスジボタル」である。これを観ると奄美大島に来た意識がより強くなる。黄色い個体色は、本土で見かけるゲンジ&ヘイケボタルとは全く違う。

キイロスジボタル
キイロスジボタル



時間帯としては良い頃合いかと思い、アマミミヤマの生息する場所へ移動する。アマミミヤマ特有の電柱を確認していく。決して電柱だけに居る訳ではないが、暗い森の中では樹に付いていたとしても樹皮と混同して見にくく、またかなり高い場所についているので見つけても長網が届かないのである。そういう意味でも電柱であれば個体が付けば見やすいという事と、ある程度の高さが限られているという条件が揃っているので、“高い場所に上る”性質を持つアマミミヤマを採集する際には電柱を確認していく。・・・いくつか電柱を確認していくとクワガタらしい影が付いている。早速、長網をセッティングし採集態勢に入る。

電柱に居る!!
電柱に居る!!



何とか捕獲し網をたぐり寄せ、中を確認してみる。やはりアマミミヤマ♂であった。相変わらず格好良い!この状態で何枚もデジカメの画像を撮ってしまった。奄美大島遠征の中でアマミミヤマの比重はかなり大きいので、入島後の1頭目は本当に嬉しい。

奄美大島産・アマミミヤマ♂
奄美大島・アマミミヤマ♂



何気なく他にも個体は付いていないのか?と、同じ電柱を見上げると、何と別の個体が電柱を登っていた。慌てて長網を手に持ち捕獲態勢に入る。

また居る!
また居る!



ネットインした個体は、やはりアマミミヤマ♂であった。先程の個体に比べると2頭目は“喜び度”が多少落ちるが、それでも嬉しい。・・・こうなると、この電柱にはまだ別個体が付いているのでは?と思い、もう一度“この電柱”を確認してみると...。

アマミミヤマ♂2頭目
アマミミヤマ♂2頭目



何と!同じ電柱に3頭目のアマミミヤマ♂の個体が確認できた。・・・この時点で「この電柱は何かが違う!」と感じた。「もしかすると♀の確認が出来るのではないか...?」 そう思い、今一度この電柱を見上げてみたが、それ以上の個体は見えなかった。

アマミミヤマ♂3頭目
アマミミヤマ♂3頭目



しかし、驚いた事に「上を見上げて居ないなら...」と思い、電柱の根元?を見てみると別のアマミミヤマ♂の個体が確認できた。どうみてもこの個体は“これから登ります!”と言わんばかりの状況であったので、ますますこの電柱が怪しくなってきた。

電柱の下にアマミミヤマ♂4頭目
電柱の下にアマミミヤマ♂4頭目



「いったい何なのだろう?」と思っていると、今度は更なる別のアマミミヤマ♂の個体が、“この電柱”目指して歩いてきた!とりあえず多少なりとも気持ちに余裕が出来てきたので、この歩いている個体を観察していると、やはり“この電柱”に登り始めた。・・・“魔性の女”という表現はあるが、まさに“魔性の電柱”といった所であろうか?とにかく不思議な魔力を持つ電柱だ。

その近くにアマミミヤマ♂5頭目
その近くにアマミミヤマ♂5頭目



・・・何だか冗談半分に“この電柱”の上を見上げてみると、、、何とアマミミヤマ♂の別個体が登っていた。先程まで地面側を見ていた間に登ったのだろうか?それとも飛んできたのだろうか?・・・結局“この電柱”に僅か数分の間に6頭のアマミミヤマ♂が集まってきた事になる。

電柱別角度にアマミミヤマ♂6頭目
電柱別角度にアマミミヤマ♂6頭目



それにしても周辺に、数本存在する電柱の中でも“この電柱”以外には、アマミミヤマ♂×1しか確認できず、より“この電柱”が怪しく感じる。こうなると完全にアマミミヤマ♀の可能性を感じるので、電柱の足回りや草木の根元から葉先まで、かなりの時間を周辺の確認に費やした。



・・・しかし、この後は♂個体も現れる事無く、“風が去ってしまった”感じであった。




結局、それなりにアマミミヤマの調査ができた事と、体調も優れない為に初日の探索を終了する事にした。本当であれば、アマミミヤマ♀個体やアマミマルバネ探索も行ないたかったが、明日以降もまだチャンスはあると思い無理は禁物だと感じていた。

7頭のアマミミヤマ♂
7頭のアマミミヤマ♂



帰りがけに昼間にセットしたフルーツトラップを見て回ったが何も付いていなかった。と、言うよりは他の採集者にいじられた形跡があった。ある場所のトラップは外されていたり、仕方ないのかも知れないが、出来れば他の採集者が設置したトラップには触れて欲しくない気持ちがある。

とりあえずは明日以降に備えて体力を回復したい...zzz



成績アマミミヤマ♂×7 アマミコカブト×1
(本日採集分は、最終日に全てリリース)

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