2006.06.03(土)
福島県・桧枝岐 8:00AM 晴れ 18℃

朝7時過ぎに携帯の目覚ましが鳴る。・・・体の調子が悪い。風邪を引いてしまった様だ。昨晩はあまり寝る事ができなかった。実は深夜、車内は恐ろしいほど冷え込み、凍死しそうになった...。夜中のあまりの寒さで途中、目が覚め慌てて車の暖房を入れたほどだ。外の気温は朝になってもかなり冷え込んでいるが、天気は雲ひとつない晴天だ。昨晩買い込んでいた朝食用の“おにぎりとお茶”を食し、山に入る準備を行なう。・・・イマイチ調子が出ない。

最高の晴天!
最高の晴天!




車を走らせ山に向かう。するといきなり通行止めの看板が目に入った。・・・冷え込みの原因はここで判った。何と冬に降り積もった雪が未だに融けずに残っているのだった。6月だと思って油断していたが、昨晩は冷蔵庫の中で寝ていた様なものだった。確かに過去数年、6月に福島に足を運んだ際も雪は残っていた。それにしても今年のこの時期に通行止めになるほどの雪が残っているとは思いもしなかった。

6月の除雪中・・・
6月の除雪中...



場所を少し移動すると辺りは一面“銀世界”になった。東京に住んでいる者にとって6月のこの光景は、信じがたいものがあった。6月でこれだけの雪が残っているとは、一体冬にはどれだけの積雪があったのだろうか?昨年の冬は異常なほどの積雪があったとニュースでも聞いていたが、改めてその凄まじさを感じる光景であった。

6月の銀世界
6月の銀世界



雪の中、ブナの新芽を探してみる。雑誌などで見た事があったので、それらしき新芽を確認してみる。しかし、いきなり瑠璃色を確認できるほど簡単なものではないだろう。・・・それにしても雪の上では体力の消耗も早いので、すぐに疲れる。

ブナの新芽を確認
ブナの新芽を確認



暫くブナの新芽を確認していくと、枝先に何か瑠璃色が付いているのが分かった。確証は無かったがこれが“あのクワガタ”であろう事は感じた。新芽採集をしておいて矛盾しているが、まさか居るとは思わなかったので長網を車に置いてきてしまった。仕方ないので手で枝をたぐり寄せ個体を採集してみようと試みる。・・・当然、枝が揺れた際に瑠璃色は落ちて行方不明になってしまった。・・・改めて“へっぽこ”である事を自覚する。

瑠璃色が居る(望遠ズーム)
瑠璃色が居る(望遠ズーム)



一度車に戻り、長網を装着し再びブナの新芽を確認していく。すると枝の低い位置に瑠璃色が付いていた。それはすぐにコルリクワガタ♂だと判った。“へっぽこ”初のコルリ確認であった。やはり自身初確認というのは嬉しい。・・・嬉しいのだがコルリは、やはり小さく、あまりクワガタっぽくない印象を受けるのも正直な感想である。

福島県・コルリクワガタ♂
福島県・コルリクワガタ♂



その後も探索を続けていく。すると“新芽に頭を突っ込んでいる”個体が確認できた。コルリ♀であった。噂には聞いていたが文字通り“新芽に頭を突っ込んでいる”。面白い光景なので暫く眺めてしまった。

福島県・コルリクワガタ♀
福島県・コルリクワガタ♀



一度、雰囲気がつかめると次々と個体を確認する事が出来る。その殆どがペアで居る事が多い。♀が新芽に頭を突っ込んで、そこへ♂がやって来て交尾を始めるといった感じである。太陽の陽が燦々とふりそそぐ中、ペアで居るのコントラストが実に美しい。

福島県・コルリクワガタ♂♀
福島県・コルリクワガタ♂♀



♀は新芽に頭を突っ込んでいる姿を多く確認できるが♂は単独場合、枝先などを盛んに歩き回っている。そのまま他の枝に飛び去ったりと、♀を探して居るのだろう。

あちこちに
あちこちに



数時間の探索となったが個体数はそれなりに確認できた。やはり太陽が出て気温が上がってくると活発に活動する様である。採集した個体は一度ケースに入れて置き、最後に全てリリースした。その際、ケースを観ると殆どの個体が交尾をしていた。やはり♂は♀を探す事だけを目的にしている感がある。・・・自分も見習いたい。

初めてにしては満足(この後リリース)
初めてにしては満足(この後リリース)


とりあえず腹が減っていたので「スープ入り焼きそば」でも良かったのだが、今回は「裁ちそば」を食べて帰る事にした。「裁ちそば」とは「そば粉をはんぞうと呼ばれる樹のこね鉢でよくこねあげてから、のし枝の上でめん棒でまわりながら、丸く、うすくのし、それを何枚も重ねて手を定木にし、包丁を“裁ち切る”事から“裁ちそば”と言う」らしい。味の方はと言うと、凄く美味い!!いくらでもイケてしまう。また、天ぷらも最高に美味い!普段はどちらかと言うと山菜はあまり食べない方であるが、採り立ての素材を揚げているせいか青臭さも無く本当に美味しい。機会があればオススメの蕎麦である。

裁ちそば
裁ちそば




今回の探索として、個人的にコルリの“新芽採集”が出来た事は、非常に有意義なものとなった。もっと時間を掛けて行けば、更なる個体数を確認する事は出来たかも知れない。しかし最終的にはリリースするので、雰囲気を楽しめただけで充分満足できた。時間が経つにつれ、コルリ狙いと思われる採集者の数も増えてきた。この種の標本マニアは多いのかも知れない。個人的にはやはり大型種にクワガタを感じているので、小型種にのめり込む事は無いかも知れないが、普段とは全く違う雰囲気の中で採集を行う“クワガタの奥深さ”を感じる採集となった。


成績:コルリ♂×8 ♀×4
(確認後、全てリリース)

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