ご注意!

2013年10月1日、希少野生動植物の指定により、アマミマルバネクワガタアマミシカクワガタアマミミヤマクワガタ採集禁止となりました。詳細は、奄美市サイトにてご確認下さい。


2004.08.13(水)へっぽこ遠征in奄美大島(最終日)
鹿児島県・奄美大島 10:00AM 曇りのち 晴れ 33℃

採集日3日目となった。ここまで全く成果が出ていない。3泊4日で奄美大島に来ているが、明日の4日目は帰京する為に採集活動は行えない。実質、採集最終日になる。とりあえず朝一で、昨晩確認し損ねたN峠トラップの確認作業から開始した。昨晩と違い森の中は明るい。トラップも殆ど確認出来た。が、付いているのは巨大カマドウマ&巨大ナメクジの超獣コンビのみであった。・・・このまま引き下がれないので、森の奥へ進み探索してみる事にした。途中、青く綺麗な蝶がひらひらと舞っている。“リュウキュウアサギマダラ”である。飛び方はゆっくりとしており、意外に大きな蝶である。このままクワガタの居る方へ導いて欲しい所である。・・・導いてくれなかった。

リュウキュウアサギマダラ・3頭
リュウキュウアサギマダラ・3頭


その後N峠の森を探索していると、朽ちた倒木が転がっていた。とりあえず裏返してみると何かコガネムシの様な甲虫が現れた。アマミコカブトであった。関東では良く居るらしいが、実はコカブトなる虫を今まで見た事が無かった。後々デジカメの画像を判る人に人に見てもらい判明した。嬉しいような、そうでない様な、これでボ〜ズ脱出とは思えなかった。

アマミコカブト
アマミコカブト


天候は台風13号の影響で風は強いものの、やっと晴れ出した。するとやたらうるさいセミが鳴き始めた。鳴き方からするとニイニイゼミとアブラゼミの様に聞こえる。近くで鳴いているので探してみると・・・、「リュウキュウアブラゼミ」であった。関東で見かけるアブラゼミより大きい。

リュウキュウアブラゼミ
リュウキュウアブラゼミ


今まであまり天候が良くなかったが、最終日になってN峠頂上付近から良い風景が望めた。しかし残り時間を考えるとこの場所は諦め、別の場所に希望を求めざるを得なかった。

N峠 頂上風景
N峠 頂上風景


地元情報でも得られればと思い、地元の人達にクワガタの採れる場所など聞いてみたが「クワ・・・ガ・・タ?・・・って何?」という有様で、クワガタという単語そのものがあまり浸透していない感があった。考えてみれば、地元の人々にとって知らなくても良い事なのかもしれない。少ない知識ながらも今まで探索してきたN峠とは別に、“C林道”と“Y岳”という場所にも可能性がありそうだという事を思い出し、とにかく向かってみる事にした。まずはY岳から行く事にした。結構な距離を走って、やっとY岳に到着した。日当たりの良い所にはニホントカゲではなく、「バーバートカゲ」があちこちでカサカサと走り回っている。この種は大きくなっても尻尾のメタリックブルーが無くならない美しいトカゲである。

バーバートカゲ
バーバートカゲ


また道路沿いの側溝の水溜りには、アカハライモリの様な「アマミシリケンイモリ」の姿も確認出来た。アカハライモリより少々大きめで腹の色が、それよりオレンジ掛かっている感があった。その他も気が付くと真っ赤な「リュウキュウアカショウビン」というカワセミの仲間も確認出来た。早過ぎて画像を得られなかったが、あまりの赤さに感動すら覚えた。

アマミシリケンイモリ@
アマミシリケンイモリ@

アマミシリケンイモリA
アマミシリケンイモリA


Y岳の頂上付近から時間を掛けて探索したが、バーバートカゲばかりでクワガタの姿は確認出来ない。所々にトラップの残骸があるのでクワガタ自体は居るのかも知れない。・・・時計を見ると午後になっている。しかし、この周辺では全くと言って良いほど食事をする場所が無い。腹が減るより、時間が勿体無い方が優先して探索を続けた。しかし同行してくれている後輩Tにも気の毒と思い、一度Y岳を降りようとして車を停車している場所に戻ると、そこに1台の車が停まっていた。

その車の周りには何10本という単位のバナナ入り段ボールが積まれている。「クワガタ関係に違いないっ!」と感じ、持ち主に話しかけてみた。するとやはりクワガタ採集者であった。話によると自分より1日早い8月10日より奄美大島に入っており、すでにクワガタ採集も結果が出ていると言う。その方はその成果を見せてくれた。(下記画像を参照)
アマミノコペア スジブト アマミミヤマ アマミネブト
アマミノコペア スジブト アマミミヤマ アマミネブト


その方よりアドバイスを頂戴した際に“電柱のある林道”というニュアンスが窺えたので、やはり最後の砦としてC林道に向かった。その場所は良く見ると林道沿いに、電柱が立っている。よく書物なので「アマミミヤマは電柱の高い所についている」という部分を目にしていただけに、非常に期待できるポイントと思えた。そこから頂上付近まで探索してみる事にした。

C林道
C林道


しかし時間帯がまだ昼間なのでクワガタの姿は確認出来ない。ここでもトラップの残骸は見掛ける。恐らくここがラストチャンスとなる場所であると思えた。本番は夜になるので、一度宿に戻り体力を回復してから出直す事にした。
・・・何故か宿に戻る50kmが長く感じた。

C林道 頂上風景
C林道 頂上風景


・・・何故か宿に戻る50kmが長く感じた。



宿に戻り仮眠を取った...。

気が付くと時計の針は、午後7時をさしている。出遅れた感があるが、後輩Tと共に車に乗り最後のチャレンジに出発した。元々後輩Tは全くクワガタに興味が無く、自由気ままな旅行がてらクワガタ探索に同行してくれている。それでも後輩Tは、3泊4日で全く成果の出ていない自分に対して、気を使ってくれているのが良く判る。自分が冗談(実は弱音)で「奄美大島まで来て3泊4日、ボ〜ズという伝説を作ってやる〜!」と言うと、後輩Tは「今日は必ず居ますよ」と返して来た。・・・確かにそう答えて欲しかった。

昼間に確認した場所は“へっぽこ”ながらもこの遠征で一番期待できそうな場所だったので、出来れば他の採集者とバッティングせず、奄美のクワガタに会いたい...。


色々と考えている内にC林道に着いた。先程まで昼間だったから明るかった林道も、夜になると真っ暗で独特の雰囲気(ハブの恐怖)が出てくる。・・・暗くなったので判ったが、N峠と同様のホタルが数多く確認出来た。どうやらこのホタルは“キイロスジボタル”という種で、「陸生ホタル」というらしい。何故、水場の無い場所なのに多く出現しているのかと思ったら、幼生は水中ではなく陸上で生活するとの事である。これで森の中にいる理由が判った。

キイロスジボタル
キイロスジボタル



・・・違う!!

・・・今回奄美大島に遠征してきたのは、ホタルや他の動物を観に来たのではない。「奄美クワガタ」の姿を確認したい。もう、クワガタなら何でも良い。

しかし現実は甘くない。最後の期待を込めて訪れたC林道も、既に多くの採集者が入っている。途中何度も採集者の車とすれ違った。その中に昼間Y岳で会った採集者も居たので状況を聞いてみた所、既にこの周辺で多くのアマミミヤマを採集したとの事で、更に他の採集者も林道を往復しながら採集を行っていると言う。

他の採集者は、「今からでは、厳しいかも・・・」などと言う。

遅かったか・・・。

しかし「絶対居る保証も無いが、絶対に居ない保証もない!」そう考えると、必死になって電柱を懐中電灯で照らした。時間が無い事は判っている。今日しかない。・・・・・焦る。



暫くその状況下で遂にクワガタの姿を確認出来ないまま、C林道の頂上まで来てしまった。さすがに“諦め”」という言葉が頭の中に浮んだ。更に駄目押しとして、頂上付近に車が停まっている。諦めムードの中で最後に、停車中の方に“本日の状況”を聞いて帰ろうと思った。その車の方に挨拶をして、自分の遠征成果を伝えた。・・・すると相手の方は奄美大島の地元の方で、クワガタショップを開いている方だと言う。奄鹿さんという。奄鹿さんは私の“へっぽこ採集”に同情してくれたのか、今さっきこの場で採集したばかりの”アマミミヤマクワガタ”を、記念の土産にと手渡して下さった。初めて見るミヤマクワガタだ。

奄美大島・アマミミヤマ♂
奄美大島・アマミミヤマ♂


奄鹿さんの話によると、今年は採集者が多いのと雨の影響であまり個体数は多くないらしい。またアマミミヤマのメスの数はもっと少なく、比率は♂200:♀1と言うくらい少ないらしい。メスの採集はオスとの交尾中などを上手く採集するとの事であるが、200:1も何もオスの1頭も見つける事が出来ない状況で、メスの確認などは私がハブに噛まれてもあり得ないだろう・・・。アマミミヤマが電柱での採集がしやすいのは、電柱であれば余計な障害物が無いので確認しやすいという事であって、その地で生えている木であれば見つけ難いながらもアマミミヤマは確認できると言う。また、アマミミヤマが電柱(樹木)を登る理由はフェロモンに関係があるとの事で、非常に勉強になった。


・・・結局の所、自力で奄美のクワガタを確認できていない。周辺の採集状況を見た感じ、この場所での採集はもう難しいと思った。すると奄鹿さんは「この先の木の洞で、スジブト見たよ」と言う。観てみたい!奄鹿さんにお礼を言い、スジブトヒラタの居るという木に行ってみた。


・・・・・しかし、既に採集者が居た。しかもたった今、スジブトヒラタが洞の奥に入り込み「確認不可能」だと言う。その採集者は地元の方で話によると、「この樹は洞が非常に多く、この周辺では一番スジブトヒラタが付く樹だ」という。どうやらカシの樹らしい。確かに洞だらけの樹で雰囲気はある。


しかし、最後のチャンスは費えた。
終わった・・・。そう感じた。。。


「諦めるのか?」自問自答する。


「いや、終わっていない!」ここで諦めたらその時点でお終いだ!一度諦めかけた気持ちに、「まだだ!まだ終わらんよ!」というパワーが出てきた。今回に限っては、流石に奄美大島でのボ〜ズは避けたいという気持ちの方が強く増した。


車で林道を流す。するとやたらとゴキブリの集っている樹がある。本州であれば、そこにクワガタが居てもおかしくない状況である。とにかく可能性があるのであれば、それに掛けてみる。急いで車から飛び降り、駆け寄ってみる。







・・・明らかにゴキではない、黒い物体が張り付いている。

・・・羽に見慣れない縦縞が入っている。・・・スジブトヒラタ♂が付いていた!

ミラクルだ!嬉しい!やっと自力で奄美大島のクワガタに会えた。小さな個体だと思うが、大きさなんて関係ない。最後の最後で何とか間に合った。本当に嬉しい!嬉しさのあまり樹に付いている状態で画像を撮り損ねてしまった。

これで小島啓史さんの「クワガタムシ飼育のスーパーテクニック」に出てきたスジブトヒラタを自分の目で確かめる事ができた...。

奄美大島・スジブトヒラタ♂
奄美大島・スジブトヒラタ♂



この後も探索を続けたが、急に大雨が降り始めてしまった。台風そのものは直撃しなかったが、影響はまだ残っている。暫く止むのを待ったが、どうやら止む気配は無さそうである。何とか最低限の収穫はあった為、時間帯も遅くなっていたので切り上げる事にした。

林道を下る。ズブ濡れになりながらも気持ちは晴れバレとしていた。最後のチャレンジが終わった。



結局アマミミヤマは、自分の手で確認する事は出来なかった。唯一のクワガタ確認であるスジブトも、たった1頭のみの確認となった。自分のクワガタ探索(採集)は、本当にいつも結果が出ない。原因の殆どが経験不足から来る見当違いなどであると思うが、諦めが早いのも要因の一つであろう。時間と金の無駄使いばかりの文字通り“へっぽこ採集記”であるが、言い訳になるかもしれないが「ダメならダメでも、いいじゃないか」と結果だけに拘らずに、採集に行くまでのワクワク感や臨場感も採集の楽しみの内に入ると思う。

上記と矛盾するかも知れないが、結果が伴わなくても採集をやめられないのは、知らない土地でクワガタを確認できた時の喜び。やはり“クワガタ採集が好きだから”の一言である。また機会があれば奄美大島に来てみたい。有意義な遠征であった。

美しい奄美の海
美しい奄美の海


成績スジブトヒラタ♂×1(持ち帰り) アマミコカブト×1(現地リリース)


奄鹿さん、お世話になりました。

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